異世界創治〜女神がやられて崩壊した治世をMMOシステムで治します~

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第4話「小金井彰人Ⅲ」

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 ギルドの本棚で薬草やらスライムの情報をスクショして建物を抜けた。現代様々だな。一先ず噴水広場へ戻ってきた。イースの中心とも言えるからこれからの活動拠点風景っていうのは自分の情景に落とし込んでおかないと旅行気分が抜けない。自分がひどく孤立しているよう感じるのはいつものこと、と自覚せずに自戒せねば。隣の相棒に心配をかけるわけにはいかない。
「そんじゃあ依頼を確認するぞ!っの前に...」
 と、シルクは手慣れた手付きで依頼内容を映した画面を表示させ、パーティー内チャットに変更した。意味があるのかと言いかけると、他のパーティーが盗み聞きしている可能性ともう一つの確信を教えてもらった。
「このゲームのNPCは現代の人達がいるように思った方がいいってこと」
「というと?」
「あるパーティーがチャットなしで酒場で報酬の話とかしてたら裏路地で襲われて報酬を奪われたっていうんだ」
「えぇ?」
「信じられないと思うけど本当の話で、そういったスキルだったり特性を活かすNPCがいて聴いた内容を仲間内で共有して、タイミング良く襲うって。アキもログアウトしたらそういったアングラスレみたいなのも確認しておくといいぞ」
「お、おう」
 酒場で盗聴できるってことは斥候スカウトみたいなのがいて新人っぽいやつから報酬を奪って食いつないでるってことだよな。やってる事は非道で認められたものじゃないが、それを黙認というかシステムとして導入しているこのゲームがすごいってことになるな。開発者視点として考えるなら突発的なクエストを条件に報酬の上乗せだったり、この街の治安を良くするといった行為が成立するから友好度か何かが上がるんだろうな。その代わり、難易度としては高い方だろうな...。備えはしておいた方がいいか。
「そんじゃあ先に薬草を採って...そういや依頼と違う草もスクショしてたよな?」
「あぁ、あれね。杞憂じゃなきゃいいなって」
 シルクは?を浮かべたがそれでいいと思う。華々しいゲームライフを昏い体験で汚されたくないからな。
 イース中心街から離れて東側へと進む。商店街のような場所もあれば市場のような茣蓙ござを敷いて商品を置いてたり、屋台に商品を陳列してたりする。シルクは見後れせずにある場所にズンズンと歩いているのでその後ろに続いていった。
「シルクどこに行くんだ?」
「ここで商売をしてるプレイヤーがいるんだ!格安で売ってくれたり、ホットな情報とかも教えてくれるんだ!ほら、あそこだ!」
 シルクが指差した方向を見やると猫の耳が屋台骨に組み込まれたなんともファンシーな屋台だ。看板を確認する。
山猫の集いキャットゲッサー?」
 ファンシーな割にワイルドな猫がいるのやもしれない。屋台自体はそこらにある屋台の商品に近しいのが陳列し、値段も初心者にお手頃な価格で売っているようだ。この値段で赤字にならないか心配になるが別の手段で稼いでいるとみた。シルクの言葉を借りるなら情報・・・だ。
 そう考えていると屋台の裏手よりひょっこりと黒い耳をピンと伸ばした猫の獣人が現れた。服装はミリタリージャケットに複数のポケットにいくつかの膨らみがあり、ボタンを留めていない分、僅かな膨らみをした緑のインナーが見えた。ポケットの中身は商品なのか、武器なのかはさておき。下はミリタリーに合わせたパンツを履いている。ニャアと中性的な声と共に俺らの前で営業猫スマイルをする。
山猫の集いキャットゲッサーにようこそにゃ!商品をみていくにゃ?それとも...おや?シルクにゃないか」
 どんだけ俺がログインする前に交友関係広めているんだこの相棒は。よっと手を挙げて猫獣人とハイタッチする。なんか肉球に触れたらエフェクトっぽいのが見えたぞ?
「今日は俺の相棒の紹介も兼ねて情報もらいにきたぜ!」
「にゃあ~シルクが言ってたのはあんたにゃ。」
 目を細めて俺を値踏みするように視線を動かす猫獣人。現代でやったら顰蹙ものだがゲームの世界だもの。たっぷり見るといい、といいつつ少し恥ずかしさもしばしば。と、思案していたところで猫獣人は見やるのを止めてシルクに視線を移す。
 「アキ、こちらはミリさんだ!」
 「にゃあはミリだにゃ。クラン山猫の集いキャットゲッサーに所属してこの屋台でクランに仕入れた商品と情報を売買しているにゃ」
 ミリは商人ならではのにこやかさで自己紹介を済ませ、俺も適当に自己紹介を済ませた。シルク曰く、ミリが仕入れた物は最前線の攻略にも使われているらしく、初心者にも玄人にも人気があるそうだ。そして、今回は初心者である俺の為にシルクが一肌脱いでくれたようで非常にありがたい。早速情報料とかも鑑みて聴くか。
 「イース周辺で薬草とスライムが同時に出現する場所はあるか?」
 「ふむふむ、まだレベルを上げてないとなると始まりの森であるスタットの森がいいにゃね。入口付近にはちょこちょこスライムが出るにゃ。薬草も茂みを探してみるといいにゃね。ただ、森の奥にいくと強いスライムだったりゴブリンも出るから注意にゃ」
 「ゴブリンは分かるけど強いスライムってのは?」
 「追加料金にゃ」
 「がめついな」
 「アキ心配ないぞ!!森の奥にいかなれけばいいだけだからな!!」
 「まぁそうなんだが……」
 初心者価格ということで5銅貨だけを支払った。初期の手持ちとして誰でも100銅貨ほど貰える。価格もここでおさらいしてみるか、ということでシルクにそれとなく聞いてみた。部活動バリバリの快男児はしゃべりだしたら止まらない。
 1銅貨カッパー=100円 1銀貨シルバー=1000円 1金貨ゴールド=10000円
 1白金貨プラチナ=100000円 1虹貨こうか=1000000円 
 「表記は漢字だけどこの世界だと英語で呼んでいるらしい。そんで虹貨だけは音読み」
 「クランとかに入ってにゃいのによく知っているにゃねシルク」
 「アキに楽しんでもらうために勉強したぜ!!」
 あぁもう、そういうこっぱずかしいことを平気で言うんだからこの男は。ニヨニヨする猫獣人の視線から身体ごと逸らして咳ひとつ。
 「んんっ……。ありがとな、シルク」
 「いいってことよ!!」
 なんか居たたまれない気持ちになったのでミリの店で必要な道具一式を揃えてその場を後にした。ミリの情報に従ってスタットの森へ向かいますか。
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