必要ないと言われたので、元の日常に戻ります

黒木 楓

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10話 ディオン視点

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 エレナに「聖女は必要ない」と言い放ってから――4日が経っていた。

 早朝、目覚めたディオンは着替えながら4日前のことを思い出し、窓の日差しを眺める。

 どう考えても平和な一日が始まろうとしていて、ディオンは自分の発言が正しいと確信していた。

「元聖女エレナの発言はやはり強がりだったな。4日経つも、完成した聖域の力によって国に加護が与えられている」

 王都にある神殿に突き刺さっている聖剣に魔力を籠め続けることで、聖域は加護の力を国に与える。

 エレナは途中から神殿に行かなくなり、「神殿に行かなくても、部屋で魔力を流せます」と言っていた。

「あの時点で聖域が完成していて、エレナはサボっていたのだろう」

 弟の第二王子ジェロンの婚約者にして聖女となったリーノは、一度も神殿に行っていない。

 これは聖域が完成していると確信を持っているからで、現に何も起きてはなかった。

「あの女は悪い噂が多かったし、何より森暮らしの平民……目障りで仕方がなかった」

 聖女は偉いと思っているのか、かなり横暴だったと聞いている。

 実際にそんな場面を見たことはなく、貴族間の噂だ。

 ディオンは森に暮らしていた平民というだけで、偽りの噂を信じ切っていた。

 聖女としてやって来たから、人を敬う気が一切ない無礼な森暮らしの元聖女エレナ。

 見た目だけはよかったから奇特な貴族が声をかけるも、立場の違いを知らないのか全て突っぱねていたらしい。

「追い出したのは夜だから丸3日か……何も起きていないのなら、大丈夫だろう」

 去り際に告げたエレナの発言に恐怖を覚えていたのは事実で、日が経つにつれてディオンの不安は薄れていく。

 もう大丈夫だと安堵した一時間後――ディオンは自分の国、ルドロス国の危機を知ることとなっていた。
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