婚約破棄の翌日に謝罪されるも、再び婚約する気はありません

黒木 楓

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13話 カルス視点

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 馬車では速度が出ないと、カルスは馬に乗ってパトリシアの居るアズローナ家の屋敷へ急ぐ。

 乗っている馬はルジャス家で最も早く、魔力を宿した馬で……3時間もあればパトリシアの元に行ける。

 すぐに説得して戻ってくれば、昼過ぎになりそうだ。

 連れ戻せばすぐに領民達を納得させることができ、暴動を阻止することができるだろう。

 これは全てパトリシアを連れ戻せたらの話で……失敗した時のことは、考えたくはなかった。

 馬を走らせながら、カルスは呟く。

「必ずパトリシアと再び婚約……いや、婚約したフリをしなければならないな」

 普通にパトリシアと再び婚約すれば、今度は侯爵令嬢ミュリナとの婚約が問題となる。

 それに関してエバンドと話し合うことで、パトリシアを騙すのが一番よさそうだとカルスは決めていた。

「まだパトリシアは、自分の凄さを理解していないはず。今しかない……死に物狂いでパトリシアを連れ戻す!!」

 父上と母上は立場がルジャス家の方が上だから、脅せば問題ないと確信していた。

 婚約破棄を示した誓約書がある以上、パトリシアは婚約を普通に拒むことができる。

 それなら……最初は脅さず謝罪をして、下手に出ているのに拒んできたら、その時はパトリシアを脅してやろう。

 謝罪も上辺だけのものでいい……謝罪を拒んだという部分が重要で、そうすれば脅しは更に効果的となる。

「誓約書を2枚書かせたから大丈夫だと思っているのだろう……その余裕がいつまで持つかな!」

 馬を走らせながら、カルスはパトリシアが居るアズローナ領へと向かっている。

 カルスはこの時まで自信に満ちていて――数時間後、絶望することとなっていた。
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