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国立魔法兵士学園編
第3話 天魔大戦
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チュンチュンチュン。
部屋の静寂を掻き切るようにスズメの鳴き声が聞こえてくると、少しずつ脳内の意識が覚醒していく。瞼を開き、視界を開くと真正面にベッドが見えた。
‥‥ベッド?なら僕はどこで寝ているんだ?手のひらの感触で場所を特定しようとするとすぐに分かった。布団とはかけ離れたザラザラした木の感触に、鼻をくすぐる檜の匂い。最初は適当な場所で寝落ちしてしまったのだと思ったのだが違った。ただ単にベッドの上から床に落ちただけだったんだ。
やれやれ、まったく、よっこらせ。独り言を大量に並べながらその場を起き上がっては朝食の支度を始める。昔から一人暮らしには慣れているため、朝食のメニューに困ることはない。そんな今日は目玉焼きだ。昨日の夜に作り、冷蔵庫に入れておいたため電子レンジでチンすればすぐに食べられる。
「やっぱり目玉焼きは醤油に限る」
というか目玉焼きは醤油以外で食べたことがない。他にもマヨネーズだとかソースだとかかける奴がいるらしいけど、そんなものは邪道だ。目玉焼きは醤油がベスト。異論は認めない。
ご飯に味噌汁、目玉焼きを平らげると時刻は午前7.30を示していた。学園には8.00までに登校し、30分までには教室に居なくてはならない。そろそろいい時間帯なので学校の支度を整えようと制服と鞄をロッカーから取り出すとちゃっちゃと着替えて部屋を出た。
これから向かうのは王都国立魔法兵士学園。卒業後はここレオニド王国直属の兵士になるか魔法学の研究者になるかいろんな進路が開かれる。王都国立ということもあり入学試験がとにかく厳しいエリート学園だ。高い学力に豊富な魔法の知識、自分の入る学部にもよるが兵士志望だったらそれなりの体術が必須だ。入学後は全寮制で校内に存在する寄宿での生活となり、規則と制限の毎日を送ることになる。
しかしこれは僕も疑問に思ったことではあるのだが、兵士になるためにそんな厳しい試験を課せられていては王国内の兵力は乏しくなる一方ではないかと。だがその心配はない。王国の戦力全体として王国護衛魔兵団として形成されており、編成としては大きく3つに分かれている。1つは外部への侵略や調査を主に活動とする特攻部隊。2つ目は王国内の侵略者を排除に徹底している護衛部隊。3つ目は特攻部隊と護衛部隊に具体的な作戦立案と物資や使用する戦力を調整する戦略部隊。以上の3つの隊が1つとなり、王国護衛魔兵団である。そしてここ王都国立魔法兵士学園に入学し、卒業資格を与えられたもののみが護衛部隊に入隊する資格を与えられ、さらにそこから魔法学や戦略面における成績が優秀な人材は戦略部隊に入隊できる。
じゃあ特攻部隊はこの学園に入らなくても入れるかって?その通り。言い方はキツイが特攻部隊は他の2つに比べて捨て身の覚悟で任務に当たらなくてはならない。外部戦力と接触するということはそれだけ命の危険があるから。だが兵士という職業は他の仕事に比べて年収が高い。農業職と比べると10倍は違うと思っていい。3つの隊は平等ということで貰う報酬に差はないが、できれば安全で名誉な職に就きたい。だから護衛部隊や戦略部隊を目指そうと王都国立魔法兵士学園は毎年倍率が高いのだ。だから入学試験がとにかく厳しい。そんな疾しい気持ちで入隊しようとする輩を除くために。簡単なカラクリだよね。
じゃあ僕はなんで入学できたって?それは———
「あんまりぼーっとしてると教官に鞭打たれちゃうよ?」
突如背中に衝撃が加わると、勢いで足が前へと踏み出してしまい歩調が崩れ前へと倒れ込んでしまった。
「イテテ‥何するんだよ。アカネ」
「うしし。ごめんごめん。歩いてたらちょうどカナタの背中が見えたからさ、つい突撃しちゃった!」
振り返るとそこには僕と同じ魔兵学科でクラスメイトの兵藤アカネがはっちゃけた笑顔で立っていた。
「知人を見かけたら突撃するって普通に異常行為だからね?」
「えー?でもでもカナタは別腹でしょ?ほら、突撃しやすい背中してるし」
「別腹の使い方おかしいし、それにどんな背中だそれは。僕の背中は闘牛が突っ込むハンカチじゃないんだからね」
そう文句を垂らしながら土や埃がついた制服を払った。アカネは自分のしたことに一切悪びれる様子もなくスタスタと先に走って行ってしまった。一騒動あって教室に入ると既に半分以上の生徒が教室にいた。入学して3ヶ月は経っている。そのため男子にしても女子にしてもグループは少しずつ固定化しており、休み時間を過ごす仲間も明白に分かるようになってきた。アカネも明るい性格が功を制したのか5.6人のグループで今も会話を楽しんでおり、明るい笑い声が教室一体に響いている。
そんな僕はというと。
‥‥‥
‥‥
‥
はいそうですよ。ぼっちですよ。入学早々友達作りに失敗してアカネに絡まれる以外一切学友に恵まれなかった哀れな男ですよ。別にコミュ症というわけじゃないだよ?誰かが話しかけてくれればそれなりに話せるし、何が面白くてわからなくてもとりあえず笑って話に合わせられるし。
「まぁでもここは強く逞しい兵士を育成する学園だもんね。友達作ったところでそいつはいつか戦死して悲しい思いするくらいなら友達作るなんて意味ないよ。うん。意味ない意味ない」
「おい、またあいつなんかぶつぶつ言ってるぞ」
「どうしたらあんな暗い性格になるんだよ。取り敢えず近寄らないでおこうぜ、呪われるかもしれねぇし」
こうしてカナタは人知れず友達を作る機会を失っていくのだった。
部屋の静寂を掻き切るようにスズメの鳴き声が聞こえてくると、少しずつ脳内の意識が覚醒していく。瞼を開き、視界を開くと真正面にベッドが見えた。
‥‥ベッド?なら僕はどこで寝ているんだ?手のひらの感触で場所を特定しようとするとすぐに分かった。布団とはかけ離れたザラザラした木の感触に、鼻をくすぐる檜の匂い。最初は適当な場所で寝落ちしてしまったのだと思ったのだが違った。ただ単にベッドの上から床に落ちただけだったんだ。
やれやれ、まったく、よっこらせ。独り言を大量に並べながらその場を起き上がっては朝食の支度を始める。昔から一人暮らしには慣れているため、朝食のメニューに困ることはない。そんな今日は目玉焼きだ。昨日の夜に作り、冷蔵庫に入れておいたため電子レンジでチンすればすぐに食べられる。
「やっぱり目玉焼きは醤油に限る」
というか目玉焼きは醤油以外で食べたことがない。他にもマヨネーズだとかソースだとかかける奴がいるらしいけど、そんなものは邪道だ。目玉焼きは醤油がベスト。異論は認めない。
ご飯に味噌汁、目玉焼きを平らげると時刻は午前7.30を示していた。学園には8.00までに登校し、30分までには教室に居なくてはならない。そろそろいい時間帯なので学校の支度を整えようと制服と鞄をロッカーから取り出すとちゃっちゃと着替えて部屋を出た。
これから向かうのは王都国立魔法兵士学園。卒業後はここレオニド王国直属の兵士になるか魔法学の研究者になるかいろんな進路が開かれる。王都国立ということもあり入学試験がとにかく厳しいエリート学園だ。高い学力に豊富な魔法の知識、自分の入る学部にもよるが兵士志望だったらそれなりの体術が必須だ。入学後は全寮制で校内に存在する寄宿での生活となり、規則と制限の毎日を送ることになる。
しかしこれは僕も疑問に思ったことではあるのだが、兵士になるためにそんな厳しい試験を課せられていては王国内の兵力は乏しくなる一方ではないかと。だがその心配はない。王国の戦力全体として王国護衛魔兵団として形成されており、編成としては大きく3つに分かれている。1つは外部への侵略や調査を主に活動とする特攻部隊。2つ目は王国内の侵略者を排除に徹底している護衛部隊。3つ目は特攻部隊と護衛部隊に具体的な作戦立案と物資や使用する戦力を調整する戦略部隊。以上の3つの隊が1つとなり、王国護衛魔兵団である。そしてここ王都国立魔法兵士学園に入学し、卒業資格を与えられたもののみが護衛部隊に入隊する資格を与えられ、さらにそこから魔法学や戦略面における成績が優秀な人材は戦略部隊に入隊できる。
じゃあ特攻部隊はこの学園に入らなくても入れるかって?その通り。言い方はキツイが特攻部隊は他の2つに比べて捨て身の覚悟で任務に当たらなくてはならない。外部戦力と接触するということはそれだけ命の危険があるから。だが兵士という職業は他の仕事に比べて年収が高い。農業職と比べると10倍は違うと思っていい。3つの隊は平等ということで貰う報酬に差はないが、できれば安全で名誉な職に就きたい。だから護衛部隊や戦略部隊を目指そうと王都国立魔法兵士学園は毎年倍率が高いのだ。だから入学試験がとにかく厳しい。そんな疾しい気持ちで入隊しようとする輩を除くために。簡単なカラクリだよね。
じゃあ僕はなんで入学できたって?それは———
「あんまりぼーっとしてると教官に鞭打たれちゃうよ?」
突如背中に衝撃が加わると、勢いで足が前へと踏み出してしまい歩調が崩れ前へと倒れ込んでしまった。
「イテテ‥何するんだよ。アカネ」
「うしし。ごめんごめん。歩いてたらちょうどカナタの背中が見えたからさ、つい突撃しちゃった!」
振り返るとそこには僕と同じ魔兵学科でクラスメイトの兵藤アカネがはっちゃけた笑顔で立っていた。
「知人を見かけたら突撃するって普通に異常行為だからね?」
「えー?でもでもカナタは別腹でしょ?ほら、突撃しやすい背中してるし」
「別腹の使い方おかしいし、それにどんな背中だそれは。僕の背中は闘牛が突っ込むハンカチじゃないんだからね」
そう文句を垂らしながら土や埃がついた制服を払った。アカネは自分のしたことに一切悪びれる様子もなくスタスタと先に走って行ってしまった。一騒動あって教室に入ると既に半分以上の生徒が教室にいた。入学して3ヶ月は経っている。そのため男子にしても女子にしてもグループは少しずつ固定化しており、休み時間を過ごす仲間も明白に分かるようになってきた。アカネも明るい性格が功を制したのか5.6人のグループで今も会話を楽しんでおり、明るい笑い声が教室一体に響いている。
そんな僕はというと。
‥‥‥
‥‥
‥
はいそうですよ。ぼっちですよ。入学早々友達作りに失敗してアカネに絡まれる以外一切学友に恵まれなかった哀れな男ですよ。別にコミュ症というわけじゃないだよ?誰かが話しかけてくれればそれなりに話せるし、何が面白くてわからなくてもとりあえず笑って話に合わせられるし。
「まぁでもここは強く逞しい兵士を育成する学園だもんね。友達作ったところでそいつはいつか戦死して悲しい思いするくらいなら友達作るなんて意味ないよ。うん。意味ない意味ない」
「おい、またあいつなんかぶつぶつ言ってるぞ」
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こうしてカナタは人知れず友達を作る機会を失っていくのだった。
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