必要ないと言われたので、元の日常に戻ります

黒木 楓

文字の大きさ
39 / 72

39話 ディオン視点

 ディオンは合同部隊が戻り、エレナを連れて現れる時を待ち望んでいた。

 森の外に出たエレナの仲間を人質にして、エレナを脅せば戻ってくるに違いない。

 森の中で無敵なら、森の外に出た者を人質にすればいいと考えて……それなら、負けるとは思えない。

 騎士隊も残っていたのは精鋭中の精鋭で、暗躍部隊は一度エレナを捕える寸前までいった猛者だ。

 合同部隊が国から出て10日経ち……ディオンは焦りながらも、王の間で父ルドロス王やライオスと共に報告を待っていた。

 同じ気持ちで待ち望んでいるはずなのに、どこか余裕のある父ルドロス王が呟く。

「あまりにも遅いから確認させに調査隊を何人か向かわせたが、人質を使っての交渉に時間がかかっているだけだろう」

「騎士長は1人殺すつもりのようでしたし、抵抗されているのかもしれません」

 今日は状況を知るために向かわせた者達が戻ってくる予定日で、王の間で報告を待っている。

 もうルドロス国は崩壊寸前で、聖女リーノも意識をよく失い、聖女としての限界が迫っていた。

 ワイバーンが姿を暗まし、モンスターの力がこれ以上強くならなくなったのは偶然らしく、それがなければ間違いなく終わっている。
 
 合同部隊が戻って来ないことから最悪の状況を考えるも……ディオンは宰相ライオスを信じていた。

「暗躍部隊と騎士隊……ルドロス国の二大戦力を組ませて向かわせたのですから、問題ないだろう」

「ディオン様の言うとおりです……報告が楽しみですね」

「まったくだ。エレナが戻ってきたら、早急に聖女としての仕事を押しつけなければならんな!」

 宰相ライオスとルドロス王はどこか余裕がありそうで、ディオンと同じように勝利を確信しているのだろう。

 そう推測していると――確認に向かった調査隊の1人が戻ってきて、大声で告げる。

「騎士隊と暗躍部隊が全滅しました……生存者は誰も居ません!」

 その報告を聞いて――ディオンは絶望するしかなかった。

あなたにおすすめの小説

幼馴染が最優先な婚約者など、私の人生には不要です。

たると
恋愛
シュタイン伯爵家の長女エルゼは、公爵子息フィリップに恋をしていた。 彼の婚約者として選ばれた時は涙を流して喜んだが、その喜びもいまは遠い。 『君は一人でも大丈夫だろう。この埋め合わせは必ずする。愛している』 「……『愛している』、ですか」 いつも幼馴染を優先するアルベルトに、恋心はすっかり冷めてしまった。

ベールを上げた新郎は『君じゃない』と叫んだ

ハートリオ
恋愛
結婚式で新郎に『君じゃない』と叫ばれたのはウィオラ。 スピーナ子爵家の次女。 どうやら新郎が結婚する積りだったのは姉のリリウム。 ウィオラはいつも『じゃない方』 認められない、 選ばれない… そんなウィオラは―― 中世ヨーロッパ風異世界でのお話です。 よろしくお願いします。

【今さら遅い】毒で声を失い公爵に捨てられた私。妹では精霊が応えず国は滅びへ。ですが隣国皇帝に溺愛される私に、今さら縋ってきても遅いです

唯崎りいち
恋愛
国一番の歌姫だった私は、妹に毒を盛られ声を失い、婚約者に捨てられた。 すべてを奪われた私を救ったのは、隣国の皇帝。 「お前の歌がなければ国は滅びる」と言われた私の歌は、精霊に届く“本物”の力を持っていて―― 一方、私を追放した国は偽物の歌では加護を失い衰退。 今さら元婚約者が縋ってきても、もう遅い。

「通訳など辞書で足りる」と追放された令嬢——三国会談で、婚約者は一言も話せなくなった

歩人
ファンタジー
宮廷通訳官エレノーラは五つの言語を操り、婚約者クラウスの外交を陰で支えてきた。 だがクラウスは言った。「通訳など辞書で足りる。お前は要らない」 追放されたエレノーラは隣国で新たな道を歩み始める。 一方、クラウスは三国会談の場で辞書片手に立ち往生。 誤訳が外交問題に発展し、窮地に陥ったその場に、隣国の通訳官として現れたのは——。 「その言葉は、もう翻訳できません」

【結婚式当日に捨てられました】身代わりの役目は不要だと姉を選んだ王子は、隣国皇帝が私を国ごと奪いに来てから後悔しても手遅れです。

唯崎りいち
恋愛
結婚式当日、私は“替え玉”として捨てられた。 本物の姉が戻ってきたから、もう必要ないのだと。 けれど—— 私こそが、誰も知らなかった“本物の価値”を持っていた。 世界でただ一人、すべてを癒す力。 そして、その価値を知るただ一人の人が、皇帝となって私を迎えに来る。 これは、すべてを失った少女が、本当に必要とされる場所へ辿り着く物語。

婚約破棄? ありがとうございます。やっと本当の人生が始まります

たくわん
恋愛
婚約破棄された令嬢がすべきことといえば、泣くか、喚くか、復讐を誓うか——らしい。 リーナ・フォスター公爵令嬢がしたことは、荷造りだった。 「冷たくて人を愛せない」と王太子に切り捨てられた夜、リーナは一度も振り返らずに王城を出た。向かった先は辺境の荒れ地。目的は薬草の栽培と薬品事業の立ち上げ。前世の記憶から温めてきた、誰にも言えなかった計画の実行だ。 リーナはそこで不器用だが誠実な騎士ヴァルターと出会う。一方、残された王太子とその新しい婚約者は、少しずつ、静かに、取り返しのつかない方向へと歩んでいたーー。

文句を言わない婚約者は、俺の愛する幼馴染みを許していなかった【完結】

星森 永羽(ほしもりとわ)
恋愛
幼馴染を優先しても、婚約者アウローラは何も言わない。だから、これからも幼馴染みとイチャイチャできる── 侯爵令息トリスタンは、そんな甘い幻想を信じていた。 だが婿入りした瞬間、彼の“軽んじた態度”はすべて清算される。 アウローラは冷徹に、トリスタンの傲慢と欲望を1つずつ暴き、労働と屈辱を与える。 そして最後に残ったのは、誰にも必要とされない現実だけ。 「どうして……俺は、こんなにも愚かだったんだ」 これは愛を勘違いし、身分を過信し、自分の価値を見誤った男の終焉を描くダークドラマ。 ⚠️ 本作は AI の生成した文章を一部に使っています。過激ざまぁタグあります。 4/1「エステルに対する殺意」の内容を一部変更しました。

愛さないと言われた妻、侍女と出て行く

菜花
ファンタジー
お前を愛することはないと夫に言われたコレットは、その日のうちに侍女のイネスと屋敷を出て行った。カクヨム様でも投稿しています。