GPTであそぼ

鹿又杏奈\( ᐛ )/

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すずちゃんのJK生活

第43話 誕生日当日

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十月の空は、まるで絵に描いたように澄み渡っていた。季節は着実に秋へと傾き、朝の空気にはほんのりと冷たさが混じっている。白い吐息が見えるほどではないが、制服の袖を引っ張る仕草が自然に出る気候だ。

グリフィンチ学園の校門前、登校してくる生徒たちの中に、ひときわ目を引くふたりの姿があった。

「楓ちゃん、誕生日おめでとう」

珍しく真っ直ぐに歩いてきた彼女にに声をかける。彼女は、ぱっと顔を輝かせ──

「えっ、うわあ……ありがとぉおおおっ!!」

いつもよりも威力の落ちたタックルで抱きついてきた。誕生日でも変わらない毎日の恒例とも言える儀式。今日も難なく受け止める。

ちょうど登校してきたクラスメイトたちもその様子に気づき、「おめでとう!」「今日だもんね、楓ちゃん誕生日!」と、あたたかい声が飛び交った。

「ねえ紅葉兄、プレゼントとかある? ある? いやあるよね!? ないわけないよね!?」

「放課後な。楽しみにしてろ」

「えっなにそれ楽しみすぎるやつじゃん!?」

両手を胸の前でぎゅっと握りしめ、期待に目を輝かせる楓に、紅葉は軽く片眉を上げて、「内緒」と一言だけ残して歩き出す。その何気ない仕草に、楓はさらに妄想を膨らませていた。

(内緒ってことは、めちゃくちゃすごいサプライズ的な何かがあるってことでは……!?)

楓の誕生日は、学園内でもちょっとしたイベントのように扱われる。明るくて人懐っこく、放っておけない彼女の性格もあって、自然と人が集まりやすいのだ。

けれど今年は、それ以上に「特別」な日だった。

本人にはまだ知らされていないが──裏文芸部の面々によって、秘密裏に準備が進められていた。校外の黒酒家別宅で設営された“誕生日祭壇”に、精魂込めたプレゼントの数々。そして、放課後に控えた一世一代のサプライズパーティー──それこそが、今日という一日の真のハイライトだった。



1-G組の教室でも、自然とその話題が盛り上がっていた。

「乃斗さん、今朝はどっかのお姫様かと思いましたよ」

「えへへ、たまたまちょっとリボンに気合入れただけだよ~」

「たまたま(計画的)……っと」

「誰が声に出せと言った誰が!!」

突っ込みと笑いが飛び交い、教室は和やかな空気に包まれる。机の引き出しには、小さな包みが隠してある。小鈴もほんの少しだけそのことに触れそうになったが──ふと視線を感じて、そっと言葉を引っ込めた。

(まだだよね、放課後までは内緒……)

紅葉がチラとこちらを見ていたのだ。その目は、あくまで穏やかだったが、どこか「フライング厳禁」とでも言いたげだった。

昼休みには、購買で買った菓子パンを机に並べて即席のお祝いセットが完成した。楓は目を輝かせて歓声を上げる。

「すごい、パーティー感ある!」

彼女のテンションは最高潮だった。チョココロネのチョコ部分を誰にも譲らず、得意げに食べている姿は、まさにマイペースの権化である。

午後の授業中も、彼女はいつも以上に元気だった。

「今日誕生日なので、間違っても許されると信じてます!」

そう宣言してから問題に答える始末。教員も苦笑しながらも、「誕生日でも減点は減点です」と冷静に返していた。生徒も教師も笑いながら、それでも教室に流れる時間は心地よかった。

──この日の終わりが、あんなふうになるまでは。



放課後。文芸部の部室には、すでに全員が揃っていた。各自のプレゼントも手元にあり、裏文芸部としても準備は万全だった。あとは主役を迎えに行くだけ。

「じゃ、小鈴ちゃんと紅葉くん、楓ちゃん迎えに行ってもらえる?」

「了解。たぶん、職員室前か体育館の裏あたりにいると思うよ」

小鈴と紅葉が意気揚々と部室を出る。だが、すぐに違和感が生じた。

「あれ? いない……」

「……ん? おかしいな。体育館も昇降口も保健室も……どこにもいない」

文芸部周辺、校庭の隅々まで足を運び、スマホのチャットを何度も確認した。しかし、楓からのメッセージは、午後の授業終了のタイムスタンプで止まっていた。

「……まさか。都斗くんは?」

紅葉が急いでスマホを取り出す。しかし、何度かけても──

「……つながらない。留守電に切り替わる。電源、切れてる?」

「嘘……あの人、楓ちゃんの護衛役みたいなものでしょう? 連絡が取れないなんて、あるの?」

小鈴の声がわずかに震える。

気づけば、空は少しずつ色を変え始めていた。秋の夕暮れは容赦ない。校内からは生徒の姿が徐々に消え、遠くで野球部の掛け声が繰り返し響いている。それすら、どこか遠く感じる。

「……都斗くんと楓ちゃん、どこに行ったの……?」

風が冷たくなり始めた。誰かがふいに笑って「遅れてくるサプライズかもね」と言ってくれれば、まだ救われる気がした。でも、誰も言葉を発しなかった。

その沈黙が、逆に真実味を帯びていた。

いつも騒がしくて、元気で、目が離せない楓。その声が、今はどこにもない。

──これはサプライズじゃない。事件の始まりだ。

そんな直感が、全員の胸を刺していた。



そしてその夜──
煌びやかに飾られた祭壇は、誰もいない芝の広場に静かに佇んでいた。スポットライトに照らされたその中央に、贈り物の数々が整然と並んでいる。

楓の笑顔も驚きも、まだこの場に訪れていない。
ただ、夜風だけが吹き抜け、白い布の端がわずかに揺れていた。

誰も知らない。
あの子の行方も、
この日が“祝福”ではなく“異変”の始まりになることも──

まだ、誰も。
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