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第1部 第1章 勘当旅編
9話 ノレトスへ
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アンゼータを出て西に向かって歩いていた。街道が通っているので迷うことはなさそうだ。
一定のリズムで跳ねながら進んでいるとラディウスが怪訝そうに声をかけてくる。
『お前、本当に泊まらなくてよかったのか?』
「うん。だってまだ太陽が真上にあるし」
「じいさんは休まずに歩いて夜になるかならないかって言ってたろ?
休まずに歩けるか?」
「……そうだったっけ?」
思わず足を止める。
するとラディウスがいつもより激しくボンボン飛び跳ねた。
『お気楽娘が!
せっかくじいさんが教えてくれたのに聞いてなかったのかよ⁉』
「言ってたような気はするけど」
よく覚えていない。キールさんへのお礼とかいろいろ考えていたせいで
聞き流してしまったのだと思う。
『まぁ、辿り着けなくても野宿になるだけだから俺はどうでもいいや』
「頑張って歩くよ。暗くなっても町の明かりがあると思うし」
『足元どうすんだよ』
「躓かないと思うけど?」
地面を見ながら軽く首を傾げる。街道なのでキレイに整備されているし、
小石は転がっているものの足を取られそうな大きな石や雑草はない。
『ケッ、コケても知らねぇからな』
ラディウスはつまらなそうに言ったのを最後に会話が途切れた。
歩き続けて少し休憩を繰り返していると夕方になった。アンゼータのときと
同じように足はガクガク震えているが、不思議と疲れは少ない。
すると鼻をつくような匂いがしてくる。
「あ、何か匂いがする……」
『これは潮の匂いだ。ってことは近いな』
「なんで?」
『箱入り娘が!
ノレトスは港町って言ってな、そういうのは海の近くにあることが多い。
町影とか見えてねぇか?』
目を凝らすと、豆くらいの大きさだがうっすら町影が見える。
「それっぽいのが見える。って、ラディウスは見えてないの?」
『見えるか!俺は近くしか見えねぇの!』
「思ってたより目が悪いんだね」
『そりゃこんなに目だからな!』
ラディウスが飛び上がって目を主張してきた。
確かに黒いボタンなので、遠くを見るといっても無理なのかもしれない。
どうしてボタンで目が見えているのかは気にしないことにした。
それからかなり時間が経ち夜になってしまったが、100も歩けば町に着きそうだったので頑張って歩いた。
足を震えさせながらノレトスの門をくぐると、いっそう潮の匂いが強くなり少しむせてしまう。
「ケホ、匂いが……」
「ようこそノレトスへ。あら、潮の匂いがキツかったかしら?
それに、あなた歩いてきたのね?足、ガタガタよ」
艶のある金髪でウールの白い服を着た女の人が声をかけてきた。
タイミング的にも私が歩いてくるのを見ていたのだろう。
「お、思ったより距離があって……」
「どこからか知らないけどチャレンジャーね。
ほとんどの人が馬車で来るのに」
そんなことを言われても知らないのだから仕方がない。
返答に困っているとお姉さんは思い出したように口を開いた。
「そうそう、船に乗りに来たのなら、もう今日は終わりよ」
「ええーっ⁉」
私は2つの意味でビックリした。1つは船が出ないこと、
もう1つは目的を当てられたことだ。
瞬きを繰り返していると女の人が笑う。
「あははっ、そんなにビックリしなくてもいいじゃない。
ノレトスに来る人は船が目当てなのよ。だからあなたもそうだろうなって
思っただけ」
「そ、そうなんですね」
船も出ないし、そもそも夜だ。急いで宿屋を探さないといけない。
さっそくお姉さんに尋ねてみる。
「宿屋ってどこにありますか?」
「ここをまっすぐ行って、突き当たりの右の建物よ」
「突き当たりの右……」
「まぁ、行けばわかるわ。看板もあるしね。
じゃあ私は帰るから。ごきげんよう~」
「ありがとうございましたっ!」
さっそうと立ち去るお姉さんに慌てて頭を下げると、
彼女は右手を上げて
応えた。
「親切なお姉さんだったね」
『ブキミなくらいにな。それともお前の運がいいのか?』
「わかんないや。こうやって人に会うの初めてだし」
人との出会い方といえば舞踏会しかなかった。
アンゼータからそうだったが、町の外で貴族以外の人と話すのは新鮮でワクワクしている。
ホッコリした気分に浸っているとラディウスがダルそうに話し出す。
『あっそう。
宿屋探さないとマズイんじゃないのか?』
「そうだった!!」
言い終わると同時に走り出した。この時間なら空いていないかもしれない。
教えられた通りに進むと宿屋の看板を見つけたので迷わず駆け込む。
エプロンを身につけた主人らしい女の人が驚いた顔で私を見た。
「すみませんっ!泊まりたいんですけど、空いてますか?」
「は、はい。
1階と2階がそれぞれ1室ずつ空いておりますが、どちらにされますか?」
「2階でお願いします!」
「かしこまりました。では銀貨を3枚いただけますか?」
宿泊費を渡す。これで残りは9枚だ。アンゼータで増やしておいてよかったと心の底から思う。
「はい、確かに受け取りました。お部屋は2階の1番奥になります。
何か困ったことがあればお声がけくださいね」
「わかりました!ありがとうございます!」
女の人に頭を下げるとさっそく部屋に向かった。
室内は白で統一されていて清潔感がある。ベッドの側にある小さなテーブルには燭台が置かれていて、蝋燭が温かい灯りを放っていた。
革袋をテーブルの上に置いてからラディウスを持ってベッドに腰かける。
家の程ではないがフカフカだったので、そのまま寝そべった。
「は~、よかった~」
『まったくだ。ヒヤヒヤしたぜ』
「あれ?野宿でもいいんじゃなかったの?」
「お前が町に辿り着けなくて、野宿ならそれでいいって意味だったんだ。
そりゃ泊まるなら室内が1番だろ!」
ラディウスは偉そうに私の耳元で言った。ぬいぐるみなのに。
「でもよかったね、ラディウス。明日には大陸に渡れるよ」
『そうだな……』
「嬉しくないの?」
てっきり嬉しいかと思ったのにラディウスの声は暗かった。
思わず尋ねるとラディウスは小さくため息をつく。
『微妙な気分だ。嬉しくないわけではないが、天敵を思い出してな』
「へ~、ラディウスにも苦手な人っているんだ。
でもぬいぐるみだしバレないでしょ?」
『たぶんな』
「もしラディウスのことで何か言われそうになったら、
テキトーに誤魔化すから大丈夫だよ!」
握りこぶしを作って天井に向けて上げると、ラディウスは再びため息をついた。
『とか言いつつ、うっかり喋りそうで不安しかねぇ』
「喋らない!……ように気をつけるね」
『おいおい、しっかりしてくれよ。
はぁ……俺は寝るからな』
そう言うとラディウスは私に背中を向ける。
話し相手もいなくなったので、テーブルの蝋燭を消して
ベッドに潜り込んだ。
一定のリズムで跳ねながら進んでいるとラディウスが怪訝そうに声をかけてくる。
『お前、本当に泊まらなくてよかったのか?』
「うん。だってまだ太陽が真上にあるし」
「じいさんは休まずに歩いて夜になるかならないかって言ってたろ?
休まずに歩けるか?」
「……そうだったっけ?」
思わず足を止める。
するとラディウスがいつもより激しくボンボン飛び跳ねた。
『お気楽娘が!
せっかくじいさんが教えてくれたのに聞いてなかったのかよ⁉』
「言ってたような気はするけど」
よく覚えていない。キールさんへのお礼とかいろいろ考えていたせいで
聞き流してしまったのだと思う。
『まぁ、辿り着けなくても野宿になるだけだから俺はどうでもいいや』
「頑張って歩くよ。暗くなっても町の明かりがあると思うし」
『足元どうすんだよ』
「躓かないと思うけど?」
地面を見ながら軽く首を傾げる。街道なのでキレイに整備されているし、
小石は転がっているものの足を取られそうな大きな石や雑草はない。
『ケッ、コケても知らねぇからな』
ラディウスはつまらなそうに言ったのを最後に会話が途切れた。
歩き続けて少し休憩を繰り返していると夕方になった。アンゼータのときと
同じように足はガクガク震えているが、不思議と疲れは少ない。
すると鼻をつくような匂いがしてくる。
「あ、何か匂いがする……」
『これは潮の匂いだ。ってことは近いな』
「なんで?」
『箱入り娘が!
ノレトスは港町って言ってな、そういうのは海の近くにあることが多い。
町影とか見えてねぇか?』
目を凝らすと、豆くらいの大きさだがうっすら町影が見える。
「それっぽいのが見える。って、ラディウスは見えてないの?」
『見えるか!俺は近くしか見えねぇの!』
「思ってたより目が悪いんだね」
『そりゃこんなに目だからな!』
ラディウスが飛び上がって目を主張してきた。
確かに黒いボタンなので、遠くを見るといっても無理なのかもしれない。
どうしてボタンで目が見えているのかは気にしないことにした。
それからかなり時間が経ち夜になってしまったが、100も歩けば町に着きそうだったので頑張って歩いた。
足を震えさせながらノレトスの門をくぐると、いっそう潮の匂いが強くなり少しむせてしまう。
「ケホ、匂いが……」
「ようこそノレトスへ。あら、潮の匂いがキツかったかしら?
それに、あなた歩いてきたのね?足、ガタガタよ」
艶のある金髪でウールの白い服を着た女の人が声をかけてきた。
タイミング的にも私が歩いてくるのを見ていたのだろう。
「お、思ったより距離があって……」
「どこからか知らないけどチャレンジャーね。
ほとんどの人が馬車で来るのに」
そんなことを言われても知らないのだから仕方がない。
返答に困っているとお姉さんは思い出したように口を開いた。
「そうそう、船に乗りに来たのなら、もう今日は終わりよ」
「ええーっ⁉」
私は2つの意味でビックリした。1つは船が出ないこと、
もう1つは目的を当てられたことだ。
瞬きを繰り返していると女の人が笑う。
「あははっ、そんなにビックリしなくてもいいじゃない。
ノレトスに来る人は船が目当てなのよ。だからあなたもそうだろうなって
思っただけ」
「そ、そうなんですね」
船も出ないし、そもそも夜だ。急いで宿屋を探さないといけない。
さっそくお姉さんに尋ねてみる。
「宿屋ってどこにありますか?」
「ここをまっすぐ行って、突き当たりの右の建物よ」
「突き当たりの右……」
「まぁ、行けばわかるわ。看板もあるしね。
じゃあ私は帰るから。ごきげんよう~」
「ありがとうございましたっ!」
さっそうと立ち去るお姉さんに慌てて頭を下げると、
彼女は右手を上げて
応えた。
「親切なお姉さんだったね」
『ブキミなくらいにな。それともお前の運がいいのか?』
「わかんないや。こうやって人に会うの初めてだし」
人との出会い方といえば舞踏会しかなかった。
アンゼータからそうだったが、町の外で貴族以外の人と話すのは新鮮でワクワクしている。
ホッコリした気分に浸っているとラディウスがダルそうに話し出す。
『あっそう。
宿屋探さないとマズイんじゃないのか?』
「そうだった!!」
言い終わると同時に走り出した。この時間なら空いていないかもしれない。
教えられた通りに進むと宿屋の看板を見つけたので迷わず駆け込む。
エプロンを身につけた主人らしい女の人が驚いた顔で私を見た。
「すみませんっ!泊まりたいんですけど、空いてますか?」
「は、はい。
1階と2階がそれぞれ1室ずつ空いておりますが、どちらにされますか?」
「2階でお願いします!」
「かしこまりました。では銀貨を3枚いただけますか?」
宿泊費を渡す。これで残りは9枚だ。アンゼータで増やしておいてよかったと心の底から思う。
「はい、確かに受け取りました。お部屋は2階の1番奥になります。
何か困ったことがあればお声がけくださいね」
「わかりました!ありがとうございます!」
女の人に頭を下げるとさっそく部屋に向かった。
室内は白で統一されていて清潔感がある。ベッドの側にある小さなテーブルには燭台が置かれていて、蝋燭が温かい灯りを放っていた。
革袋をテーブルの上に置いてからラディウスを持ってベッドに腰かける。
家の程ではないがフカフカだったので、そのまま寝そべった。
「は~、よかった~」
『まったくだ。ヒヤヒヤしたぜ』
「あれ?野宿でもいいんじゃなかったの?」
「お前が町に辿り着けなくて、野宿ならそれでいいって意味だったんだ。
そりゃ泊まるなら室内が1番だろ!」
ラディウスは偉そうに私の耳元で言った。ぬいぐるみなのに。
「でもよかったね、ラディウス。明日には大陸に渡れるよ」
『そうだな……』
「嬉しくないの?」
てっきり嬉しいかと思ったのにラディウスの声は暗かった。
思わず尋ねるとラディウスは小さくため息をつく。
『微妙な気分だ。嬉しくないわけではないが、天敵を思い出してな』
「へ~、ラディウスにも苦手な人っているんだ。
でもぬいぐるみだしバレないでしょ?」
『たぶんな』
「もしラディウスのことで何か言われそうになったら、
テキトーに誤魔化すから大丈夫だよ!」
握りこぶしを作って天井に向けて上げると、ラディウスは再びため息をついた。
『とか言いつつ、うっかり喋りそうで不安しかねぇ』
「喋らない!……ように気をつけるね」
『おいおい、しっかりしてくれよ。
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