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12話

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 バールを買って貰ったので、魔物を殺戮しに行くことにした。スライムだと、あのデロデロクラゲが出てくる可能性が高いので、今度はゴブリンを狙って見ることにする。

「ぐれ子。短髪にゴブリンいるか聞いて。ゴブリンは集団行動で、男は殺して、女は拐う感じなのかとか、ゴキみたいに1匹いたら、1000匹いるのかとか?」

 嫌そうな顔をしながら聞いてくれるぐれ子。聞いたまんまの性質らしい。今回のゴブリン退治は良い機会なので冒険者ギルドに登録に行くんだって。
 スライムの時はお試しで行った。だから登録は見送った。なのにデロデロクラゲみたいな魔物が出た。そう言う魔物はいい稼ぎになるらしい。
 狙っていたノーマルスライムは魔石を落としてもお小遣いくらいで、前回みたいなパワーレベリングでギルドに行くのは面倒だったんだって。分かる。

 今回は俺と短髪で行くことになった。冒険者ギルドは半分酒場で、半分受付っぽいところだった。
 ラノベ通りのあの感じ。だからテンプレが来るのかと思っていたけど、誰もいない。唯一いるのは受付のおっさんばっかり。なんだここは。異世界じゃ無いのか?
 綺麗な受付嬢がいたり、こんなガキが~とか言う三下共が居るんじゃないのか。時々三下っぽい親切野郎も出てくる筈なんだけど、誰もいない。異世界、大丈夫か?

 短髪は「城」やら「客」やら言ってギルドカードを作ってもらえる様におっさんに頼んでいる。紙も出てきて書けってことなんだと思う。
 短髪は「タマ」と言いながら名前の欄らしき場所を指さした。名前は書けるので書いてあとはお任せする。

 針を渡されて、身振り手振りで血を出したり、血を垂らしたりして、待つこと10分ほどで鉄板が出来た。説明は後でする様に聞いていたので、そこで終了。
 おっさんに手を振られてギルドを出て行く。なんかホッコリした顔してやがる。おっさんに愛想など振る気は無いのだが、何故なのだろうか。俺の気持ちは無視される。

 外に出てレベルアップもどきの為にも殺戮を繰り返していくのだ。と思って意気込んで見たもののまあ魔物が出てこないで、短髪に草抜けとか、果物取れとか、採取系のものばっかり。
 日も暮れそうな時間になったので帰ることになった。戦いがない……。

 


 今日は鉄板渡されて、魔物に遭遇せず、草むしって帰ってきた。しょうもなくてやるせない気持ちでいっぱいになる。

 先生とぐれ子に心配されて、短髪以外の姫ーズは安心した感を出している。草と果物を渡してあげたら、

「何しに行ったんだ?」

「魔物に遭遇しないから、草むしって、果物を取って、食べたりしながら過ごした。」

「ピクニックか!」

 そうツッコまれても仕方が無いが、現実は変わらない。草は薬草で、果物はりんごっぽい形でまんまりんごの味だった。

 普段ならはぐれゴブリンとか、ウサギとか、オオカミとか出てきて、運が良ければ鹿とかイノシシも出るらしい。
 何も出てこないなんて滅多にないことである意味レアな現象なんだとか。そんなレアは自重願いたい。

 後で先生からポーションという名の草臭い苦汁を渡されたけれど、丁重にお断りした。
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