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1章
05 『クリック』
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こずえ「ひっひーん♪ほんじゃこの新人教育係のアテクシが一肌脱ぎますかねーん♪」
カオル「・・・瑞穂。こずえがやりすぎないように見張ってて。」
瑞穂 「了解です。というか、言われなくとも。」
アケミ「・・・・」
こずえが大きな両手をワキワキさせながら教子に近づいてくる。
まるで男子のようながっしりとした肩幅を見ると、とても教子の腕力では敵いそうにない。
教子は本能的な恐怖を感じて後ずさる・・・が、すぐに背後の壁にぶつかってしまう。
(こわい・・こわいよ・・・)
こずえ「ほれほれ♪神妙にお縄につけ―い♪」
瑞穂 「暴れると痛くなりますよ。」
(・・・・・・・・・)
・・・・・・絶対絶命の教子は無意識のうちにある"モノ"に手を伸ばしていた。
毎日毎日、日課として慣れ親しんできた・・・・・というか、教子の今までの人生そのものといえる"モノ"。
私たちの一族に代々伝わる(らしい)"モノ"。
調の家の人間は、"これ"を扱うことで生きていく。
世界中で(恐らく)私の家族しか知らない"これ"。
幼いころから、言葉を覚える前から・・・・いや、物心つく前から慣れ親しんできた"モノ"。
ゆりかごの中におしゃぶりといっしょ入れられていた、"それ"。
教子は助けを求めるようにそれを掴み、
そして--------------------
-------------------------------カチッ---------------------------------
鳴らした。
紫苑 「ひっっっ!?」
カオル「きゃあっ!?」
こずえ「わわわっ!?」
瑞穂 「なにっっ!?」
アケミ「(ビクッ!)」
教子 「・・・・・えっ!!??」
一番おどろいたのは、教子だった。
『クリック』が、『響いて』る・・・?
教子「人間なのに・・?」
教子は、思わず声に出して呟いていた。
『クリッカー』。
教子が左手首のバンドにいつもつけてるモノ。
調の家中のみに代々伝わる、動物を調教するための道具。
見た目は小さなオモチャのようなものだが、指先でつまむことで繊細な音を出せる。
普通の調教師は、ムチの『痛み』で動物を『使役』する。
しかし、調の人間はそんなものは使わない。
肉体の痛みの記憶で動物を屈服させたとしても、その効果は一時的で限定的な範囲にしか及ばないからだ。
だから、今の時代になっても、サーカスの猛獣使いが『使役』したはずの動物に食い殺される例はあとを絶たない。
調の人間はそんな低レベルな事をしない。(父・教夫談)
調の人間は、クリッカーの鳴らす『音』で動物を体の芯から『支配』する。
『音』・・・つまり、特別な『周波数』で動物を体の中から『動かす』のだ。
動物の脳を、脊髄を、神経を、細胞を。
その隅から隅まで。
完全完璧に。
『支配』する。
教子は父の言葉を思い出していた。
《教夫 「これ、昔々はもっと違う名前だったらしいんだよなぁ・・・
前にジイチャンが言ってたけど、忘れちまった。ハッハッハ!」》
教子 「本当に江戸時代からあるの・・?」
紫苑 「なんなの・・・いまの・・っ!?」
カオル「うっ・・・体中に電気が・・・?」
こずえ「アヘアヘアヘアヘ・・・・・・♪」
瑞穂 「どこかから、攻撃、された・・?」
アケミ「(モゾモゾ・・・・モゾ・・・)」
教子 「なんで?人間なのに・・?」
教子は訝しむ。
当たり前だが、この『クリッカー』は対・動物用で人間にはなんの効果もない。
それは繰り返し教えられてきたことだし、なにより教子自身が長年の実践をもって経験してきている。
というか、他の人間を意のままに操作する道具など存在していいはずがない。
それ以前に、使用者の安全さえ保証できないではないか。
教子 (・・・・・・・・・)
教子 (でも・・・・・・・)
教子 (確かめたい・・・・)
紫苑 「・・・・・・くっ!」
紫苑 「・・瑞穂!なにボケッとしてるのよ!」
生徒会長としての意地なのか、紫苑が一番最初に平静を取り戻した。
瑞穂 「!」
瑞穂 「・・・・・シィッ!!」
体勢を立て直す瑞穂。
邪念を振り払うように首を左右にプルプルと振って、教子にまた向き直ろうとする。
教子は、そんな会話の様子を視界の端に捉えながら、
右の親指と人差し指で、しっかりと左手首の『クリッカー』をつまむと・・・
体をモジモジとよじらせている先輩たちにしっかりと狙いを定めて・・・
今度は、けっこう強めに・・・
鳴らしてみた。
-------------------------------カチッ-----------------------------
紫苑 「はひぃぃいっ!!!?♥♥♥♥♥♥♥♥」
カオル「んきゃああああ!!?♥♥♥♥♥♥♥♥」
こずえ「ふおおおーーー!!?♥♥♥♥♥♥♥♥」
瑞穂 「んぐううううう!!?♥♥♥♥♥♥♥♥」
アケミ「………………ぅっ…………ぁ……………」
教子 「・・・・・」
教子 「うわ・・・・・・」
教子 「・・・・・すっご・・・・・・」
カオル「・・・瑞穂。こずえがやりすぎないように見張ってて。」
瑞穂 「了解です。というか、言われなくとも。」
アケミ「・・・・」
こずえが大きな両手をワキワキさせながら教子に近づいてくる。
まるで男子のようながっしりとした肩幅を見ると、とても教子の腕力では敵いそうにない。
教子は本能的な恐怖を感じて後ずさる・・・が、すぐに背後の壁にぶつかってしまう。
(こわい・・こわいよ・・・)
こずえ「ほれほれ♪神妙にお縄につけ―い♪」
瑞穂 「暴れると痛くなりますよ。」
(・・・・・・・・・)
・・・・・・絶対絶命の教子は無意識のうちにある"モノ"に手を伸ばしていた。
毎日毎日、日課として慣れ親しんできた・・・・・というか、教子の今までの人生そのものといえる"モノ"。
私たちの一族に代々伝わる(らしい)"モノ"。
調の家の人間は、"これ"を扱うことで生きていく。
世界中で(恐らく)私の家族しか知らない"これ"。
幼いころから、言葉を覚える前から・・・・いや、物心つく前から慣れ親しんできた"モノ"。
ゆりかごの中におしゃぶりといっしょ入れられていた、"それ"。
教子は助けを求めるようにそれを掴み、
そして--------------------
-------------------------------カチッ---------------------------------
鳴らした。
紫苑 「ひっっっ!?」
カオル「きゃあっ!?」
こずえ「わわわっ!?」
瑞穂 「なにっっ!?」
アケミ「(ビクッ!)」
教子 「・・・・・えっ!!??」
一番おどろいたのは、教子だった。
『クリック』が、『響いて』る・・・?
教子「人間なのに・・?」
教子は、思わず声に出して呟いていた。
『クリッカー』。
教子が左手首のバンドにいつもつけてるモノ。
調の家中のみに代々伝わる、動物を調教するための道具。
見た目は小さなオモチャのようなものだが、指先でつまむことで繊細な音を出せる。
普通の調教師は、ムチの『痛み』で動物を『使役』する。
しかし、調の人間はそんなものは使わない。
肉体の痛みの記憶で動物を屈服させたとしても、その効果は一時的で限定的な範囲にしか及ばないからだ。
だから、今の時代になっても、サーカスの猛獣使いが『使役』したはずの動物に食い殺される例はあとを絶たない。
調の人間はそんな低レベルな事をしない。(父・教夫談)
調の人間は、クリッカーの鳴らす『音』で動物を体の芯から『支配』する。
『音』・・・つまり、特別な『周波数』で動物を体の中から『動かす』のだ。
動物の脳を、脊髄を、神経を、細胞を。
その隅から隅まで。
完全完璧に。
『支配』する。
教子は父の言葉を思い出していた。
《教夫 「これ、昔々はもっと違う名前だったらしいんだよなぁ・・・
前にジイチャンが言ってたけど、忘れちまった。ハッハッハ!」》
教子 「本当に江戸時代からあるの・・?」
紫苑 「なんなの・・・いまの・・っ!?」
カオル「うっ・・・体中に電気が・・・?」
こずえ「アヘアヘアヘアヘ・・・・・・♪」
瑞穂 「どこかから、攻撃、された・・?」
アケミ「(モゾモゾ・・・・モゾ・・・)」
教子 「なんで?人間なのに・・?」
教子は訝しむ。
当たり前だが、この『クリッカー』は対・動物用で人間にはなんの効果もない。
それは繰り返し教えられてきたことだし、なにより教子自身が長年の実践をもって経験してきている。
というか、他の人間を意のままに操作する道具など存在していいはずがない。
それ以前に、使用者の安全さえ保証できないではないか。
教子 (・・・・・・・・・)
教子 (でも・・・・・・・)
教子 (確かめたい・・・・)
紫苑 「・・・・・・くっ!」
紫苑 「・・瑞穂!なにボケッとしてるのよ!」
生徒会長としての意地なのか、紫苑が一番最初に平静を取り戻した。
瑞穂 「!」
瑞穂 「・・・・・シィッ!!」
体勢を立て直す瑞穂。
邪念を振り払うように首を左右にプルプルと振って、教子にまた向き直ろうとする。
教子は、そんな会話の様子を視界の端に捉えながら、
右の親指と人差し指で、しっかりと左手首の『クリッカー』をつまむと・・・
体をモジモジとよじらせている先輩たちにしっかりと狙いを定めて・・・
今度は、けっこう強めに・・・
鳴らしてみた。
-------------------------------カチッ-----------------------------
紫苑 「はひぃぃいっ!!!?♥♥♥♥♥♥♥♥」
カオル「んきゃああああ!!?♥♥♥♥♥♥♥♥」
こずえ「ふおおおーーー!!?♥♥♥♥♥♥♥♥」
瑞穂 「んぐううううう!!?♥♥♥♥♥♥♥♥」
アケミ「………………ぅっ…………ぁ……………」
教子 「・・・・・」
教子 「うわ・・・・・・」
教子 「・・・・・すっご・・・・・・」
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