悪役令嬢に転生するも魔法に夢中でいたら王子に溺愛されました

2章

88話

　私達の力によって、邪神を消滅させることに成功する。
　全てが終わって夕方になり――魔法披露会は延期になるけど、準備されていた後夜祭は開催されていた。
　パーティ会場には皆が揃っていて、私はレックス殿下、ロイ、ルート、カレンに話す。

「準備していた料理もあるみたいなので、後夜祭は二度行われるみたいですね」

　今日と、一週間後に行われる魔法披露会の後で……その間は休校になるようだ。
　ブラックドラゴンの群れや、ロウデス教団員の襲撃による学園側で負傷者が出ていて、校舎も一部が壊れてしまっている。
　対処が早かったから、ロウデスに魂を吸い取られた人達は無事だった。
　
「披露会の会場に戦力を集中させ、ブラックドラゴンの群れは主にリリアンを狙っていたから死者は出なかったようだ」

「魔力を注ぎ込んでロウデスを復活させた結果、ロウデス教団員は全員意識を失って捕らえるのが楽だったから……ロウデス教は完全に崩壊したようだね」

　あの後、ロウデス教団員は意識を失っていたから、誰も逃がさず捕らえることができたようだ。
　心の支えだった邪神が完全に消滅したことで、ロウデス教は完全に崩壊したらしい。
　私はロウデスを倒した後に、決まったことについて話す。

「あの後……ラギルの処罰がなくて、よかったです」

　ラギルは、魔法が優秀でロウデス教に洗脳されていた平民だ。
　魔法が優秀なことには変わりないから、先生達の判断で除籍しないことが決まったようだ。
　エドガーもロウデス教とは無関係で、ラギルが助かったことに安堵していた。
　怪しまれないようにロウデス教とは無関係の人に取り入ったようで、何も知らないから罪にはなっていない。

「ダドリックも今回の行動が認められたことで、罪が軽くなるようだな」

「それでも、数年は観察処分だけど……あそこまで重い手枷が着けられる程でもなくなるみたいだね」

　ロウデスとの戦いが終わってから知っていることを話して、私は安堵していた。
　ゲーム通りなら……レックス殿下がゲームの主役カレンに告白して、エンディングになる。
　確か後夜祭のパーティで二人きりになる場面があって、お互い思いを伝え合っていたはず。
　今はゲームと違い、皆で楽しんでいる状況に嬉しくなって――私は呟く。

「もう……ゲームとは違いますね」

　邪神は消滅して、邪神教も完全に崩壊している。
　ゲーム以上の結末になった結果だと、私は確信することができていた。