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16話
カルスが頭を下げてルジャス領に戻ってくるよう頼むも、私は拒む。
婚約破棄されて清々していたのに、再びカルスと婚約なんてありえない。
私の返答を聞くと、カルスが取り乱して。
「ば、馬鹿な……伯爵家の俺が再び婚約したいと言っているのに、子爵令嬢如きが拒むだと!?」
どうやら断られるのは想定外だったのか、カルスは本音が出ていた。
やっぱり私のことを子爵令嬢だと見下している。
この男とは二度と関わりたくない……早急に出て行ってもらおう。
「拒みます。お引き取りねがいます」
私がそう告げると、カルスは憎しみを籠めた目で私を睨んでいた。
どうやらこれで脅しているつもりのようだけど、私はなんとも思わない。
カルスは私を説得するのは無理だと判断したのか、お父様を眺めて。
「ぐぅっ……ポーレスよ! 娘の教育が悪いのではないのか!?」
「急にどうしたのですか?」
お父様が困惑しながらカルスに話しているけど、内心かなり怒っていそう。
激怒しているのに怯えない私とお父様が不愉快なのか、悔しげにカルスがお父様を睨んで叫ぶ。
「ポーレスよ……この俺に、伯爵家の俺にそのような態度で、許されると思っているのか!?」
相当切羽詰まっているのが解る取り乱し方で、それを見たお父様が溜息を吐いて。
「……カルス様、ローウォン公爵家をご存知ですか?」
「知っているに決まっているだろ!? それがどうした――」
「――ジャック・ローウォン様が私の娘パトリシアと婚約したいようです。カルス様がパトリシアとの婚約を破棄したことは、もう報告済みです」
カルスの叫びは、お父様の発言で完全に止まっていた。
まだジャック様が婚約したいのか解らないけど、どうやらお父様は相当苛立っている様子だ。
お父様は「婚約したいようです」と曖昧にしつつも言い放つことで、カルスの心を折ろうとしていた。
婚約破棄されて清々していたのに、再びカルスと婚約なんてありえない。
私の返答を聞くと、カルスが取り乱して。
「ば、馬鹿な……伯爵家の俺が再び婚約したいと言っているのに、子爵令嬢如きが拒むだと!?」
どうやら断られるのは想定外だったのか、カルスは本音が出ていた。
やっぱり私のことを子爵令嬢だと見下している。
この男とは二度と関わりたくない……早急に出て行ってもらおう。
「拒みます。お引き取りねがいます」
私がそう告げると、カルスは憎しみを籠めた目で私を睨んでいた。
どうやらこれで脅しているつもりのようだけど、私はなんとも思わない。
カルスは私を説得するのは無理だと判断したのか、お父様を眺めて。
「ぐぅっ……ポーレスよ! 娘の教育が悪いのではないのか!?」
「急にどうしたのですか?」
お父様が困惑しながらカルスに話しているけど、内心かなり怒っていそう。
激怒しているのに怯えない私とお父様が不愉快なのか、悔しげにカルスがお父様を睨んで叫ぶ。
「ポーレスよ……この俺に、伯爵家の俺にそのような態度で、許されると思っているのか!?」
相当切羽詰まっているのが解る取り乱し方で、それを見たお父様が溜息を吐いて。
「……カルス様、ローウォン公爵家をご存知ですか?」
「知っているに決まっているだろ!? それがどうした――」
「――ジャック・ローウォン様が私の娘パトリシアと婚約したいようです。カルス様がパトリシアとの婚約を破棄したことは、もう報告済みです」
カルスの叫びは、お父様の発言で完全に止まっていた。
まだジャック様が婚約したいのか解らないけど、どうやらお父様は相当苛立っている様子だ。
お父様は「婚約したいようです」と曖昧にしつつも言い放つことで、カルスの心を折ろうとしていた。
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