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# 40ー友情ー
しおりを挟む「あ、ああ……まぁ、この前にもこの患者さんには色々あったんだよ。もう二回もここに運ばれて来てるしな。しかも、この事件に関係しててさ。だから、前に話をしていた時に“これからもここに何回も運ばれてくるかもな”って話をしてたんだ」
「それなら、吉良先生が桜井さんの担当になられた方がいいんじゃないんでしょうか?」
「……え?」
今まで雄介の方を見て話していた望だが、その言葉に反応して顔を上げ、新人医師の方を見た。
「その方がきっと桜井さんの方も安心できると思いますしね」
「あ、ああ……そうだな……ありがとう」
望は小さく笑みを浮かべ、再び雄介の方へと向き直る。
「では、僕の方は失礼しますね。このことを上に伝えておきますから」
「ああ」
そう言って新人医師は病室を出て行った。
やっと二人きりになれた望と雄介。
今まではそっと体に触れるだけだったが、気づけば自然と雄介の手を握っていた。
医師が去ったあとは、人の気配すらない静かな病室。
響くのは雄介の命を支える生命維持装置のリズムだけだ。
その規則的な音が、彼が確かに“生きている”証だった。
「早く……意識取り戻せよ。そしたら、今度はもう告白の返事してやるからな……」
その独り言が、意識のない雄介に届くはずもない。
望の言葉は、機械の電子音にかき消されるように病室の中へ溶けていった。
そう言い残すと、望は外科診察室の方へと戻っていく。
もう用事は済んでいる。だが、まだ荷物が残っていたので一度戻ることにしたのだ。
診察室の扉を開けると、まだ和也が残っていた。
「やっと戻って来てくれたかー。ま、後は望の仕事だからさ」
和也は手にしていた資料を望へと渡す。
「ああ、これくらいなら自分の部屋に戻ってやっても大丈夫そうだな」
「そうみたいだな。で、桜井さんの様子はどうだったんだ?」
「あ! そうそう! また、俺たちが桜井さんの担当をすることになったからな!」
「え? あの医者がするんじゃねぇのか?」
「そいつが変わってくれるって言ってくれたんだよ」
「え? まさか!? 望と桜井さんの関係を話してしまったとか!?」
「まさか……そ、そんな訳ねぇだろうが……」
その言葉に、望は思わず顔を赤くした。
「じゃあ、何でそうなったんだよ」
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