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1話
朝起きて食卓に到着した私に対して、カルス・ルジャスがいきなり宣言する。
「パトリシア! 今この瞬間をもって、貴様との婚約を破棄する!」
早朝から何を言っているのだろうかと、私は呆れるしかなかった。
食卓にはカルスの父と母と妹がいるけど、私の反応を見て楽しげに笑い。
「私達は伯爵家……子爵家のパトリシアよりも、相応しい女性が婚約者になりたいと言っている」
「侯爵令嬢のミュリナ様が婚約したいとカルスに言った時点で、子爵家の令嬢は不要ということですのよ」
カルスの父と母の発言を聞いて、ようやく婚約破棄された理由を納得する。
それでも理解できないことが多くて……唖然としながらも、私は聞いてしまう。
「あの、それってルジャス家が急激に繁栄したからだと思うのですが、よろしいのですか?」
そして、ルジャス家の繁栄は私が婚約者になって、この屋敷に来てからだと理解しているのだろうか。
この家の婚約者になって、私の趣味だった魔法の研究が更に進んでいた。
実験として色々なことを試した結果、ルジャス家が繁栄したからこそ、婚約破棄を告げる理由が解らない。
試しに聞いてみると、困惑した様子でカルス父が尋ねる。
「よろしいとは、どういうことだ?」
「その繁栄は私の力によるものが大きいと思うのですが、よろしいのでしょうか?」
そう言うと――食卓にカルス達の笑い声が響く。
どうやら私を馬鹿にしているように笑っていて、困惑していると。
「ははははっ! パトリシアよ。まさか貴様は自分が幸運の女神だとでも思っているのか?」
「この繁栄はルジャス家に仕える者達の力によるものだ。自分のお陰だとよくも言えたものだ」
……その仕えている人達が、今の代のルジャス家は無能だと陰で言ってたわね。
色々と興味本位で試してみたら、それが成功することが多かった。
それによってルジャス家が繁栄しているのならいいことだと、私は今まで思っていた。
興味本位で様々なことをし過ぎて、激務になっていたと自覚している。
繁栄したのは私の力が大きいとは、ルジャス家は絶対に信じない。
このカルス達の反応を見た時点で……私としても婚約を破棄したくなっている。
カルスの発言は私を馬鹿にしているのが多いから、服に仕込んでいた録音できる魔道具を起動させていたのは正解だった。
今の発言だけで十分だと思うけど、念のため私はカルスに尋ねる。
「カルス様は私との婚約を破棄をする……もし再び婚約したいと頼んできても、私は拒みます」
「そんな未来はありえない。それでは早速、この魔道具にサインをしてもらおうか」
やけに急かしてくる辺り、既に侯爵令嬢ミュリナとの婚約が決まっていそう。
ミュリナも婚約者との婚約を破棄させて急成長したルジャス家と関係を持ちたいのだから、自業自得だ。
「2枚用意してください」
「いいだろう」
勝手に捨てて婚約破棄してないと言われると面倒だから、カルス用と私用の2枚の紙を用意させる。
さっさと私と婚約破棄したいカルスは2枚の紙に魔道具のペンでサインをして、私もサインをする。
これによって婚約破棄が決まり――私は自由になっていた。
「パトリシア! 今この瞬間をもって、貴様との婚約を破棄する!」
早朝から何を言っているのだろうかと、私は呆れるしかなかった。
食卓にはカルスの父と母と妹がいるけど、私の反応を見て楽しげに笑い。
「私達は伯爵家……子爵家のパトリシアよりも、相応しい女性が婚約者になりたいと言っている」
「侯爵令嬢のミュリナ様が婚約したいとカルスに言った時点で、子爵家の令嬢は不要ということですのよ」
カルスの父と母の発言を聞いて、ようやく婚約破棄された理由を納得する。
それでも理解できないことが多くて……唖然としながらも、私は聞いてしまう。
「あの、それってルジャス家が急激に繁栄したからだと思うのですが、よろしいのですか?」
そして、ルジャス家の繁栄は私が婚約者になって、この屋敷に来てからだと理解しているのだろうか。
この家の婚約者になって、私の趣味だった魔法の研究が更に進んでいた。
実験として色々なことを試した結果、ルジャス家が繁栄したからこそ、婚約破棄を告げる理由が解らない。
試しに聞いてみると、困惑した様子でカルス父が尋ねる。
「よろしいとは、どういうことだ?」
「その繁栄は私の力によるものが大きいと思うのですが、よろしいのでしょうか?」
そう言うと――食卓にカルス達の笑い声が響く。
どうやら私を馬鹿にしているように笑っていて、困惑していると。
「ははははっ! パトリシアよ。まさか貴様は自分が幸運の女神だとでも思っているのか?」
「この繁栄はルジャス家に仕える者達の力によるものだ。自分のお陰だとよくも言えたものだ」
……その仕えている人達が、今の代のルジャス家は無能だと陰で言ってたわね。
色々と興味本位で試してみたら、それが成功することが多かった。
それによってルジャス家が繁栄しているのならいいことだと、私は今まで思っていた。
興味本位で様々なことをし過ぎて、激務になっていたと自覚している。
繁栄したのは私の力が大きいとは、ルジャス家は絶対に信じない。
このカルス達の反応を見た時点で……私としても婚約を破棄したくなっている。
カルスの発言は私を馬鹿にしているのが多いから、服に仕込んでいた録音できる魔道具を起動させていたのは正解だった。
今の発言だけで十分だと思うけど、念のため私はカルスに尋ねる。
「カルス様は私との婚約を破棄をする……もし再び婚約したいと頼んできても、私は拒みます」
「そんな未来はありえない。それでは早速、この魔道具にサインをしてもらおうか」
やけに急かしてくる辺り、既に侯爵令嬢ミュリナとの婚約が決まっていそう。
ミュリナも婚約者との婚約を破棄させて急成長したルジャス家と関係を持ちたいのだから、自業自得だ。
「2枚用意してください」
「いいだろう」
勝手に捨てて婚約破棄してないと言われると面倒だから、カルス用と私用の2枚の紙を用意させる。
さっさと私と婚約破棄したいカルスは2枚の紙に魔道具のペンでサインをして、私もサインをする。
これによって婚約破棄が決まり――私は自由になっていた。
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