死神見習いと過ごす最後の一年

小泉洸

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初詣

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 新年、明けましておめでとう!

みんな、今年もよろしくっていうか、俺にとっては最後の年だ。

覚悟が決まったわけでも悟ったわけでも無いが、

死と隣り合わせという恐怖をなんとか飼い慣らしているといった感じが続く。

いつ牙を剥かれるかはわからないが、そのときはそのときだろう。


 三が日は混むので初詣に行くのは控えていたが、さすがに松の内の間には行こうということになって、

サリーと俺は、冬休みの最終日に氷川神社へお参りに行くことにした。

それでも結構な人出があって、露店もにぎやかだった。

いいもんだな。

ぴりっと冷たい空気の中、いつもよりさらに清々しい境内に足を踏み入れる。

身が引き締まるとはこういうことを言うのだな。

初詣をすませ、神社の隣にある公園を少し散歩してから帰ろうということになった。

少し奥にある池には、どこから迷い込んだか白鳥が数羽水面に浮かんで、
しきりにくちばしで羽の手入れをしていた。

サリーが俺を見上げながらニコニコしながら言った。

「寒いけど、気持ちいいね!」

ああ、そうだな。天気も良いし。

少女が無邪気に聞く。

「ねえ、勇気は、なにお祈りした?」

俺は絶句してしまった。なにを祈ったかな?

なんか、ありがとうございました、と思っただけだったな。

俺の寿命はもう長くないわけだし。

そうは正直に言えず、健康とかそういうのだよ、と俺は誤魔化した。

少女は言った。

「私はね、いっぱいお祈りしたんだ」

神様が神様にお祈り?

「ほら、神様も色々得意不得意があるから、私の不得意なところをお祈りするわけ」

俺は、どんなこと?と尋ねた。

少女は悪戯っぽく笑いながら言った。

「内緒!でも、いつか教えて上げるね」


そこで、あっとサリーは声を上げた。俺は聞いた。

「どうしたの?」

サリーは答えた。

「おみくじ引かなくちゃ」

神様だと、自由に好きなのが引けちゃうんじゃないの、大吉引き放題みたいな?

少女は首をぶんぶん振って言った。

「そういうときには、運任せにするの。面白くないじゃない!」

なるほど一理あるな、俺は苦笑した。じゃあ境内に戻って、一緒におみくじを引こうか。

「大吉だ!」

少女は満面の笑みである。

なになに、学問成就する、待ち人来る、不動産よし、金運よし、いいじゃないか。

恋愛は「内緒!」

そうか、内緒か。俺は笑った。それでいいよ。じゃあ俺も見てみるか。

 開けてびっくり、これまた大吉だった。

内容はというと、学問辛抱すべし、やがて成る。待ち人、遅くなるが来る。

金運、しばし待て。健康、やがて癒える。

おいおい、大吉っぽく無いぞ。恋愛運は、「大願成就する」?!

まあ悪くないけど、いまさら恋愛で大願成就するって言われてもな。

残った数ヶ月楽しめと言うことか?

俺は溜め息をついた。

サリーが俺を見上げて言った、どうだった?

「大吉だったよ、見る?」

俺のおみくじをサリーは眺めて、すぐに、にっこりと笑った。

「大願成就するって!」

ああ、成就するらしいぞ。今年はきっとモテモテだな、と俺は言った。

少女は朗らかに笑いながら言った。

「そうだね、きっとモテモテだよ!」

まあモテないよりはいいか。俺は苦笑した。そして言った。

「じゃあ、家に帰ろうか」

うん!と嬉しそうにサリーは答えて、もう一度繰り返した。

「大願成就するって!」
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