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第二十七話『折れた剣を直しに』
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「この剣は……!」
折れたロングソード、その鍔部分に俺の『青天』と同じ太陽と山の印――ダニロさんの真印が刻まれている。
「これは、私が今は亡き師匠から譲り受けた剣です……」
悲しげに剣を見つめるフラン支部長。
なんでも、フラン支部長も元は冒険者で、この剣は亡くなった師匠が引退する時に譲り受けた物で、現役時代にとある魔物との戦闘で折ってしまったとの事……。
その魔物は倒し、フラン支部長は生き残ったものの、その不覚がショックで現役を引退し、その後ギルド職員に就職――約3年前、王都支部長に就任したという。
「何度か、供養しようかとも考えましたが、手放せずにいました……。ですが、今日、こうしてダニロ氏の剣を持つ者に巡り合えたのは、師の導きに思えてなりません。ジロウさん、お願いします!ダニロ氏に、この剣の修理を頼んで欲しいのです!どうかッ、お願いしますッ!!」
ちょっ、そんなテーブルに頭を打ちつけてまで……!?
「ふ、フラン支部長!頭を上げてください!わ、分かりました!何とかダニロさんに頼んでみますから!」
「本当ですか!?」
勢いよく顔を上げるフラン支部長。
あーあー、額が赤くなってるじゃないか……。
余程必死か、それだけこの剣が大切なのか。
その気持ちを汲んであげたいが……。
「ただ、その、頼んではみますが……ダニロさんが引き受けてくれるかまでは、ちょっと責任持てません。そこは、了承してください」
「勿論ですっ!修理に条件があれば、どんな事でもします!ダニロ氏にそう伝えてください!」
「わ、分かりました……!」
意気込みが凄い……!
思わず引いてしまいそうになるが……ここまで言っているんだ、俺も相応の覚悟で臨まなければ胸を張れないだろう。
「それでは……!」
フラン支部長は立ち上がり、足早に執務机に向かい、膨らんだ布袋を取り出して戻ってくる。
「これを」
テーブルの俺の前に置かれた布袋からは、ジャラッという金属が擦れる音がした。
中身は硬貨だな。
「金貨で100枚入っています。ダニロ氏の元へ向かう旅費として使ってください」
「金貨100枚!?そんな大金要りませんよっ!」
ここからデンゼルまでそんなに掛からねえし!
「余ったら前金として受け取ってください。 距離があるなら飛竜便や高速馬車を遠慮なく使って構いません。なんなら飛竜や六脚馬を購入してもらっても構いません。もし足りなくなれば幾らでも追加を――」
「だあ!ストップ!!もういい!!分かりましたから!!」
静かに見えて暴走しているこの支部長!
幾ら大切な剣の為と言ったって、会ったばかりの冒険者にそんな大金渡すとか絶対冷静じゃない!
かと言って、この金を受け取る受け取らないで問答していたら無駄な時間を浪費する予感がする……。
これ以上暴走させない為にも、ここは一先ずこの金貨を預かり、早くダニロさんの所に向かおう!
「直ちにダニロさんの元へ向かいます!」
「どうか、よろしくお願いします……!!」
腰から体を折って深々と頭を下げてくるフラン支部長。
少しの暴走は見たが、人柄は決して悪くない。
これを伝えれば、ダニロさんも頷いてくれるんじゃないかと思う。
折れた剣を収めたケースを預かり、支部長室を後にする。
さて、言った手前急がなかれば――先ずはキャスに事情を説明しないとな。
来た通路を戻って1階に戻ってみると、相変わらず冒険者が掲示板前に集まっていたが、若干混み具合は軽くなった様に見える。
さておき、キャスは……ああ、いたいた。
壁際に置かれた待合の椅子に座っているのを見つけた。
そこへ向かう。
「遅かったわね、ジロウ」
「ああ、待たせたか?」
「ちょっとね。で?そっちの用事は終わったの?」
「手紙は渡した。だが、こっちの支部長から依頼を受けてな。ちょっとデンゼルに行く事になった」
「デンゼルに?何か届け物?」
「言っていい事か分からんから秘密だ。用件が済んだらまた王都まで戻ってくるつもりだが、キャスはどうする?」
「うーん、それならアタシは王都にいるわ。アタシも丁度手頃な依頼を受けたところだし」
「そうか」
キャスが残るとなると、スムーズに合流できる様に宿を決めた方がいいかな。
「なら、先に宿を取ろう。そうすれば合流しやすい」
「そうね。んじゃ早速行きますか」
「おう」
キャスと一緒にギルドを出る。
さて、どこの宿に泊まるか……と、一から探す事にほんの少し面倒臭さを感じた時――
「ギルドで聞いといたわ。こっちよ」
キャスが指差し、先を行く。
そうか、ギルドで聞く手があったか……抜けていた。
反省しつつキャスについて行くと、10分掛からずに宿に到着――て、結構デカいな、木造を基本に石も使われていて外観は結構綺麗だし、4階建のマンションぐらいあるぞ?
「大丈夫か?宿代……」
一応、フラン支部長から預かった金貨があるにはあるが……あんまり浪費はしたくない。
「大丈夫よ。ここ、商業ギルドと冒険者ギルドが提携して営業してる宿なんだって。ギルド証を提示すれば、割引も受けられるってさ」
「へえ~」
なるほど、そういう事か。
提携なんて事もするんだ、ギルド同士って。
「さっ、入りましょ」
「おう」
中に入ると、エントランスも綺麗というか清潔だ。
内装は機能性重視で、あまり装飾はない。
無駄というと語弊があるかもだが、必要のないものを極力減らす事でコストカットをしているのかもしれない……うん、日本を思い出してしまうな。
どこの世界でも、経費節減となると辿る道筋は似た様なものなのかもしれない。
さておき、部屋を取らねば――受付に向かう。
「いらっしゃいませ。御用を承ります」
ピシッと制服を着たオールバックのホテルマンが、様になったお辞儀をしてくる。
うん、第一印象は良いな。
「泊まりたいんだけど、2部屋空いてるかしら?」
「はい、ございます」
キャスの問いに、澱みなく答えるホテルマン。
「どの様なお部屋をお望みでしょうか?」
「逆にどんな部屋があるんです?」
聞いてみると、部屋のタイプは全部で5種類――一人部屋・二人部屋・風呂付き一人部屋・風呂付き二人部屋・スイートルームとなる。
俺とキャスはそれぞれ風呂付き一人部屋を取った。
宿代は一泊金貨1枚――冒険者ギルド証を提示する事でキャスは三割引きで銀貨7枚、俺は一割引きで銀貨9枚になった。
ランクが低い方が割引率が高いのは、ランクによる収入を考慮しているんだと。
特に文句はないので、一先ず10日泊まる。
アニータから貰った報酬で懐には余裕があるから問題ない。
「こちらがお部屋の鍵になります。お出かけの際はフロントにお預けください」
渡された鍵の番号から部屋に向かう。
番号が飛んでいるから、隣り合わせとはいかない様だが、どっちの部屋も3階にあるらしい。
階段を上がって案内板を頼りに探し、それぞれの部屋へ行く。
「んじゃ、アタシの部屋はあっちみたいだから」
「おう」
廊下の途中でキャスと別れる。
それから少し探して俺の部屋を見つけたので、中に入る。
ベッド・机・椅子が1つずつ、全て簡素ではあるが機能美を感じるデザインだと俺は思うし、埃もなく、シーツも白くて清潔だから、良い部屋だ。
この世界に来てから、宿はハズレを引かずに済んでいるのはきっと幸運なんだろう。
「おっ、これが個室風呂か」
部屋の中の扉を開けて入ると、中には白くて表面がツルツルした四つ足のバスタブと木桶が置かれていた。
このバスタブ、琺瑯だろうか?
これが一部屋ずつ、それなりの数で置かれていたら結構金が掛かりそうに思う……。
それでお湯代込みのあの宿泊代なら、良心的と言えるんじゃなかろうか。
まあ、俺は自分の魔法で湯を用意できるんだが……残念ながら、それによる値引きは無い。
「さてと」
部屋の確認が終わったところでひとっ風呂――で違う!
ダニロさんの所へ行くんだ!
風呂は依頼を片付けてから!
フラン支部長から預かったケースを持って、部屋を出る。
受付まで降りて、鍵を預け、早足で街の外へ――飛竜便や高速馬車も乗ってみたいが、それはもっとゆっくり出来る時に楽しむ。
ダニロさんが暮らす職人の町デンゼルまでは『風魔法』の『飛行』を使う――バーグ砦で使って、もう使える事は分かったから活用する。
ただし、人目に付くのは避けたいので街から離れて、街道から外れてからだ。
「……よし」
道から外れた茂みの中、周りに人がいないのを確認してから魔法を発動――風で体を包み、空に飛び上がる。
「おおー!」
改めて飛んでみると感動!
俺、風になってる!
バーグ砦の戦いでは、それどころじゃなかったからな。
「まあ、今も感動に浸ってはしゃいでる場合じゃないか」
用事が済んでいないと落ち着けない――急ごう。
なるべく高く、雲に近い高さまで上がってからデンゼルの町へ向かう。
ここまで高ければ余程上を見上げて凝視でもしなければ見つかる事はないだろう。
それに、俺からは街と道が広く見渡せるので、迷わなくて済む。
空が飛べるというのは実に便利、しかし人間は元来飛べない生物、だから地球では飛行機が――こちらでは飛竜便が高額でも重宝されているんだろう。
「おっと」
いかん、考えながら飛んでいたら通り過ぎるところだった。
もう真下にデンゼルの町がある。
少し離れた、人目に付かない場所を探して降りなければ……。
そうして俺はその日の内にデンゼルの町に到着し、ダニロさんの元へ向かった――。
折れたロングソード、その鍔部分に俺の『青天』と同じ太陽と山の印――ダニロさんの真印が刻まれている。
「これは、私が今は亡き師匠から譲り受けた剣です……」
悲しげに剣を見つめるフラン支部長。
なんでも、フラン支部長も元は冒険者で、この剣は亡くなった師匠が引退する時に譲り受けた物で、現役時代にとある魔物との戦闘で折ってしまったとの事……。
その魔物は倒し、フラン支部長は生き残ったものの、その不覚がショックで現役を引退し、その後ギルド職員に就職――約3年前、王都支部長に就任したという。
「何度か、供養しようかとも考えましたが、手放せずにいました……。ですが、今日、こうしてダニロ氏の剣を持つ者に巡り合えたのは、師の導きに思えてなりません。ジロウさん、お願いします!ダニロ氏に、この剣の修理を頼んで欲しいのです!どうかッ、お願いしますッ!!」
ちょっ、そんなテーブルに頭を打ちつけてまで……!?
「ふ、フラン支部長!頭を上げてください!わ、分かりました!何とかダニロさんに頼んでみますから!」
「本当ですか!?」
勢いよく顔を上げるフラン支部長。
あーあー、額が赤くなってるじゃないか……。
余程必死か、それだけこの剣が大切なのか。
その気持ちを汲んであげたいが……。
「ただ、その、頼んではみますが……ダニロさんが引き受けてくれるかまでは、ちょっと責任持てません。そこは、了承してください」
「勿論ですっ!修理に条件があれば、どんな事でもします!ダニロ氏にそう伝えてください!」
「わ、分かりました……!」
意気込みが凄い……!
思わず引いてしまいそうになるが……ここまで言っているんだ、俺も相応の覚悟で臨まなければ胸を張れないだろう。
「それでは……!」
フラン支部長は立ち上がり、足早に執務机に向かい、膨らんだ布袋を取り出して戻ってくる。
「これを」
テーブルの俺の前に置かれた布袋からは、ジャラッという金属が擦れる音がした。
中身は硬貨だな。
「金貨で100枚入っています。ダニロ氏の元へ向かう旅費として使ってください」
「金貨100枚!?そんな大金要りませんよっ!」
ここからデンゼルまでそんなに掛からねえし!
「余ったら前金として受け取ってください。 距離があるなら飛竜便や高速馬車を遠慮なく使って構いません。なんなら飛竜や六脚馬を購入してもらっても構いません。もし足りなくなれば幾らでも追加を――」
「だあ!ストップ!!もういい!!分かりましたから!!」
静かに見えて暴走しているこの支部長!
幾ら大切な剣の為と言ったって、会ったばかりの冒険者にそんな大金渡すとか絶対冷静じゃない!
かと言って、この金を受け取る受け取らないで問答していたら無駄な時間を浪費する予感がする……。
これ以上暴走させない為にも、ここは一先ずこの金貨を預かり、早くダニロさんの所に向かおう!
「直ちにダニロさんの元へ向かいます!」
「どうか、よろしくお願いします……!!」
腰から体を折って深々と頭を下げてくるフラン支部長。
少しの暴走は見たが、人柄は決して悪くない。
これを伝えれば、ダニロさんも頷いてくれるんじゃないかと思う。
折れた剣を収めたケースを預かり、支部長室を後にする。
さて、言った手前急がなかれば――先ずはキャスに事情を説明しないとな。
来た通路を戻って1階に戻ってみると、相変わらず冒険者が掲示板前に集まっていたが、若干混み具合は軽くなった様に見える。
さておき、キャスは……ああ、いたいた。
壁際に置かれた待合の椅子に座っているのを見つけた。
そこへ向かう。
「遅かったわね、ジロウ」
「ああ、待たせたか?」
「ちょっとね。で?そっちの用事は終わったの?」
「手紙は渡した。だが、こっちの支部長から依頼を受けてな。ちょっとデンゼルに行く事になった」
「デンゼルに?何か届け物?」
「言っていい事か分からんから秘密だ。用件が済んだらまた王都まで戻ってくるつもりだが、キャスはどうする?」
「うーん、それならアタシは王都にいるわ。アタシも丁度手頃な依頼を受けたところだし」
「そうか」
キャスが残るとなると、スムーズに合流できる様に宿を決めた方がいいかな。
「なら、先に宿を取ろう。そうすれば合流しやすい」
「そうね。んじゃ早速行きますか」
「おう」
キャスと一緒にギルドを出る。
さて、どこの宿に泊まるか……と、一から探す事にほんの少し面倒臭さを感じた時――
「ギルドで聞いといたわ。こっちよ」
キャスが指差し、先を行く。
そうか、ギルドで聞く手があったか……抜けていた。
反省しつつキャスについて行くと、10分掛からずに宿に到着――て、結構デカいな、木造を基本に石も使われていて外観は結構綺麗だし、4階建のマンションぐらいあるぞ?
「大丈夫か?宿代……」
一応、フラン支部長から預かった金貨があるにはあるが……あんまり浪費はしたくない。
「大丈夫よ。ここ、商業ギルドと冒険者ギルドが提携して営業してる宿なんだって。ギルド証を提示すれば、割引も受けられるってさ」
「へえ~」
なるほど、そういう事か。
提携なんて事もするんだ、ギルド同士って。
「さっ、入りましょ」
「おう」
中に入ると、エントランスも綺麗というか清潔だ。
内装は機能性重視で、あまり装飾はない。
無駄というと語弊があるかもだが、必要のないものを極力減らす事でコストカットをしているのかもしれない……うん、日本を思い出してしまうな。
どこの世界でも、経費節減となると辿る道筋は似た様なものなのかもしれない。
さておき、部屋を取らねば――受付に向かう。
「いらっしゃいませ。御用を承ります」
ピシッと制服を着たオールバックのホテルマンが、様になったお辞儀をしてくる。
うん、第一印象は良いな。
「泊まりたいんだけど、2部屋空いてるかしら?」
「はい、ございます」
キャスの問いに、澱みなく答えるホテルマン。
「どの様なお部屋をお望みでしょうか?」
「逆にどんな部屋があるんです?」
聞いてみると、部屋のタイプは全部で5種類――一人部屋・二人部屋・風呂付き一人部屋・風呂付き二人部屋・スイートルームとなる。
俺とキャスはそれぞれ風呂付き一人部屋を取った。
宿代は一泊金貨1枚――冒険者ギルド証を提示する事でキャスは三割引きで銀貨7枚、俺は一割引きで銀貨9枚になった。
ランクが低い方が割引率が高いのは、ランクによる収入を考慮しているんだと。
特に文句はないので、一先ず10日泊まる。
アニータから貰った報酬で懐には余裕があるから問題ない。
「こちらがお部屋の鍵になります。お出かけの際はフロントにお預けください」
渡された鍵の番号から部屋に向かう。
番号が飛んでいるから、隣り合わせとはいかない様だが、どっちの部屋も3階にあるらしい。
階段を上がって案内板を頼りに探し、それぞれの部屋へ行く。
「んじゃ、アタシの部屋はあっちみたいだから」
「おう」
廊下の途中でキャスと別れる。
それから少し探して俺の部屋を見つけたので、中に入る。
ベッド・机・椅子が1つずつ、全て簡素ではあるが機能美を感じるデザインだと俺は思うし、埃もなく、シーツも白くて清潔だから、良い部屋だ。
この世界に来てから、宿はハズレを引かずに済んでいるのはきっと幸運なんだろう。
「おっ、これが個室風呂か」
部屋の中の扉を開けて入ると、中には白くて表面がツルツルした四つ足のバスタブと木桶が置かれていた。
このバスタブ、琺瑯だろうか?
これが一部屋ずつ、それなりの数で置かれていたら結構金が掛かりそうに思う……。
それでお湯代込みのあの宿泊代なら、良心的と言えるんじゃなかろうか。
まあ、俺は自分の魔法で湯を用意できるんだが……残念ながら、それによる値引きは無い。
「さてと」
部屋の確認が終わったところでひとっ風呂――で違う!
ダニロさんの所へ行くんだ!
風呂は依頼を片付けてから!
フラン支部長から預かったケースを持って、部屋を出る。
受付まで降りて、鍵を預け、早足で街の外へ――飛竜便や高速馬車も乗ってみたいが、それはもっとゆっくり出来る時に楽しむ。
ダニロさんが暮らす職人の町デンゼルまでは『風魔法』の『飛行』を使う――バーグ砦で使って、もう使える事は分かったから活用する。
ただし、人目に付くのは避けたいので街から離れて、街道から外れてからだ。
「……よし」
道から外れた茂みの中、周りに人がいないのを確認してから魔法を発動――風で体を包み、空に飛び上がる。
「おおー!」
改めて飛んでみると感動!
俺、風になってる!
バーグ砦の戦いでは、それどころじゃなかったからな。
「まあ、今も感動に浸ってはしゃいでる場合じゃないか」
用事が済んでいないと落ち着けない――急ごう。
なるべく高く、雲に近い高さまで上がってからデンゼルの町へ向かう。
ここまで高ければ余程上を見上げて凝視でもしなければ見つかる事はないだろう。
それに、俺からは街と道が広く見渡せるので、迷わなくて済む。
空が飛べるというのは実に便利、しかし人間は元来飛べない生物、だから地球では飛行機が――こちらでは飛竜便が高額でも重宝されているんだろう。
「おっと」
いかん、考えながら飛んでいたら通り過ぎるところだった。
もう真下にデンゼルの町がある。
少し離れた、人目に付かない場所を探して降りなければ……。
そうして俺はその日の内にデンゼルの町に到着し、ダニロさんの元へ向かった――。
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