初めての彼女を目の前で寝取られたので◯殺したら死神と契約したので1億倍でやり返します

エリーゼ

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攻略レベル1「幼馴染」I

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桜坂綾乃には好きな人がいた。その人は幼い頃から何をするにも一緒で、互いの両親からはいつか結婚するんじゃない?とまで揶揄われるほどだった。

 ただ綾乃にとってそれは嫌なものでない。むしろ気分を高揚させ、自分達の将来を想像させた。

 だからこそ私は将来彼と結婚し、幸せな家庭を持つとものだと思っていた。

——————あの人と出会い、この快感を知ってしまうまでは。


———————————————————————

 玉川高校二年、桐谷京太は今日も極々普通の平凡な高校生として学校生活を謳歌していた。

 まぁ謳歌しているといってもとりわけ楽しいことをしているというわけではない。いつも通り授業を受けて、いつも通り親に作ってもらった弁当を食べ、いつも通り帰宅する。そんな毎日。

 みんなが憧れるスクールライフとは程遠い。俺はあくまで生徒A。ネームドの高校生になるつもりは毛頭ない。

 クラスメイトのみんなが部活動や生徒会、恋愛に花を咲かせる中、1人俺はさっさと家に帰る。  

 そして自分の部屋に入ると、俺はいつも通り仕事を始める。そう、全ては俺の夢のためにな。

「おかえりなさいませ京太様。鞄お預かり致します」

 俺の部屋は自動ドアではない。だが家の階段を登り、2階に上がって部屋の前に立つと自然に扉が開くのだ。どうしてそんなことが起きるのか?そんなの決まっている。最近俺が救った雇人、鈴木蘭の仕業だからだ

「やめろ。自分のことは自分でやる。それよりウサギ。いつもの定例報告を聞かせろ」

「かしこまりました」

 蘭は俺に一瞥し、最高級の銘柄ワインをグラスに注ぐ。
 
「兼ねてより進めていた一件に関することで、京太様に報告する情報は全部で2点ございます。まず1つ目は—————」

 早々と本題を切り出そうとする蘭、俺は手に持ったグラスをわざと音を立ててテーブルに置くと、やり直すよう暗黙の命令を立てた。

「申し訳ございません京太様やり直させていただきます」

 蘭は一度咳払いをすると、再び赤いマッサージチェアに座る京太に一礼する。

「この度京太様に報告する情報は全部で2点ございます。いい情報と悪い情報2つございますがどちらからお聞きなさいますか?」

「そうだな、まずは悪い情報から聞こうか」

「はい、コードネーム:サルより報告が入りました。内容は今回のターゲットである伊藤弘樹が桜坂綾乃に接触しました。現在桜坂の心は未だ男の快楽に屈服していないものの、時間の問題とのことです」
 
「なるほど。それで?いい情報とは?」

 蘭は俺の耳にそっと近づくと、この場に2人しかいないのにもかかわらず囁き声で呟いた。

「現在人気絶賛中の漫画スコッチマン、今日発売です」

「ほぅ」

 溢れそうになる笑みを抑えながら、俺は平静を装う。

「ならば後で本屋に」

「既に仕入れてあります」

「流石だ」

 蘭より一冊の単行本を手に取ると口にワインを含んだ。そしてなんとも魅惑に飾れた表紙を見ながらうっとり頰を緩ませる。

「この書物は後で解読する。第4の本棚にしまっておけ。今日の夜は多忙なため、時間が充てられないからな」

「かしこまりました京太様。夜と申し上げられましたが、何か予定が入っていましたでしょうか?」

「昨日貴様が作ったネット掲示板、見事であった」

「え、あ、ありがとうございます。京太様‥‥」

 急のお褒めな言葉に蘭は反射的に頭を下げた。京太様からのお言葉などそう滅多に貰えるものではないからだ。こんな自分に貰えるなど光栄の極みでしかない。

「恐らくいや———確実に今日その掲示板にて我らに救いの手を差し伸べようとする者が現れる」

タイミング的に今日だよな?多分。

「まさか——————ッ!」

え?なになに?そんなオーバーなリアクション取られても。

「感服致しました京太様。やはり貴方は全てを見切っていらしたのですね。実は昨夜掲示板にて私ウサギの元に連絡を受けておりました。内容は彼女である桜坂綾乃を鈴木弘樹という男に寝取られたため仕返しをして欲しい。金ならいくらでも払うと」

え?なにその今日一番の特大情報。全然知らなかったんですけど?

「何故それを報告しなかった?」

「すみません、依頼主のところに名無しとだけ書かれていましたので。そんな曖昧な情報で京太様を振り回したくないと思い。昨日から今まで放置しておりました」

 まさかの業務放棄!?しかも今一番の側近であるこいつが!?何やってんの!?

「そ、そうか。まぁいい。では後で掲示板を用いて返信を頼んだ。返事は”請け負ってやる”とな」

「かしこまりました。では話し合いの場はいつもの場所よろしいでしょうか?」

 振り向かず、優雅に手のひらを舞わせると、蘭は丁寧なお辞儀を返して部屋を去った

 俺は本棚から調達してもらった漫画本を手に取ると、ワイングラスをその手にメリエンダおやつの時間を楽しむ。

—————だが、その一時も簡単に瓦解する。

「きょーちゃんどうしてこんなに部屋を暗くしてるの?それより知らない?昨日スーパーで買った葡萄ジュース。冷蔵庫に入れといたはずなんだけど知らない?」

「‥‥‥知らない」


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