必要ないと言われたので、元の日常に戻ります

黒木 楓

文字の大きさ
51 / 72

51話 ディオン視点

 今までディオンはライオスの策を信じ、それは全て失敗していた。

 それでも……策があるという希望から、今までディオンはそこまで絶望していない。

 そのライオスが諦めてしまったらルドロス国は本当に滅んでしまい、それだけは避けたかった。

「ライオス! 本当に、本当に何も策はないのか!?」

 ディオンは叫ぶも、ライオスは首を左右に振って。

「はい……私がとれる策は全て使い果たし、失敗しました。責任はとりましょう」

 責任をとる――そう言ってはいるも、単にこの国から出て行きたいだけのような気がする。

 そうなれば更にどうしようもなくなり、ディオンは引き留めようとしていた。

「待て! 責任をとるというのなら新しい策を考えるしかないだろう! 何かないのか!?」

 もうエレナが戻ってこない限り、この国が助かる道はない。

 父ルドロス、他の兄弟は皆諦めている様子だから、ディオンが聞くしかなかった。

 ディオンが必死にライオスに尋ねると……言い辛そうにしながらも、ライオスは呟く。

「私はできるだけの手を尽くしました。ならば……もはや、必死に懇願するしかありません」

「なっっ……」

「策を出せと言われれば、もうこれしか思いつきません……それほどまでの窮地です」

 必死に懇願するというのは、エレナに戻って欲しいと頼む事だろう。 

 唖然としながら、ディオンがライオスに聞く。

「だ、誰が? エレナに懇願する?」

「一番効果があるのはディオン殿下と陛下でしょう……決めるのはお2人です」

 どうやらライオスはやりたいことをやり切ったようで、その上で負けたから滅ぶのは仕方ないと思っていそうだ。

 そして同じように諦めた様子の陛下が、ディオンを眺めて。

「なるほど。ライオスの策は尽きたから、俺とディオンが謝罪するしかない……か。行くしかないだろう」

 ライオスが出せる策はこれだけで、それに父ルドロス王が納得した以上、ディオンは従うしかない。

 それでも、それはとてつもない屈辱で……ディオンは両手を強く握りしめて叫ぶ。

「お、俺が……エレナに頭を下げて謝るだと……クソォッ!!」

 ライオスがこの様子だと間違いなく国が終わる――そう考えれば、ディオン達は行動に出るしかなかった。

あなたにおすすめの小説

幼馴染が最優先な婚約者など、私の人生には不要です。

たると
恋愛
シュタイン伯爵家の長女エルゼは、公爵子息フィリップに恋をしていた。 彼の婚約者として選ばれた時は涙を流して喜んだが、その喜びもいまは遠い。 『君は一人でも大丈夫だろう。この埋め合わせは必ずする。愛している』 「……『愛している』、ですか」 いつも幼馴染を優先するアルベルトに、恋心はすっかり冷めてしまった。

ベールを上げた新郎は『君じゃない』と叫んだ

ハートリオ
恋愛
結婚式で新郎に『君じゃない』と叫ばれたのはウィオラ。 スピーナ子爵家の次女。 どうやら新郎が結婚する積りだったのは姉のリリウム。 ウィオラはいつも『じゃない方』 認められない、 選ばれない… そんなウィオラは―― 中世ヨーロッパ風異世界でのお話です。 よろしくお願いします。

【今さら遅い】毒で声を失い公爵に捨てられた私。妹では精霊が応えず国は滅びへ。ですが隣国皇帝に溺愛される私に、今さら縋ってきても遅いです

唯崎りいち
恋愛
国一番の歌姫だった私は、妹に毒を盛られ声を失い、婚約者に捨てられた。 すべてを奪われた私を救ったのは、隣国の皇帝。 「お前の歌がなければ国は滅びる」と言われた私の歌は、精霊に届く“本物”の力を持っていて―― 一方、私を追放した国は偽物の歌では加護を失い衰退。 今さら元婚約者が縋ってきても、もう遅い。

「通訳など辞書で足りる」と追放された令嬢——三国会談で、婚約者は一言も話せなくなった

歩人
ファンタジー
宮廷通訳官エレノーラは五つの言語を操り、婚約者クラウスの外交を陰で支えてきた。 だがクラウスは言った。「通訳など辞書で足りる。お前は要らない」 追放されたエレノーラは隣国で新たな道を歩み始める。 一方、クラウスは三国会談の場で辞書片手に立ち往生。 誤訳が外交問題に発展し、窮地に陥ったその場に、隣国の通訳官として現れたのは——。 「その言葉は、もう翻訳できません」

【結婚式当日に捨てられました】身代わりの役目は不要だと姉を選んだ王子は、隣国皇帝が私を国ごと奪いに来てから後悔しても手遅れです。

唯崎りいち
恋愛
結婚式当日、私は“替え玉”として捨てられた。 本物の姉が戻ってきたから、もう必要ないのだと。 けれど—— 私こそが、誰も知らなかった“本物の価値”を持っていた。 世界でただ一人、すべてを癒す力。 そして、その価値を知るただ一人の人が、皇帝となって私を迎えに来る。 これは、すべてを失った少女が、本当に必要とされる場所へ辿り着く物語。

婚約破棄? ありがとうございます。やっと本当の人生が始まります

たくわん
恋愛
婚約破棄された令嬢がすべきことといえば、泣くか、喚くか、復讐を誓うか——らしい。 リーナ・フォスター公爵令嬢がしたことは、荷造りだった。 「冷たくて人を愛せない」と王太子に切り捨てられた夜、リーナは一度も振り返らずに王城を出た。向かった先は辺境の荒れ地。目的は薬草の栽培と薬品事業の立ち上げ。前世の記憶から温めてきた、誰にも言えなかった計画の実行だ。 リーナはそこで不器用だが誠実な騎士ヴァルターと出会う。一方、残された王太子とその新しい婚約者は、少しずつ、静かに、取り返しのつかない方向へと歩んでいたーー。

文句を言わない婚約者は、俺の愛する幼馴染みを許していなかった【完結】

星森 永羽(ほしもりとわ)
恋愛
幼馴染を優先しても、婚約者アウローラは何も言わない。だから、これからも幼馴染みとイチャイチャできる── 侯爵令息トリスタンは、そんな甘い幻想を信じていた。 だが婿入りした瞬間、彼の“軽んじた態度”はすべて清算される。 アウローラは冷徹に、トリスタンの傲慢と欲望を1つずつ暴き、労働と屈辱を与える。 そして最後に残ったのは、誰にも必要とされない現実だけ。 「どうして……俺は、こんなにも愚かだったんだ」 これは愛を勘違いし、身分を過信し、自分の価値を見誤った男の終焉を描くダークドラマ。 ⚠️ 本作は AI の生成した文章を一部に使っています。過激ざまぁタグあります。 4/1「エステルに対する殺意」の内容を一部変更しました。

愛さないと言われた妻、侍女と出て行く

菜花
ファンタジー
お前を愛することはないと夫に言われたコレットは、その日のうちに侍女のイネスと屋敷を出て行った。カクヨム様でも投稿しています。