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2章
15 買い物
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夜19時。
調家の食卓。
教子はいつものように両親とテーブルを囲んでいた。
教子 「あ、このアジフライおいしー♥お母さん、また腕上げたんじゃない?」
教江 「そうねー。」
教子 「きんぴらごぼうもおいしー♥じょうずー♥あ、これは私が作ったんだった。えへへ♪」
教江 「そうねー。」
教子 「アケミにも食べさせてあげたいな・・♥アケミの好物ってなんだろ?お母さんなんだと思う?」
教江 「そうねー。」
教子 「そうめん?アケミはそうめんって感じじゃないなぁ・・」
教子 「どっちかって言うと、女の子っぽくパンケーキ?いやん(/ω\)♥」
教夫 「お、なんだ教子。今日はご機嫌だな・・セリフが全部おっさん構文だぞ?」
教子 「ぐふ。ぐふふ♪」
教夫 「・・なんか笑い方はおっさん構文通り越してキモさ極めてるけどな。ハッハッハ!」
教子 「ぐふ。ぐふふ♪ぐふふのふのひぽふ♪」
教江 「そうねー。」
----------------------
あの後・・・・
教子 「だ、大丈夫ですか、瑞穂さん・・・」
瑞穂 「うぐ・・う・・・あ、あなたねぇ・・よくもぉ・・・うっ!?♥」
教子 「(え、エロぉ・・・・グビリ・・)」
教子 「と、とりあえずそこのベンチに座って休みましょう!」
瑞穂 「うぅ・・触らない・・で・・あ!♥あうぅぅ・・♥」
教子の(故意ではないが)強烈なクリックによって全身がビンカン状態になってしまっている瑞穂は、教子が立たせるためにグイッと抱き上げただけで、ゾクゾクと背中になにかが走り抜けるのを感じてしまうようだった。
今まで、自分のカラダの中にこんなめくるめくような感覚が存在することなど、意識すらしていなかったのだろう・・堅物の瑞穂が快感に呻くサマは、とてつもなく、イヤらしかった。
教子 「んしょっと・・って、軽っ!・・」
瑞穂の体は、ビックリするほど軽い。
あの、手すりを歪ませるほどの力はどこから来ているのか。
とはいっても、運ぶのは小柄な教子である。
グッタリとしている瑞穂を、なんとか引きずるようにしてベンチに座らせて介抱する。
華奢な瑞穂でよかった。
こずえだったら無理だっただろう。
瑞穂 「はぁ・・♥はぁ・・♥はぁ・・♥」
教子 「(ナマツバごっくんちょ・・・)」
瑞穂は、駅のベンチの背もたれに縋りつくように座り、口の端からヨダレを垂らして乱れに乱れていた。
座っていることですらやっとの事らしく、教子が支えていなければ、バランスを崩して床に倒れ伏してしまうだろう。
禁断症状に震える薬物中毒者のようになってしまっている。
瑞穂 「うぅ・・♥うぐっ!♥(ゾクゾクッ)・・うっ・・♥」」
教子 「ハァハァハァハァ」
こ、このまま家にお持ち帰りして、私の部屋で手厚く介抱を・・・・
ってダメダメダメ。
教子 「アケミに悪いもんね・・・///」
もう私には心に決めた女性がいるのだ。
いくら瑞穂さんがキレイだからと言ったって、ドサクサで自宅に連れ込もうだなんて・・
教子 「このまま、ベンチで休んでいきますか・・?」
瑞穂 「ううう・・♥」
教子 「そっ、それとも、どこか2人でゆっくり休めるところに行きます・・?///」
教子 「なんか真宿の東口にリゾート風のいいところあるって、わたし、ネットで見たんですけど・・////」
いや、家じゃなきゃいいんかい。
思わず自分に突っ込んでしまった。
瑞穂 「ううぅ・・絶対イヤ・・♥」
瑞穂に本気で拒否られて教子は少しショックだったが、
教子 「(いや、やっぱり初めてはアケミじゃなきゃダメってことよね。神様がそう言ってるのよ。ありがとう神様、私に道を踏み外させないようにしてくれて・・)」
と、一瞬で自分なりの最適解を見つけ出して、うんうんと納得した。
そのあと、あわよくば・・を狙う捕食者教子と、なんとか逃げ切ろうとするあわれな瑞穂の水面下の攻防は、瑞穂が30分ほどかけてようやく平常を取り戻したことによって終息し・・・
教子は、瑞穂にやや強めにニラまれながらも冥大前でそのまま別れて帰宅したのだった。
-----------------
教子 「あれは、やれたかも委●会だったな・・・いやいや、ちがうちがう」
教子 「そう、初めてはアケミとじゃなきゃ・・♥」
教子 「月明かりに照らされたテラスで・・♥天蓋付きのベッドに2人腰かけて、そして・・♥」
教江 「そうねー。」
教子 「ぐふ。ぐふふ♪アケミ・・肌がとってもきれいよ・・アケミ・・♥」
教江 「そうねー。」
教夫 「・・・・」
もはや、壊れた機械のテーマパークと化してしまった調家の食卓だったが・・・それをよそに、教夫はひとり、やや安堵していた。
とりあえず、昨日の件について教子からのさらなる追及を避けられてよかったと思ったのだ。
獣人の話なんて、もちろん教夫の同僚は知らないだろうし、というか尋ねてもいない。
それに・・昔、ジイチャンから聞いたあの話を教子に伝えるには、まだ早い。
-----------------------------
翌日。
紫苑 「さて、今日から正式に生徒会に入会ということで。何回目の挨拶かわからないけど、よろしくね。教子」
教子 「はい!教子、がんばりますっ!(`・ω・´)ゞ」
ビシッ!と敬礼をして教子は元気よく答える。
教子 「今日は何をしましょうかっ(`・ω・´)ゞ」
紫苑 「あら。やる気が戻ってきたのね」
クス、と紫苑がほほえむ。
紫苑 「最初の仕事は買い出しよ・・新年度ということで、足りない備品を買いに行きましょう」
教子 「ラジャー!(`・ω・´)ゞそれでは教子隊員、行ってきます!」
紫苑 「待て待て待て」
クラウチングスタートの体勢から走りだそうとする教子を紫苑が引き止める。
カオル「調さん。あなた何を買うかわかってるの?」
教子 「はいっ!(`・ω・´)ゞわかりません!」
紫苑 「なんか1日でキャラ変わってない?ちょっとそれ疲れるんだけど」
紫苑 「当然、私と一緒に行くのよ。必要なものは私の頭の中にリストがあるわ」
カオル「私も、行きます。行かないと会長はお釣りの計算ができないから・・」
教子 「あ、会長ってやっぱりどっちかというと、こずえさん寄りなんですね・・」
教子は、すこしげんなりした。
教子 「会長が司令塔で、カオルさんが会計で・・私は?」
紫苑 「荷物持ち。新人の仕事ね」
まあ、そんなもんか、と教子はおもった。
己の舌で靴磨き係よりはマシだ。
すべてにおいて。
紫苑 「それじゃ早速行くわよ。真宿のポンキ・ホーテへ!」
カオル「はい」
教子 「イェッサー!」
ただ、一つだけ。
アケミと離れるのは少し寂しい・・
教子 「・・・(チラっ」
アケミ「・・・・・・?」
アケミ「・・・・・・・」
アケミ「・・・(ニコっ」
教子 「!・・・・・・」
教子 「でへへ・・・♪」
アケミを見る教子、その視線に気づき、小さくうなずいて口角を上げるアケミ。
もうすでに、こっそり付き合ってる恋人同士みたいだ。
・・・うん、今の私にはあの笑顔があれば十分。
ぐふ♪
それに・・・紫苑会長がいると、アケミは来ないだろう・・・
------------------
真宿。
この町はいつ来ても、溢れんばかりの人でごった返している。
教子 「うーん。いつ来てもどっから湧いてくるんだってくらいの人、人、人ですね~」
駅からの地下階段を上がって、地上に出た教子が開口一番にそう言った。
紫苑 「こずえ曰く、地下に再玉県民専用の秘密トンネルがあるそうよ。ほぼ全員が再玉からの不法入国者と言っても過言ではないわね」
教子 「なんで、よりによってこずえさんを情報源に選ぶんですか?カオルさんも瑞穂さんもいるのに」
カオル「遅くなるので、早く用事を済ませて帰りましょう・・」
一同は、プライス満点激安アマゾンの異名で知られる学生御用達のディスカウントストアー、ポンキ・ホーテを目指して歩を進める。
ナンパ男「チョリッス、チョリチョリーン♪」
ナンパ男「You、顔面スト値振り切ってんね~・・オレと遊ばーん?」
紫苑 「結構。そこの壁とでも話してなさい」
東口を出て歩き始めると、やはりというかナンパ野郎どもがよくわからない言語を用いてガンガン声をかけてくる。
紫苑は、傍らにカオルと教子を侍らせて腕組みしながらズンズンと歩くが、そんな威風堂々とした姿にもナンパ師たちはまったく物怖じをしない。
その度胸は本当にすごいと思う。
教子 「よくこんな(性格キツそうな)美人に話しかける勇気ありますよね・・・」
カオル「本当ね・・あの不退転ぶりには私も毎回感嘆させられるわ」
その勇気と行動力を、仕事かなにかに生かせよ、と教子は思った。
街を埋め尽くさんばかりのナンパ師は、久々の大物である超美形の紫苑の出現を前に行列を作り、順番待ちの整理券でも配りはじめんほどの勢いだ。
一応、この場にもナンパ師同士の不文律があるのだろう。
決して同時にやって来ることはない。
1人がダメならすかさずもう1人、と矢継ぎ早に百人組手のように話しかけてくる。
チャラいナンパ師「なにしてーんのっ?♪ヒマっしょ?今日寒いからお茶のもーよ♪」
紫苑 「いま忙しいの。見てわからない?」
金持ちのナンパ師「●●ってサロン知ってる?俺っちそこの会員なんやけど~♪」
紫苑 「知らないし、興味ないわ」
お笑い系ナンパ師「助けてください!今日中に美人とデートしなきゃ死ぬ呪いにかかってるんです!」
紫苑 「勝手に死んでなさい」
オラオラナンパ師「おい、お前!・・・わかってんだよ、俺のこと気になるんだろ?」
紫苑 「黙れ」
紫苑は次々とそれらをちぎっては投げていく。
教子 「それにしても・・・まったく、平日の日中にイイ齢した大人がうじゃうじゃと・・・スケコマシ以外やることがないのかしら・・」
教子 「まぁ、会長も断り慣れてるから大丈夫か。何回も何回も鬱陶しいけど・・」
搦め手のナンパ師「俺、再玉から秘密の抜け穴通ってきたんだよね・・あのお城みたいな建物の403号室なんだけど、お姉さん見てみたくない?」
紫苑 「え!?ホント!?わたし都民なんだけど見学できる?」
教子 「ちょちょちょちょ!ちょっと変則的にしただけの手口に引っかからないでください!」
カオル「このゾーンは危険だわ・・走って通過しましょう」
これはカオルさんと私がついてないと危ない・・。
オツムがアレな美人は、この現代社会においては、簡単に悪い男の食い物にされてしまうのだろうな・・
教子は「まったく、世知辛い世の中だぜ」と思った。
一行が駆け足でややゆるい下り坂を抜けると、大きな車道に出る。
そこを渡れば、もう完全に繁華街だ。
おびただしいほどの数のドギツい発色の看板の海の中に、教子たちのお目当ての「激安の王道 ポンキ・ホーテ」の文字が見えてきた。
調家の食卓。
教子はいつものように両親とテーブルを囲んでいた。
教子 「あ、このアジフライおいしー♥お母さん、また腕上げたんじゃない?」
教江 「そうねー。」
教子 「きんぴらごぼうもおいしー♥じょうずー♥あ、これは私が作ったんだった。えへへ♪」
教江 「そうねー。」
教子 「アケミにも食べさせてあげたいな・・♥アケミの好物ってなんだろ?お母さんなんだと思う?」
教江 「そうねー。」
教子 「そうめん?アケミはそうめんって感じじゃないなぁ・・」
教子 「どっちかって言うと、女の子っぽくパンケーキ?いやん(/ω\)♥」
教夫 「お、なんだ教子。今日はご機嫌だな・・セリフが全部おっさん構文だぞ?」
教子 「ぐふ。ぐふふ♪」
教夫 「・・なんか笑い方はおっさん構文通り越してキモさ極めてるけどな。ハッハッハ!」
教子 「ぐふ。ぐふふ♪ぐふふのふのひぽふ♪」
教江 「そうねー。」
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あの後・・・・
教子 「だ、大丈夫ですか、瑞穂さん・・・」
瑞穂 「うぐ・・う・・・あ、あなたねぇ・・よくもぉ・・・うっ!?♥」
教子 「(え、エロぉ・・・・グビリ・・)」
教子 「と、とりあえずそこのベンチに座って休みましょう!」
瑞穂 「うぅ・・触らない・・で・・あ!♥あうぅぅ・・♥」
教子の(故意ではないが)強烈なクリックによって全身がビンカン状態になってしまっている瑞穂は、教子が立たせるためにグイッと抱き上げただけで、ゾクゾクと背中になにかが走り抜けるのを感じてしまうようだった。
今まで、自分のカラダの中にこんなめくるめくような感覚が存在することなど、意識すらしていなかったのだろう・・堅物の瑞穂が快感に呻くサマは、とてつもなく、イヤらしかった。
教子 「んしょっと・・って、軽っ!・・」
瑞穂の体は、ビックリするほど軽い。
あの、手すりを歪ませるほどの力はどこから来ているのか。
とはいっても、運ぶのは小柄な教子である。
グッタリとしている瑞穂を、なんとか引きずるようにしてベンチに座らせて介抱する。
華奢な瑞穂でよかった。
こずえだったら無理だっただろう。
瑞穂 「はぁ・・♥はぁ・・♥はぁ・・♥」
教子 「(ナマツバごっくんちょ・・・)」
瑞穂は、駅のベンチの背もたれに縋りつくように座り、口の端からヨダレを垂らして乱れに乱れていた。
座っていることですらやっとの事らしく、教子が支えていなければ、バランスを崩して床に倒れ伏してしまうだろう。
禁断症状に震える薬物中毒者のようになってしまっている。
瑞穂 「うぅ・・♥うぐっ!♥(ゾクゾクッ)・・うっ・・♥」」
教子 「ハァハァハァハァ」
こ、このまま家にお持ち帰りして、私の部屋で手厚く介抱を・・・・
ってダメダメダメ。
教子 「アケミに悪いもんね・・・///」
もう私には心に決めた女性がいるのだ。
いくら瑞穂さんがキレイだからと言ったって、ドサクサで自宅に連れ込もうだなんて・・
教子 「このまま、ベンチで休んでいきますか・・?」
瑞穂 「ううう・・♥」
教子 「そっ、それとも、どこか2人でゆっくり休めるところに行きます・・?///」
教子 「なんか真宿の東口にリゾート風のいいところあるって、わたし、ネットで見たんですけど・・////」
いや、家じゃなきゃいいんかい。
思わず自分に突っ込んでしまった。
瑞穂 「ううぅ・・絶対イヤ・・♥」
瑞穂に本気で拒否られて教子は少しショックだったが、
教子 「(いや、やっぱり初めてはアケミじゃなきゃダメってことよね。神様がそう言ってるのよ。ありがとう神様、私に道を踏み外させないようにしてくれて・・)」
と、一瞬で自分なりの最適解を見つけ出して、うんうんと納得した。
そのあと、あわよくば・・を狙う捕食者教子と、なんとか逃げ切ろうとするあわれな瑞穂の水面下の攻防は、瑞穂が30分ほどかけてようやく平常を取り戻したことによって終息し・・・
教子は、瑞穂にやや強めにニラまれながらも冥大前でそのまま別れて帰宅したのだった。
-----------------
教子 「あれは、やれたかも委●会だったな・・・いやいや、ちがうちがう」
教子 「そう、初めてはアケミとじゃなきゃ・・♥」
教子 「月明かりに照らされたテラスで・・♥天蓋付きのベッドに2人腰かけて、そして・・♥」
教江 「そうねー。」
教子 「ぐふ。ぐふふ♪アケミ・・肌がとってもきれいよ・・アケミ・・♥」
教江 「そうねー。」
教夫 「・・・・」
もはや、壊れた機械のテーマパークと化してしまった調家の食卓だったが・・・それをよそに、教夫はひとり、やや安堵していた。
とりあえず、昨日の件について教子からのさらなる追及を避けられてよかったと思ったのだ。
獣人の話なんて、もちろん教夫の同僚は知らないだろうし、というか尋ねてもいない。
それに・・昔、ジイチャンから聞いたあの話を教子に伝えるには、まだ早い。
-----------------------------
翌日。
紫苑 「さて、今日から正式に生徒会に入会ということで。何回目の挨拶かわからないけど、よろしくね。教子」
教子 「はい!教子、がんばりますっ!(`・ω・´)ゞ」
ビシッ!と敬礼をして教子は元気よく答える。
教子 「今日は何をしましょうかっ(`・ω・´)ゞ」
紫苑 「あら。やる気が戻ってきたのね」
クス、と紫苑がほほえむ。
紫苑 「最初の仕事は買い出しよ・・新年度ということで、足りない備品を買いに行きましょう」
教子 「ラジャー!(`・ω・´)ゞそれでは教子隊員、行ってきます!」
紫苑 「待て待て待て」
クラウチングスタートの体勢から走りだそうとする教子を紫苑が引き止める。
カオル「調さん。あなた何を買うかわかってるの?」
教子 「はいっ!(`・ω・´)ゞわかりません!」
紫苑 「なんか1日でキャラ変わってない?ちょっとそれ疲れるんだけど」
紫苑 「当然、私と一緒に行くのよ。必要なものは私の頭の中にリストがあるわ」
カオル「私も、行きます。行かないと会長はお釣りの計算ができないから・・」
教子 「あ、会長ってやっぱりどっちかというと、こずえさん寄りなんですね・・」
教子は、すこしげんなりした。
教子 「会長が司令塔で、カオルさんが会計で・・私は?」
紫苑 「荷物持ち。新人の仕事ね」
まあ、そんなもんか、と教子はおもった。
己の舌で靴磨き係よりはマシだ。
すべてにおいて。
紫苑 「それじゃ早速行くわよ。真宿のポンキ・ホーテへ!」
カオル「はい」
教子 「イェッサー!」
ただ、一つだけ。
アケミと離れるのは少し寂しい・・
教子 「・・・(チラっ」
アケミ「・・・・・・?」
アケミ「・・・・・・・」
アケミ「・・・(ニコっ」
教子 「!・・・・・・」
教子 「でへへ・・・♪」
アケミを見る教子、その視線に気づき、小さくうなずいて口角を上げるアケミ。
もうすでに、こっそり付き合ってる恋人同士みたいだ。
・・・うん、今の私にはあの笑顔があれば十分。
ぐふ♪
それに・・・紫苑会長がいると、アケミは来ないだろう・・・
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真宿。
この町はいつ来ても、溢れんばかりの人でごった返している。
教子 「うーん。いつ来てもどっから湧いてくるんだってくらいの人、人、人ですね~」
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紫苑 「こずえ曰く、地下に再玉県民専用の秘密トンネルがあるそうよ。ほぼ全員が再玉からの不法入国者と言っても過言ではないわね」
教子 「なんで、よりによってこずえさんを情報源に選ぶんですか?カオルさんも瑞穂さんもいるのに」
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東口を出て歩き始めると、やはりというかナンパ野郎どもがよくわからない言語を用いてガンガン声をかけてくる。
紫苑は、傍らにカオルと教子を侍らせて腕組みしながらズンズンと歩くが、そんな威風堂々とした姿にもナンパ師たちはまったく物怖じをしない。
その度胸は本当にすごいと思う。
教子 「よくこんな(性格キツそうな)美人に話しかける勇気ありますよね・・・」
カオル「本当ね・・あの不退転ぶりには私も毎回感嘆させられるわ」
その勇気と行動力を、仕事かなにかに生かせよ、と教子は思った。
街を埋め尽くさんばかりのナンパ師は、久々の大物である超美形の紫苑の出現を前に行列を作り、順番待ちの整理券でも配りはじめんほどの勢いだ。
一応、この場にもナンパ師同士の不文律があるのだろう。
決して同時にやって来ることはない。
1人がダメならすかさずもう1人、と矢継ぎ早に百人組手のように話しかけてくる。
チャラいナンパ師「なにしてーんのっ?♪ヒマっしょ?今日寒いからお茶のもーよ♪」
紫苑 「いま忙しいの。見てわからない?」
金持ちのナンパ師「●●ってサロン知ってる?俺っちそこの会員なんやけど~♪」
紫苑 「知らないし、興味ないわ」
お笑い系ナンパ師「助けてください!今日中に美人とデートしなきゃ死ぬ呪いにかかってるんです!」
紫苑 「勝手に死んでなさい」
オラオラナンパ師「おい、お前!・・・わかってんだよ、俺のこと気になるんだろ?」
紫苑 「黙れ」
紫苑は次々とそれらをちぎっては投げていく。
教子 「それにしても・・・まったく、平日の日中にイイ齢した大人がうじゃうじゃと・・・スケコマシ以外やることがないのかしら・・」
教子 「まぁ、会長も断り慣れてるから大丈夫か。何回も何回も鬱陶しいけど・・」
搦め手のナンパ師「俺、再玉から秘密の抜け穴通ってきたんだよね・・あのお城みたいな建物の403号室なんだけど、お姉さん見てみたくない?」
紫苑 「え!?ホント!?わたし都民なんだけど見学できる?」
教子 「ちょちょちょちょ!ちょっと変則的にしただけの手口に引っかからないでください!」
カオル「このゾーンは危険だわ・・走って通過しましょう」
これはカオルさんと私がついてないと危ない・・。
オツムがアレな美人は、この現代社会においては、簡単に悪い男の食い物にされてしまうのだろうな・・
教子は「まったく、世知辛い世の中だぜ」と思った。
一行が駆け足でややゆるい下り坂を抜けると、大きな車道に出る。
そこを渡れば、もう完全に繁華街だ。
おびただしいほどの数のドギツい発色の看板の海の中に、教子たちのお目当ての「激安の王道 ポンキ・ホーテ」の文字が見えてきた。
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