風と、海と、太陽と。 ~ Feel the Wind ~

清野 星弥

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第6章 ― 風と、海と、太陽と。ー

第6話 太陽の向こう側

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 それから約2カ月経ち、美奈がシカゴへ行く日がやって来た。

 地元の空港からの直行便は無い。
成田行きの国内線の見送りには両親の他には大学の友人数名と
紗耶香と雅哉、それに治希と愛がいた。

 それぞれが順番に別れの握手をし、愛は美奈の耳元でこう言った。

 「ねえ、結婚したら式には来てくれる?招待状出してもいいかな?」

 「もちろん。相手が違ったら行かないけどね」

 「大丈夫。色々ありがとう。元気でね」

 最後に治希が握手をした。

 「元気で。美奈ならきっと母国語を話すヤツらにも負けないよ」


 「だからぁ、私を化け物みたいに言わないでってば」

 愛のその言葉がみんなの笑いを誘った。

 「治希、槙野ちゃんとうまくやっていってね」

 「美奈に言われなくてもそのつもりだよ」

 「じゃあね。さようなら・・・治希」

 「うん。元気で。さようなら・・・美奈。」

 搭乗ロビーに向かう美奈の後ろ姿を見送りながら、
治希は左にいる愛の右手を強く握り締めていた。

 「なあ、愛。美奈と最後、何を話したの?」

 「気になるの?」

 「別に言わなくてもいいけどさ」

 「じゃあ、教えない」

 「お前、美奈と仲良くなってから性格悪くなったんじゃない?」

 「そんなことないもん」

 愛はほほを少し膨らませて怒った表情を見せた。

 最後に美奈が振り返った時、治希は愛の右手を握り締めたまま、
一緒に大きく手を振った。美奈はそれに答えるように、
チケットを持った右手を大きく振っていた。


 「美奈ちゃん、行っちゃったね」

 「うん」

 美奈が搭乗している機体が滑走路を南へ走り、
快晴の青い空へと飛び立つ機影(すがた)を、
ふたりは空港のフェンスの外側から見上げていた。


 機影と太陽が重なり、治希はサングラス越しに目を細めた。
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