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13話

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 ハネスは魔法が上手く扱えないけど、魔力量が膨大だから成績は平均のようだ。
 その理由を、フィリスが私に話してくれる。

「ソニアとは違い、ハネスは気持ちの問題だ――子供の頃の出来事が原因で、ハネスは魔法を上手く扱えない。魔剣でも無理だった」

 私に魔剣を託してくれたのは、ハネスが一度試したからかもしれない。
 フィリスとは姉弟でも成績に差があったけど、そんな理由があったのか。
 驚いてしまうと、ハネスが私を眺めて。

「いずれ話すつもりだったが、言い出せなかった……ソニアに、失望されたくなかったのかもしれない」
「私は気にしませんよ?」
「ハネスはソニアと似た境遇で、自分の気持ち次第なのに解決できない。だから言い出せなかったようだ」

 フィリスの発言で、納得することができた。

 私は素質のせいだけど、ハネスは子供の頃に起きた出来事が原因だ。

 成績を他で補うため魔法を学び、その後は魔剣の恩恵で私は解決している。
 そして――自分の意志で解決できる問題なのに、ハネスは解決できていない。
 失望されたくないと言った理由がわかり、その上で言っておきたい。

「ハネス様は私に魔剣を託してくれました。それが嬉しく、今度は私が力になります」

 今まであんなカルドに失望していなかったのだから、ハネスに失望するわけがない。
 本心を伝えると、微笑みを浮かべたハネスが魔剣の鞘に触れる。

「姉上が話したのは、試験前なのに俺が話せなかったからだ……隠す必要がなくなったから、俺もソニアの力になれる」

 話しながらハネスが魔剣の鞘に触れると、何故か私の体に魔力が溢れ出す。
 笑顔を見せたこともはじめてで、二重に驚いてしまう。
 突然の事態に困惑してしまい、ハネスが魔剣の力を教えてくれる。

「魔剣を経由して俺の魔力を渡した。俺の魔力は膨大だから、ソニアが使うべきだ」
「なるほど……ありがとうございます」

 魔剣に触れて魔力を与えたいと決意すれば、それに応じた魔力を与えることができるようだ。 
 学園内では魔力を回復させる薬は認められているから、魔力を与えることは問題ない。

 ハネスの行動は嬉しかったけど、それでも好きとは想えない私自身に困惑してしまう。
 元婚約者のカルドに裏切られたショックは、想像していた以上に大きそうだ。

「魔剣を経由した魔力の譲渡は何度か私で試したが、家族以外に使うと異変が起きるかもしれない……今日は私が、ソニアの屋敷に泊まるとしよう」
「異変が起きるだろうか?」
「カルドを見ていると、なにかが起きてもおかしくない気がした。それと、ソニアとは二人きりで話しておきたいこともある」
「……わかった。姉上に任せよう」
「フィリス様、ありがとうございます」

 その後は広場で魔法を使い、帰りの馬車にフィリスが同行して屋敷に泊まってくれる。
 ハネスが同行しないようで、フィリスは私に話しておきたいことがあるようだ。
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