レシピの見つけ方 〜旅するお菓子ノート〜

武内れい

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第二章:大人たちのお菓子作り

27、工場スタッフとの交流(前半)

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 工場見学の午前の部が終わり、いよいよ待ちに待ったお昼休みになった。

 私たちはスタッフさんに案内されて、工場の休憩室へと足を運んだ。広いテーブルが並び、窓からは工場の敷地が見渡せる。

「さあ、みんなでお昼ごはんを食べながら、気になることがあったら何でも聞いてね」

 そう言ったのは、佐藤さんより少し年上の女性スタッフの山口さんだった。

「私も昔は君たちみたいに緊張してたのよ」と山口さんは笑顔で話し始めた。

「初めて工場に入った日のことを今でも覚えているわ。大きな機械の音と、忙しいスタッフの姿に圧倒されて、何も手につかなかったの」

 私の心臓も、あの朝の緊張がよみがえるようにドキドキしていたから、思わず聞き入ってしまった。

 奏汰くんも静かにうなずいていた。

「でもね、何度も繰り返すうちに慣れて、機械の動きや材料の変化に目が行くようになった。仕事が楽しくなる瞬間が必ずあるの」

「どんなお菓子を作るのが好きですか?」ゆかりちゃんが恥ずかしそうに尋ねた。

 山口さんは目を細めて、「私はチョコレートを使ったお菓子が好きね。溶かして型に流す作業は繊細だけど、完成したときの達成感は格別よ」

「チョコレートは温度管理が難しいって聞いたけど?」私も興味津々で質問した。

「そうね、チョコは約30度で溶かして、すぐに型に流さないと固まってしまう。だから、手早く、でも丁寧に扱わないといけないの」

「なるほど……。家でやるなら湯煎でゆっくり溶かすといいんですね」奏汰くんが言うと、山口さんはうなずいた。

「そうそう。温度計も使うけど、指先の感覚も大事よ。チョコレート職人は、科学者と芸術家の両方みたいなものね」

 その言葉に、私は胸がわくわくした。

 休憩室ではお菓子作りの話で盛り上がるだけでなく、学校のことや友達の話も自然と出てきた。

「最近、バスケが好きたちと放課後みんなで集まるんだ」さくら笑顔で話す。

「へえ、奏汰くんもバスケしたりするの?」私が聞くと、彼は照れくさそうに肩をすくめた。

「まあまあかな。でも、お菓子のことなら負けないよ」

 私も負けじと、「私も将来はお菓子屋さんになりたいんだ。自分で作ったお菓子でみんなを笑顔にできたらいいな」

「いいね、ことり!おれも将来は科学者みたいにお菓子の仕組みを探りたい」と奏汰くんが応えた。

 そんな話をしていると、休憩室の窓の外に小さなベンチが見えた。

「外で少し休もうか?」と山口さんが提案してくれたので、私たちは外に出て、青空の下でゆったりとした時間を過ごした。

 ベンチに座って、工場の周りの緑を眺めながら、ゆかりちゃんがぽつりと言った。

「こうやって大人の人たちの話を聞くと、将来のことが少しリアルに感じられるね」

「私も」と私も頷いた。「仕事って、楽しいだけじゃなくて、いろんな工夫や努力があるんだなって」

 その時、奏汰くんがノートを開いて、メモを見せてくれた。

「この前のお菓子の材料のことを調べたんだ。砂糖の種類やバターの特徴とか」

「わあ、すごい!」さくらも感心した。

「これからもっと調べて、いつかみんなに教えたいな」奏汰くんの瞳はキラキラしていた。

 私はその姿を見て、なんだか頼もしく思った。

「今日の体験、絶対忘れない。みんなで夢を語り合えるのって、すごくいいね」

 奏汰くんも笑顔でうなずいた。

 午後からの見学も楽しみだ。
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