必要ないと言われたので、元の日常に戻ります

黒木 楓

文字の大きさ
33 / 72

33話 ズビア視点

 予定通りズビアは森の外に出て、冒険者ギルドに行き情報収集を行おうとしている。

 今までは魔力で聴力を強化することで冒険者達の話を聞き……現状を確認することができていた。

 それを報告するのが役目になるも……今回は他にもやるべきことがある。

 森を出て数分後――ズビアは見覚えのある騎士隊の3人、そして8人のフードを纏った魔法士、暗躍部隊に囲まれていた。

 ズビアの正面に居た騎士長が、剣をズビアに向けて叫ぶ。

「ようやく会えたな……腕の仮は返させてもらうぞ!」

 騎士長は殺意に満ちていて、斬り飛ばした腕は魔道具による義手となっている。

 ここまでは予定通りだと考えているも、流石に敵の数が多すぎて、ズビアは焦るしかない。

 この場に居る人達……騎士隊と暗躍部隊の合同チームは、精鋭ばかりだ。

 これがルドロス国最大の戦力なのは間違いなくて、ここまでの戦力がズビア達を捕らえるためだけに動いている。

 騎士長が暗躍部隊と話したのか、今この場で動いているのは騎士長だけだった。

 そんな騎士長を眺めながら、ズビアは告げる。

「腕の借りね……その程度の力で、私を捕らえることはできないよ」

「それは今すぐに証明されることだ!!」

 ズビアの煽りを受けた騎士長は、一気に魔法を使うことで加速して、ズビアを両断しようと動いていた。

「貴様は殺し、もう1人の男を人質にする……仲間の貴様がやられたと知れば、エレナも動揺するに違いない!」

 騎士長が叫びながら剣を振るい、他の人はサポートに徹している。

 ズビアも魔力で黒い刃を発生させて伸ばしながら振り回すも、騎士長は回避してくる。

 どうやら騎士長の腕を斬り飛ばした時から、騎士長が報告することでズビアの対策ができていたのかもしれない。

 動きが読まれているようにズビアの攻撃が対処されて、徐々に追い詰められている中、ズビアは呟く。

「……ここまで予想通りだと、やはり何も考えていなさそうだね」

「なんだと?」

 追い詰められているはずなのにズビアには余裕があって……騎士長はそれが不気味だった。

 ズビアの攻撃が迫ってきたら防御に徹することで、精鋭達は数で押すことはできている。

 そして追い詰めたと確信したタイミングで――今まで潜んでいたウォルフが動く。

 腕から鋭い爪を生やして振り抜き、合同部隊は攻撃を受けると吹き飛ぶほど力の差があった。

 それによって……暗躍部隊が一気に壊滅していき、ズビアが項垂れている騎士長に告げる。

「私はお前達を侮っていないからこそ……ウォルフに頼ることにしていた」

 今までの報告だとズビアかウォルフのどちらかは必ず森の中に居るから、ここに2人現れるのは予想外なのは間違いない。

 そして王の間での会話で、そのことを知っているからこそ……ズビアはウォルフを待機させていた。

 事前に狙いがズビアとウォルフだと発覚しているからまずズビアが行動して、その後ウォルフが奇襲を仕掛ける予定だった。

 ウォルフの奇襲は成功して――ルドロス国の騎士隊と暗躍部隊は、ズビアとウォルフによって倒されていた。

あなたにおすすめの小説

幼馴染が最優先な婚約者など、私の人生には不要です。

たると
恋愛
シュタイン伯爵家の長女エルゼは、公爵子息フィリップに恋をしていた。 彼の婚約者として選ばれた時は涙を流して喜んだが、その喜びもいまは遠い。 『君は一人でも大丈夫だろう。この埋め合わせは必ずする。愛している』 「……『愛している』、ですか」 いつも幼馴染を優先するアルベルトに、恋心はすっかり冷めてしまった。

【今さら遅い】毒で声を失い公爵に捨てられた私。妹では精霊が応えず国は滅びへ。ですが隣国皇帝に溺愛される私に、今さら縋ってきても遅いです

唯崎りいち
恋愛
国一番の歌姫だった私は、妹に毒を盛られ声を失い、婚約者に捨てられた。 すべてを奪われた私を救ったのは、隣国の皇帝。 「お前の歌がなければ国は滅びる」と言われた私の歌は、精霊に届く“本物”の力を持っていて―― 一方、私を追放した国は偽物の歌では加護を失い衰退。 今さら元婚約者が縋ってきても、もう遅い。

ベールを上げた新郎は『君じゃない』と叫んだ

ハートリオ
恋愛
結婚式で新郎に『君じゃない』と叫ばれたのはウィオラ。 スピーナ子爵家の次女。 どうやら新郎が結婚する積りだったのは姉のリリウム。 ウィオラはいつも『じゃない方』 認められない、 選ばれない… そんなウィオラは―― 中世ヨーロッパ風異世界でのお話です。 よろしくお願いします。

文句を言わない婚約者は、俺の愛する幼馴染みを許していなかった【完結】

星森 永羽(ほしもりとわ)
恋愛
幼馴染を優先しても、婚約者アウローラは何も言わない。だから、これからも幼馴染みとイチャイチャできる── 侯爵令息トリスタンは、そんな甘い幻想を信じていた。 だが婿入りした瞬間、彼の“軽んじた態度”はすべて清算される。 アウローラは冷徹に、トリスタンの傲慢と欲望を1つずつ暴き、労働と屈辱を与える。 そして最後に残ったのは、誰にも必要とされない現実だけ。 「どうして……俺は、こんなにも愚かだったんだ」 これは愛を勘違いし、身分を過信し、自分の価値を見誤った男の終焉を描くダークドラマ。 ⚠️ 本作は AI の生成した文章を一部に使っています。過激ざまぁタグあります。 4/1「エステルに対する殺意」の内容を一部変更しました。

「通訳など辞書で足りる」と追放された令嬢——三国会談で、婚約者は一言も話せなくなった

歩人
ファンタジー
宮廷通訳官エレノーラは五つの言語を操り、婚約者クラウスの外交を陰で支えてきた。 だがクラウスは言った。「通訳など辞書で足りる。お前は要らない」 追放されたエレノーラは隣国で新たな道を歩み始める。 一方、クラウスは三国会談の場で辞書片手に立ち往生。 誤訳が外交問題に発展し、窮地に陥ったその場に、隣国の通訳官として現れたのは——。 「その言葉は、もう翻訳できません」

【完結】私を裏切った不倫夫に「どなたですか?」と微笑むまで 〜没落令嬢の復讐劇〜

恋せよ恋
恋愛
「早くあんな女と別れて、可愛い子と一緒になりたいよ」 不倫中の夫が笑う声を聞き、絶望の中で事故に遭うジェシカ。 結婚五年目に授かったお腹の子を失った彼女は、 「記憶を失ったフリ」で夫と地獄の婚家を捨てることを決意。 元男爵令嬢の薄幸ヒロインは、修道院で静かに時を過ごす。 独り身領主の三歳の男の子に懐かれ、なぜか領主まで登場! 無実の罪をなすりつけ、私を使い潰した報いを受けなさい。 記憶喪失を装った没落令嬢による、「ざまぁ」が幕を開ける! ※本作品には、馬車事故による流産の描写が含まれます。  苦手な方はご注意ください。主人公が絶対に幸せになる  物語ですので、安心してお読みいただければ幸いです。 🔶登場人物・設定は筆者の創作によるものです。 🔶不快に感じられる表現がありましたらお詫び申し上げます。 🔶誤字脱字・文の調整は、投稿後にも随時行います。 🔶今後もこの世界観で物語を続けてまいります。 🔶 『エール📣』『いいね❤️』励みになります!

幼馴染しか見えない婚約者と白い結婚したので、夜明け前にさよならしました

ゆぷしろん
恋愛
公爵令嬢レティシアは、家同士の都合で伯爵アルフレッドに嫁ぐ。 けれど夫は結婚後もずっと幼馴染のシルヴィばかりを優先し、婚礼の夜から夫婦として触れ合おうともしなかった。名ばかりの妻として伯爵家を支え、領地経営まで立て直しても、彼にとってレティシアは“都合のいい伯爵夫人”でしかない。 やがて結婚一周年の夜、アルフレッドが自分を手放す気はない一方で、幼馴染を屋敷に迎え入れようとしている会話を聞いてしまったレティシアは、ついに決意する。 ――もう、この結婚には見切りをつけよう。 夜明け前、彼女は離縁の準備を整え、伯爵邸を出奔。 身を寄せた北の港町で薬舗を手伝いながら、自分の力で生きる穏やかな日々を手に入れていく。そこで出会ったのは、身分ではなく一人の女性として彼女を尊重してくれる青年医師ノアだった。 一方、都合よく尽くしてくれる妻を失ったアルフレッドは、ようやく自分が何を失ったのかを思い知ることになる。 幼馴染ばかりを優先する婚約者との白い結婚に終止符を打ち、傷ついた公爵令嬢が新天地で本当の幸せを掴む、離縁から始まる逆転ラブストーリー。

えっ「可愛いだけの無能な妹」って私のことですか?~自業自得で追放されたお姉様が戻ってきました。この人ぜんぜん反省してないんですけど~

村咲
恋愛
ずっと、国のために尽くしてきた。聖女として、王太子の婚約者として、ただ一人でこの国にはびこる瘴気を浄化してきた。 だけど国の人々も婚約者も、私ではなく妹を選んだ。瘴気を浄化する力もない、可愛いだけの無能な妹を。 私がいなくなればこの国は瘴気に覆いつくされ、荒れ果てた不毛の地となるとも知らず。 ……と思い込む、国外追放されたお姉様が戻ってきた。 しかも、なにを血迷ったか隣国の皇子なんてものまで引き連れて。 えっ、私が王太子殿下や国の人たちを誘惑した? 嘘でお姉様の悪評を立てた? いやいや、悪評が立ったのも追放されたのも、全部あなたの自業自得ですからね?