俺(勇者)の運命を決めるのは神(作者)だけですか⁉︎

塩爺

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第 1話 俺、本当に勇者?

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神の見えざる手により紡がれる世界、人は逃れ得ぬ運命に抗う。

「ルーク・ラングスト、其方を勇者に認定する。」

勇者認定は街の教会で厳かな雰囲気のなか行われる。

今日は勇者になった俺、ルーク・ラングストのダンジョンデビューの日で。

才能なき俺が幼き頃より苦労に苦労を重ねて冒険者見習いになったのは他の冒険者より遥かに遅い17才になった時。

そこから地道に経験値を稼いで勇者に認定された時にはすでに(おっさん)になっていた。

(おっさん)といっても俺はまだ25才だ、しかし他の冒険者は俺が冒険者見習いになった17才には既に勇者認定を受けている者がほとんどで、俺の価値は低い。

この世界で言うところの勇者の定義は世間一般で言う英雄などと言うものではなく、この世界に数多く有るダンジョン(迷宮)に挑む勇ましい者と言う意味で。

つまり、ダンジョンに挑むにも資格が必要になると言うことだ。

ダンジョンの強さもさまざまで初心者勇者が挑む初級ダンジョンから中級、上級とあり、ほとんど挑む者のない特級ダンジョンまである。

ダンジョンには富と名誉が眠っている、皆が攻略済の初級ダンジョンは別として中級、上級ダンジョンには未攻略のダンジョンもたくさんあり。

たくさんの鉱石や未知のモンスター素材が眠っている、中でも勇者達が欲しがるのは【証】である。

証とはダンジョンの最奥の何処かにある部屋に安置されている秘宝で、そのダンジョンを最初に攻略した証明になり。

そのダンジョンの管理権は証を手にした勇者が所属しているギルドのものになる。

ギルドの所有といっても勇者がダンジョンに入るのにお金は必要ない、勇者はダンジョンを出る時にダンジョン内で獲得した戦利品を鑑定換金して、その二割相当を管理ギルドに納める仕組みだ。

ダンジョン管理権はギルドの収入源の大部分を占めるまでになり、ギルドも有望な勇者を獲得しようと躍起になっている。

と言う訳で、厳かな雰囲気の教会とは逆に外に一歩出れば、まるでお祭り騒ぎ、勇者に認定された冒険者をいち早く獲得しようと地元のギルドだけでなく各地のギルドからスカウトがきている。

勇者認定された冒険者の家族にしても家を挙げて盛り上げる、ダンジョンから得られる富は普通に商売している商人より多いし、もし間違って証でも手に入れたなら、ひと財産になるし過去には証を手に入れたことで爵位を手に入れた者までいる。

俺もこの教会の扉を開ければ輝かしい未来が待っている筈でギルドの皆んなが俺を取り囲み破格の条件で勧誘する光景が頭に浮かぶ、そうすれば俺の生活も改善されるだろう。

今の俺は早くに家を出て下町でもお金が余り無い方たちが暮らす宿屋の一角をかりて、少ない経験値と少ないお金を稼いで生きている。

これでも俺は名家ラングスト家の生まれで、伝説の勇者ルークと同じ名前を両親に付けられたことでもわかるとおり両親に期待されて育ったが、俺が13才を過ぎた頃には両親の興味は他の兄妹にいっていた。

と、言う訳で家族の歓迎は期待できないが、このギルドの無反応ぶりはどんな悪夢だ、扉を開けた街は普段通りの日常、皆何事もなかったように道を歩いている。

今日、俺が勇者認定されたことをギルドは知らないのか?

俺は自分の駄目さに追い討ちをかけることはわかっていても確かめずにはいかなかった、俺はパーティーメンバーを勧誘することを含めてギルドを訪ねる。

もちろん勇者になったばかりの俺は初級ダンジョンに挑むのだが、1人では心許ないとパーティーメンバーを募集する為にギルドに行っのだ。

ギルドを訪れる勇者はほとんどいない、いるのは俺の様な初心者勇者か冒険者がいるだけだ、ほとんどの勇者は直接ダンジョンに行くか街の入り口に止めてあるギルド運営のダンジョン直通馬車乗り場に行くからだ。

ギルド内に入ると皆の注目が集まる、冒険者と勇者を分ける違い、俺の左腕の袖からチラチラ見える腕輪、勇者認定された者に与えられる腕輪が注目を集める。

初めは俺をベテラン勇者と勘違いした初心者勇者が近づいてきたが、俺が初心者勇者とわかると捨て台詞を残して離れていく。

俺は早々にギルドを出る、この様な結果になることは予想していたことで、俺がこれから訪れようとしているダンジョンは、まず俺1人でも問題無く攻略出来るからである。

これから俺が行こうとしてる初級ダンジョン、(トアの洞窟)はチュートリアルダンジョンとして多くの初級勇者により攻略し尽くされたダンジョンで、出現モンスターも弱く、通路も一本道で迷うこともない、およそ攻略に2時間から3時間の手頃なダンジョンだが。

その手頃さが災いして得られる戦利品は少ない為、このトアの洞窟を管理するギルドもただ1人の管理者を派遣するだけで、攻略され尽くしたダンジョンを訪れる勇者も無く、管理者も暇そうにしている。

その管理者は俺の姿を見とめると、久々の仕事とばかりに身を乗り出して俺の方を見ている、その視線に急かされるように俺は受付を訪れた。

受付といってもダンジョンの入り口の横にテーブルがひとつ置かれただけの簡単なもの、そのテーブルの上に記入用紙が1枚置かれている。

全てのダンジョンの受付がこれと同じと言う訳では無く、攻略真っ最中のダンジョンなどは受付人数も多く、勇者目当ての屋台まで出ている。

俺は記入用紙に必要事項を記入して受付に手渡す、記入内容は人数分の名前と攻略日数、それと勇者ランクと所属ギルド名。

俺は所属ギルドが無いので(相手にされなかった)のでその箇所はなしと書いた。

この記入は必ずと言うわけではないが記入するメリットは大きい。

まず装備品の支給だ、管理ギルドと所属ギルドが同じならポーションが無料で貰える、最大のメリットは遭難保険の存在だ。

初級ダンジョンには関係ない話しだが、中級、上級ダンジョンともなると攻略に二、三日かかることも珍しくないし怪我で動けなくなる勇者もいる、遭難保険は攻略日数を過ぎるとギルドが捜索隊を派遣してくれるという便利なもので利用者も多い。

「ルークさんですね」

俺が提出した用紙を確認すると、受付のお姉さんは優しく対応してくれる

「え~と、ランクは⁉︎」

俺の勇者ランクを目で追いながらお姉さんは俺を見る、そうですよ!俺は初級ですよ!

しかし、今に見ていろ直ぐに中級ランクになってやるからな。

「ルークさん。其方の扉に腕輪で触れてください」

お姉さんは俺から視線を逸らしながら俺に促した。

いよいよ俺のダンジョンデビューの始まりだ、俺は意気揚々と腕輪で扉に触れた。

「?」

しかし、何も起きない。

普通なら腕輪で触れた者は扉から吸い込まれるようにダンジョンに入れるのだが、何度触れても何も起きない。

「なんだ!これは~~~‼︎」

俺はその場で跪いた。

何かの間違えか、誰かの仕業か、俺はダンジョンに入れないのだ⁉︎



















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