婚約破棄の翌日に謝罪されるも、再び婚約する気はありません

黒木 楓

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74話

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 あれから――私にかかっていた禁魔法が完全に解けて、正気に戻ったルジャス領の人達の暴動により、ルジャス家は滅んだらしい。

 ローウォン家が何もする必要はなかったようで、これは完全にルジャス家の自業自得だ。

 ローウォン家の屋敷、ジャック様の部屋で――私はジャック様と話をしていた。

「エバンドの言う通り、パトリシアにグランのことを話せば最悪の事態にならなかったはず……あんな目にあっても見下した代償だ」

 ジャック様が呆れた様子で呟くけど、実際どうなっていたのかは解らない。

 もうカルスとは関わりたくないと思っていたし、今はそれよりも言いたいことがあった。

 全てが終わった今……私はジャック様に対して告げる。

「ジャック様は無茶をし過ぎです」

 禁魔法を伝導させていた元凶グランを煽ることで、呪いの魔法を使わせた。

 それを受け止めることで魔法と魔力を解析して打ち消し、応用で私を治すことに成功する。

 これは魔法知識に長けたジャック様だからこそできたことで……失敗する可能性は高かった。

 私にかかっている呪いの禁魔法を調べていたから、実際に受ければ把握できるとは言っていたけど、あまりにも無茶過ぎて注意するしかない。

「無茶をし過ぎか……私としては、婚約者として当然のことをしたと思っている」

「……えっ?」

「自分の命よりも、パトリシアの方が大切だった。私はあの行動を無茶だとは思っていない」

 ジャック様の本心からの発言を聞いて驚き、私は感動で全身を震わせる。

 対等で利益だとばかり考えていたのは、私の方だったのかもしれない。

「ありがとう、ございます」

 ジャック様と婚約者になることができて、私は幸せだ。

 そしてこれからも――私とジャック様は、幸せな日々を送り続けていた。
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