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8話
これからのルドロス国がどうなるか予想できていて、だからこそハロルドが心配になってしまう。
新しい聖女リーノではどうしようもないのは間違いなくて、私はこの家に戻ると言っている。
場所を知っている以上、ルドロス王は私を戻そうとする可能性が高い。
それは問題なく対処できるのは間違いないけど、そうなればルドロス国も手段を選ばなくなるはず。
私の家によく出入りして、森の外に出る男性……森の中なら対処できるけど、外で1人の時に狙われると厳しいかもしれない。
もしハロルドを人質にとられて「聖女に戻れ」と脅されたら、私は従うことになる。
絶体絶命の状況になった時――人はどんな行動をとってもおかしくはない。
最悪の事態を想定して、私はこの家に住まないかハロルドに提案すると。
「お、俺がこの家に住んで、本当によろしいのですか?」
明らかに動揺しているけど、いきなり生活を変えろと言われたら無理もないでしょう。
「恐らくルドロス国は私を狙ってくるから、そうなるとハロルドが巻き込まれるかもしれないし、一緒に居て欲しいわ」
理由を話すと、ハロルドは力強く頷いて。
「わかりました。それなら俺は住まわせていただきます……これからよろしくお願いいたします!」
椅子から立ち上がったハロルドは頭を下げるけど、同じ家に住むのなら言っておきたいことがある。
「ハロルド……これからは敬語はいらないわ」
提案するも、ハロルドの表情が暗くなって。
「そ、そうですか……」
一緒に住むのに堅苦しいから敬語はいらないと言ったのに、どうしてハロルドは落ち込むのだろう?
言った私の方が落ち込みそうになって――ハッと気づき。
「守ってくれる方の警護じゃなくて敬語よ! これから一緒に住むんだし、対等に会話をして欲しいわ」
「そ、そういうことですか!」
お互い勘違いをしていたことに少し顔が赤くなって、微笑み合っていると、ハロルドは私を眺めて。
「ありがとうございます……それでも、俺がエレナさんと対等になるまで、敬語のままでいさせてください」
「ハロルドがそう言うなら、わかったわ」
私の中では普通に対等だけど、これに関しては本人の意思が大事だと思っている。
そういえば……似たような会話が3年前にもあった。
あの時のことを思い返すと元の日常に戻りつつあるのが実感できて――この日常の変化を、私は望まなかった。
新しい聖女リーノではどうしようもないのは間違いなくて、私はこの家に戻ると言っている。
場所を知っている以上、ルドロス王は私を戻そうとする可能性が高い。
それは問題なく対処できるのは間違いないけど、そうなればルドロス国も手段を選ばなくなるはず。
私の家によく出入りして、森の外に出る男性……森の中なら対処できるけど、外で1人の時に狙われると厳しいかもしれない。
もしハロルドを人質にとられて「聖女に戻れ」と脅されたら、私は従うことになる。
絶体絶命の状況になった時――人はどんな行動をとってもおかしくはない。
最悪の事態を想定して、私はこの家に住まないかハロルドに提案すると。
「お、俺がこの家に住んで、本当によろしいのですか?」
明らかに動揺しているけど、いきなり生活を変えろと言われたら無理もないでしょう。
「恐らくルドロス国は私を狙ってくるから、そうなるとハロルドが巻き込まれるかもしれないし、一緒に居て欲しいわ」
理由を話すと、ハロルドは力強く頷いて。
「わかりました。それなら俺は住まわせていただきます……これからよろしくお願いいたします!」
椅子から立ち上がったハロルドは頭を下げるけど、同じ家に住むのなら言っておきたいことがある。
「ハロルド……これからは敬語はいらないわ」
提案するも、ハロルドの表情が暗くなって。
「そ、そうですか……」
一緒に住むのに堅苦しいから敬語はいらないと言ったのに、どうしてハロルドは落ち込むのだろう?
言った私の方が落ち込みそうになって――ハッと気づき。
「守ってくれる方の警護じゃなくて敬語よ! これから一緒に住むんだし、対等に会話をして欲しいわ」
「そ、そういうことですか!」
お互い勘違いをしていたことに少し顔が赤くなって、微笑み合っていると、ハロルドは私を眺めて。
「ありがとうございます……それでも、俺がエレナさんと対等になるまで、敬語のままでいさせてください」
「ハロルドがそう言うなら、わかったわ」
私の中では普通に対等だけど、これに関しては本人の意思が大事だと思っている。
そういえば……似たような会話が3年前にもあった。
あの時のことを思い返すと元の日常に戻りつつあるのが実感できて――この日常の変化を、私は望まなかった。
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