GPTであそぼ

鹿又杏奈\( ᐛ )/

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すずちゃんのJK生活

第48話 いないのに、さみしい

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夜が明けたはずなのに、世界はまだ暗かった。
曇天に覆われた空は朝陽を閉じ込め、学園の敷地に灰色の影を落としていた。
冷たい風が頬を撫でても、頭の奥のざらつきは晴れない。

──昨日の夜、何をしていたんだっけ。

考えれば考えるほど、記憶が濁っていく。
断片はある。けれど、まるで水に墨を垂らしたように、輪郭を結ばない。

足音だけが、やけに大きく響く登校路。
教科書の入ったカバンが肩に食い込む感覚も、今日はやけに遠く感じられた。

乃斗楓が、いない。
それだけは、はっきりしていた。
でも──何か、もうひとつ。もっと大事なものが、胸の奥でざわついている気がする。

(……昨日、私、何をして……誰と……?)

視界の端に、ふっと“影”のような記憶がちらついた。
暗い空間。
鋭い破裂音。
誰かが壁に叩きつけられる鈍い衝撃音が、耳に残っている。

──あれは、紅葉先輩……?
苦しげな声を上げたのは、確かに優凜さんだった気がする。
そして、その前で、無言で立っていたのは──

(……誰……?)

思考がノイズに飲まれる。
どうしても、その顔だけが浮かばない。
ただ、ひとつだけ覚えているのは、異様な冷たさだ。
感情を欠いた眼差しが、私たちを見下ろしていたこと。

そして次の瞬間、頭の奥で痛みが弾ける。
そこから先を思い出そうとした瞬間、脳が拒絶するみたいに視界が白く滲んだ。

「……っ」

小さく息を吐いて、私は立ち止まった。
気づけば学園の正門が見えている。
今日の校舎は、いつもより静かに見えた。いや、きっと私の耳が“音”を受け付けていないだけだ。



「防犯カメラの映像……これが最後らしい」

紅葉先輩が見せてくれたタブレットの画面。
それを覗き込んだ瞬間、息が止まった。

校舎裏の空き地。
制服姿の楓ちゃんが、ふわりと浮かび上がっていた。
光が足元から立ち昇り、体を包み込み、そのまま霧のように掻き消える。
映像に音はない。
でも、その“無音”が、かえって胸を締めつけた。

「こんな……漫画じゃあるまいし……っ」

優凜さんの低い声が、震えていた。
普段の落ち着いた彼女からは考えられないほどの怒気を帯びて。

「どこに消えたのよ、楓。ふざけないでよ……っ」

机に置いた拳が震えている。
その横で、紅葉先輩は無言だった。
いつもの軽口は一切なく、画面を凝視している瞳は、鋭く、冷たい。
感情を抑え込み、ただ事実だけを睨みつけるように。

私の心臓は、ずっと嫌な音を立てていた。
映像の中で、楓ちゃんは誰にも触れられずに消えていった。
誰かが連れ去った形跡はない。ただ、世界から“排除”されたみたいに。

(……おかしい。これ、見せられてる……?)

そんな感覚が頭をかすめた。
まるで誰かが、これを“見せつけたい”みたいに。
でも、その理由も、誰がやったのかも、わからない。



教室に戻っても、誰も席につこうとしなかった。
時間だけが、だらだらと流れていく。
私は、何度も机の並びを見回した。

──何かが、変だ。

机が一つ、余っている気がした。
でも、誰の席だったのか、どうしても思い出せない。
昨日まで、当たり前にあったはずの“存在”が、霧のように溶けていく。

紅葉が口を開いた。
「一度、冷静になろう。文芸部に集まるぞ」

その声に従い、私たちは部室に移動した。
けれど、集まっても何も進まなかった。
みんな疲れていたし、心が荒れていた。

「なんで……なんでこんなことになったの?」

ぽつりと呟いたのは、優凜さんだった。
悔しさと、戸惑いと、怒りが入り混じった声。
「私たちが……何か、間違えたの?」

「わからない」紅葉が答えた。
「でも、何かを見落としてる。確実に……何かが引き金だったんだ」

机の上で、タブレットが光を放つ。
防犯カメラの映像、断片的な会話記録、楓の最後のメッセージ。
どれも核心には届かない。

優凜さんが、私の肩に手を置いた。
「小鈴ちゃん……休んでないでしょ。顔、真っ白よ」

「……大丈夫です。探さなきゃ……」
そう言いながら、足元がふらつきそうになるのを必死で堪える。

(……私、昨日……何を……誰と……)

脳裏に浮かんだのは、戦闘の残像。
紅葉が血を吐く瞬間。
優凜さんの叫び声。
そして──
無表情で立つ“誰か”の影。
彼の口が動いた気がした。
『……ごめん』
けれど、声は届かない。

私は、その顔を思い出そうとした。
でも──どうしても、輪郭が掴めなかった。



「一郎くんは?」
ふと誰かが言った。
私はその時まで、一郎くんの姿が見えないことに気づきもしなかった。

「……そういえば」
「最後に見たの、いつ?」

誰も答えられなかった。
紅葉がゆっくりと目を伏せる。
「……きっと、何か動いてる。俺たちじゃ把握できない領域で」

その言葉に、背筋が冷たくなった。
何かが、確実に“私たち”を食っている。
記憶ごと、存在ごと。



夜。
暗い部屋で、スマホを握りしめたまま、小さく息を吐いた。
連絡先をいくら探しても、もう見つからない。
けれど――その顔も、声も、まだ頭の中に残っている。
どうして、誰も覚えていないんだろう。
どうして、あんなに一緒にいたのに。

「……ごめん」

その言葉が誰に向いているのか、自分でももうわからない。
でも、確かに名前は浮かぶ。
呼べるのは、自分だけ。
それが、どれほど苦しいことなのかを噛みしめながら、
唇が、声にならない音を刻んだ。
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