わからせ! もののけ生徒会の調教師1年生

水都 おこめ

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1章

04 新人の仕事

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教子はもう、かけ値なしにワクワクしてきていた。

動物と"会話"できる以外取り柄がなかった自分。

幼稚園、小学校、中学校、と・・・・

別にイジめられていたわけではないが、

このまま「動く歩道」のような先が見え切った平坦な人生を送るのだと思っていた。






だけど、この学校なら。



いいや違う。

この生徒会なら。




なにかが変わる気がする。



それも違う。

自分自身が・・・教子自身が変われる気がする。






そう考えると、 紫苑しおん会長の姿がもはや神々しくすら感じられてきた。



自分を灰色の人生から救い出し、新たな世界へと導いてくれる存在。

教子が心の底で待ち焦がれていた人。







紫苑しおんの自信に満ち溢れたその態度が、

「この人についていけば大丈夫だ。」と思わせる雰囲気を持っていた。







紫苑 「・・・さて、それではあなたに新人として最初の務めを与えます。」

教子 「はっ、はい!」




紫苑 「新人生徒会員の仕事は毎年決まってるの。」

教子 「はい!精一杯がんばります!!」

紫苑 「あら、やる気ね。いいじゃない。」







紫苑 「それじゃ・・・」


紫苑 「 私 の 靴 を 舌 で 掃 除 し な さ い 。」


教子 「はい!喜んでー!!!」
















教子 「・・・・・・・えっ?」







紫苑 「晴れの日用と曇り用と雨用とヨソ行きと普段使いと予備とスペアと非常用と合わせて全部で8足あるから、すべて入念にやるのよ。」

紫苑 「もちろん、靴の裏側も き っ ち り とね。」







紫苑 「・・・・・・オーホッホッホッホ!!!」














教子 「・・・・・・・えっ?」







眼鏡 「・・・会長。先ほども申し上げましたが・・」

紫苑 「カオル。ちょっと黙ってて。」

紫苑 「私は私のやり方でいきたいの。全てにおいて。
    生徒会運営も。新人教育も。キウイフルーツを食べる時のカットも。」

カオル「・・・・」

カオルと呼ばれた眼鏡の少女は憮然とした表情で、すでに諦めモードだ。

いつものことなのだろう。







紫苑 「まあそれよりも・・・・・」

紫苑 「・・・・そこの不良少女!」

不良 「・・・・・」

不良と呼ばれた隅っこの少女は、会長に怒鳴られてもイスに腰かけたまま身じろぎもしない。







紫苑 「・・・・生徒会に参加しなさい。」

紫苑 「私の靴を取って、こちらに持ってきて。」



そこまで言われて、ようやくのっそりと立ち上がる。

立ち上がってみると、カオルと呼ばれた眼鏡の少女と同じくらいの長身だった。

ただ、カオルは細身だが、この不良少女はどことなく肉感的でグラマラスな体型をしている。


不良少女は、ボサボサの茶髪をワシワシと掻きながらゲタ箱に向かう。





紫苑 「まったく、私の指示でキビキビ動かないヤツは存在してるだけでイライラしてくるわ・・」

紫苑は苛立ちを表現するように組んだ腕の中で人差し指をポンポンポンポンと叩いている。





教子 「・・・・・」

紫苑 「つっかえないわね、あの子はホント・・・・」

教子 「・・・・・あの、会長」

紫苑 「はい。なにかしら?(ニコッ)」








紫苑 「それに比べ、あなたはなかなか見どころありそうね。」

紫苑 「私の指令を二つ返事とは、正直恐れ入ったわ・・・これは超高校級の逸材かもしれないわね。」

教子 「いや、あの、会長、ごめんなさい。」

教子 「私、最近ちょっとヨウツベーを見過ぎて耳が遠くなっちゃったみたいで・・・さっきの指示がよく聞こえなかったんですけれども。」








紫苑 「あら、音量には注意しなきゃダメよ。若いのに情けないわね。」

紫苑 「簡単よ・・ほら、それを綺麗にするの。」

紫苑 「あなたの舌で。入念にね♪」


いつのまにか不良少女が、クツを携えてきていた。








この不良と呼ばれた少女も近くでみると、やはりというか、かなりの美人だった。

長身で広めの肩幅はどことなく男っぽい雰囲気だが、白いきめ細やかな肌とクリクリした瞳を持った童顔で、まぎれもなく美少女なのだとわかる。

セーラー服の前側、つまり胸部はこんもりと盛り上がっていて、教子は思わず「え、それで足元見えてるの?」と尋ねたくなった。

膝丈少し上のスカートに包まれたお尻も、これまたムッチリとしている。



その割にチラリとのぞくウエストの絶対領域は、キュっと締まっている。

カラダのいやらしさでいったら、美女が粒ぞろいの生徒会のなかでも随一かもしれない。








・・・・・・・って何を考えてるんだ私は。

突然の事態に頭の中が支離滅裂だ。










不良 「・・・・・・」

紫苑 「ったく、ボー――っとつっ立って・・言われたことしかできないのかお前は・・(イライライライラ)」





紫苑 「瑞穂みずほ!」

紫苑 「彼女の教育係はあなたのはずよ。」

瑞穂 「・・・・申し訳ございません。」

姫カットの古風な美少女の名前は瑞穂みずほと言うらしい。





瑞穂 「アケミ。靴を貸して。」

不良少女の名はアケミ、か。








いやいやいやいや。

先輩方の名前を憶えている場合じゃない。

靴を?

舌で?

キレーにする?

パワハラ?いじめ?

ブラッ●企業大賞?





教子 「・・・・・でっ」

教子 「できません!」

紫苑 「あら?さっきは頑張るっていったじゃない。」

会長がサディスティックな笑みを浮かべる。

攻撃的な美貌によく似合っていた。

これが本性なのだろう。









教子 「・・・・・わっ」

教子 「私、てっきり生徒会の仕事って予算編成とか、お茶会とか、能力者のスカウトとか、他校の侵略から自校の生徒を守るとか、そういうもんだと思ってたんですけど!」

紫苑 「一部なにを言ってるのかよくわからないけど、もちろんそういう仕事もあるわ。」

紫苑 「でも、仕事の割り振りを決めるのは、ワタシ。」

紫苑 「そして、今のあなたの仕事はそれよ。ほら。」

アケミから靴を受け取った瑞穂が片手に革靴をぶら下げている。








どうみても校内指定のただの革靴だ。

これを舌で掃除する?

どゆこと?







教子 「で、ででででででで」

紫苑 「デデ●大王?」

教子 「できません!そんなこと!」

紫苑 「どうして?」





教子 「そっ、それは人間がやることじゃないからです!」







紫苑の目がスゥッと細まる。

と、同時に紫苑の雰囲気が凄みを帯びてきた。

先ほどとは違った、圧迫感のある凄みだ。


あ、なにかのスイッチを踏んでしまったっぽい。






紫苑 「"人間がやること"ねぇ・・・」




紫苑 「なんだぁ、面白い子が入ってきたと思ったのに・・・・ガッカリね。」




紫苑 「こずえ。」




こずえ「ウィーッス♪」










紫苑 「この子に生徒会の礼儀を教えてあげなさい。」


こずえ「ウィーーーーッス♪」

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