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第 8話 ロスト スペル
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俺とサラは今、複数のモンスターに追われてダンジョン内を逃げまわっている。
まさか、こんなに気の強い娘が父親の亡骸を見た途端にあんなに大声で泣き出すとは。
俺はとっさにサラの腕を掴んでその場を離れようと駆け出すが後の祭り、複数のモンスターに囲まれる形となってしまった。
見たところこの前の悪魔タイプのモンスターはいないようだが、それでも俺はおろかサラでも敵う相手ではない。
なによりサラは興奮状態で冷静な判断ができない今は俺がなんとかするしかなく、逃げ回るしかなかった。
興奮状態のサラの口を手で押さえて息を殺してモンスターが通り過ぎるのを待つ、そして、出口を目指すの繰り返し。
「あんなモンスターがいるなんて⁉︎」
やっとサラが落ち着いてきた。
「サラ!聞いてくれ!」
俺は改めてサラにこのダンジョンの危険性を説明した、この階層のモンスターの少なさは罠で、でも気を抜くと凶悪なモンスターが出現するのだと。
夢中にモンスターから逃げ回った末に俺とサラは明らかに怪しい人の手によって作られた部屋の前に出た。
俺とサラはこの逃げ場のない、棺桶とも言える部屋の中に入る、今がモンスターから逃げておらず冷静な判断ができたとしても、おそらく俺は部屋に入るだろう。
出入り口は1つだけモンスターに襲われたら逃げ場がないようにみえて守るぶんには好都合、狭い入り口にモンスターは入ってこれず、狭い部屋にモンスターは動きづらい。
モンスターのあの突然の現れかたはおそらく時空転移、ならばこの部屋にも現れるかもしれないが、そうそう時空転移はできないだろう。
俺とサラが入った部屋は何も無いガランとした部屋で壁と床に何やら模様のようなものが描かれている。
俺達は部屋の中で座り込むと、ハイ・ポーションをいくつかサラに渡しながら足跡地図を広げ、今後のことを話し合った。
他の場所に比べればいくらかは安全かもしれないが、いつまでもこの部屋には居られない。
「え⁉︎ まさか?これは?」
俺の話しが終わらないうちにサラが立ち上がり壁に描かれた模様を見て何やら呟いている。
サラは部屋の模様を見ながらうろうろするとおもむろに俺に振り返りキラキラした目で。
「ルーク!これ魔法のスペルよ!しかもロストスペル、遥か昔に失われた失伝魔法のスペルだわ!」
興奮してうわずった声で俺の体を揺する。
「マテリアル・リプロダクション」
物質再生の呪文だそうだ、サラは俺を揺すった手で俺の鎧をがっちり掴むといきなり鎧を俺から脱がしにかかる。
「いーじゃない、どうせ父さんのなんだし」
サラは強引に俺から鎧を引き剥がすと床の模様の上に置く、床の模様はよく見ると魔法陣のように円が描かれており、魔法をかける物をその円の中心に置くようだ。
サラは魔法陣の中心に置かれた鎧に向かって何やら呟いている、おそらく呪文で、意味は有るのだろうが魔術士でない俺には何を言っているのかまったくわからなかった。
しかし、さすが上級勇者の魔術士、サラが呪文を唱え終わると魔法陣が光出しみるみる鎧の傷が直っていく。
そして再生された鎧にはいままでなかった文字にも見える模様がひとつ刻まれている。
便利な魔法だが相当魔力を消費するらしくサラは座り込んでしまった、しかし、俺はハイ・ポーションを飲んでもらってでも剣と盾の再生をサラに頼み込んだ。
その理由はこの部屋が2度と使えない確率が高いからだ。
俺は先程、今後の方針をサラと話し合う時にこの部屋の場所を確認していたが、俺達がいるにもかかわらず足跡地図には俺達の痕跡は示されていなかった。
罠かと思っていたこの階層に配置されたセーフティーゾーンとも言えるこの部屋、しかも壊れた装備の修理付き。
次に使えないなら使い倒すまでだ、サラは文句を言いながらも剣と盾にも魔法をかけてくれた。
しかし、盾は無反応。
どうやらある程度壊れてないとこの魔法は効果が少ないようだが、剣は見事に再生した、青白く光る1メートル程の刀身に鎧と同じ様に模様が刻まれている。
この模様の効果を試して見たい気持ちはあるが、まず俺とサラは交代で数時間だけだが体を休めることにした。
急がば回れ、逃げるが勝ちに次いで俺が好きな言葉である、少し休んだことで俺とサラは元気を取り戻した、後は一気に出口を目指すだけ。
俺とサラは部屋を飛び出す、その途端、先程のモンスターがまた襲ってきた。
サラは俺達の生命線、俺はサラを守って前に出る、案の定モンスターの攻撃が俺を捉えた、が、痛くない。
というより無傷、俺に致命傷を負わせたモンスターの攻撃を食らってもこの鎧は傷ひとつ付かない。
どうやらこの鎧に施された魔法は強度強化の魔法のようだ、ならば剣には?
俺は腕に力を入れて真一文字に剣を振り抜いた、剣技などと言えるもんでもなくモンスターにかすっただけだったが、モンスターは[ウギャ]と声を上げて動きを止めた。
どうやらこちらは必中効果、剣の届く範囲ならば相手の防御力を無視してダメージを与えられる。
後は出口を目指して俺はがむしゃらに剣を振り回して続け、サラに守られながらやっとのことでダンジョンから脱出できた。
夫人の元にサラを送り届けた俺は最近では食べたことの無い、贅沢ではないが心のこもった夫人の手料理を腹一杯堪能した。
そして、借りていた装備をお返しすると言って鎧と剣と盾をテーブルの上に置いた、サラは相当に不満そうな顔をしていたが、夫人はあなたが使ってくれた方が主人も喜ぶと譲ってくれた。
長い1日が終わった。
俺はふてくされるサラにさよならを告げ宿屋に戻る、そして、又、変な夢を見る。
その夢は[せ・ん・せ・い]と呼ばれる人物がもうひとりの人物と話している夢。
そのせんせいと呼ばれる人物はもうひとりの人物にお願いされている、掻い摘むと最近人気が無くなってきたから主人公を男から女に変えませんかという変な夢。
俺はそんな変な夢を見た。
まさか、こんなに気の強い娘が父親の亡骸を見た途端にあんなに大声で泣き出すとは。
俺はとっさにサラの腕を掴んでその場を離れようと駆け出すが後の祭り、複数のモンスターに囲まれる形となってしまった。
見たところこの前の悪魔タイプのモンスターはいないようだが、それでも俺はおろかサラでも敵う相手ではない。
なによりサラは興奮状態で冷静な判断ができない今は俺がなんとかするしかなく、逃げ回るしかなかった。
興奮状態のサラの口を手で押さえて息を殺してモンスターが通り過ぎるのを待つ、そして、出口を目指すの繰り返し。
「あんなモンスターがいるなんて⁉︎」
やっとサラが落ち着いてきた。
「サラ!聞いてくれ!」
俺は改めてサラにこのダンジョンの危険性を説明した、この階層のモンスターの少なさは罠で、でも気を抜くと凶悪なモンスターが出現するのだと。
夢中にモンスターから逃げ回った末に俺とサラは明らかに怪しい人の手によって作られた部屋の前に出た。
俺とサラはこの逃げ場のない、棺桶とも言える部屋の中に入る、今がモンスターから逃げておらず冷静な判断ができたとしても、おそらく俺は部屋に入るだろう。
出入り口は1つだけモンスターに襲われたら逃げ場がないようにみえて守るぶんには好都合、狭い入り口にモンスターは入ってこれず、狭い部屋にモンスターは動きづらい。
モンスターのあの突然の現れかたはおそらく時空転移、ならばこの部屋にも現れるかもしれないが、そうそう時空転移はできないだろう。
俺とサラが入った部屋は何も無いガランとした部屋で壁と床に何やら模様のようなものが描かれている。
俺達は部屋の中で座り込むと、ハイ・ポーションをいくつかサラに渡しながら足跡地図を広げ、今後のことを話し合った。
他の場所に比べればいくらかは安全かもしれないが、いつまでもこの部屋には居られない。
「え⁉︎ まさか?これは?」
俺の話しが終わらないうちにサラが立ち上がり壁に描かれた模様を見て何やら呟いている。
サラは部屋の模様を見ながらうろうろするとおもむろに俺に振り返りキラキラした目で。
「ルーク!これ魔法のスペルよ!しかもロストスペル、遥か昔に失われた失伝魔法のスペルだわ!」
興奮してうわずった声で俺の体を揺する。
「マテリアル・リプロダクション」
物質再生の呪文だそうだ、サラは俺を揺すった手で俺の鎧をがっちり掴むといきなり鎧を俺から脱がしにかかる。
「いーじゃない、どうせ父さんのなんだし」
サラは強引に俺から鎧を引き剥がすと床の模様の上に置く、床の模様はよく見ると魔法陣のように円が描かれており、魔法をかける物をその円の中心に置くようだ。
サラは魔法陣の中心に置かれた鎧に向かって何やら呟いている、おそらく呪文で、意味は有るのだろうが魔術士でない俺には何を言っているのかまったくわからなかった。
しかし、さすが上級勇者の魔術士、サラが呪文を唱え終わると魔法陣が光出しみるみる鎧の傷が直っていく。
そして再生された鎧にはいままでなかった文字にも見える模様がひとつ刻まれている。
便利な魔法だが相当魔力を消費するらしくサラは座り込んでしまった、しかし、俺はハイ・ポーションを飲んでもらってでも剣と盾の再生をサラに頼み込んだ。
その理由はこの部屋が2度と使えない確率が高いからだ。
俺は先程、今後の方針をサラと話し合う時にこの部屋の場所を確認していたが、俺達がいるにもかかわらず足跡地図には俺達の痕跡は示されていなかった。
罠かと思っていたこの階層に配置されたセーフティーゾーンとも言えるこの部屋、しかも壊れた装備の修理付き。
次に使えないなら使い倒すまでだ、サラは文句を言いながらも剣と盾にも魔法をかけてくれた。
しかし、盾は無反応。
どうやらある程度壊れてないとこの魔法は効果が少ないようだが、剣は見事に再生した、青白く光る1メートル程の刀身に鎧と同じ様に模様が刻まれている。
この模様の効果を試して見たい気持ちはあるが、まず俺とサラは交代で数時間だけだが体を休めることにした。
急がば回れ、逃げるが勝ちに次いで俺が好きな言葉である、少し休んだことで俺とサラは元気を取り戻した、後は一気に出口を目指すだけ。
俺とサラは部屋を飛び出す、その途端、先程のモンスターがまた襲ってきた。
サラは俺達の生命線、俺はサラを守って前に出る、案の定モンスターの攻撃が俺を捉えた、が、痛くない。
というより無傷、俺に致命傷を負わせたモンスターの攻撃を食らってもこの鎧は傷ひとつ付かない。
どうやらこの鎧に施された魔法は強度強化の魔法のようだ、ならば剣には?
俺は腕に力を入れて真一文字に剣を振り抜いた、剣技などと言えるもんでもなくモンスターにかすっただけだったが、モンスターは[ウギャ]と声を上げて動きを止めた。
どうやらこちらは必中効果、剣の届く範囲ならば相手の防御力を無視してダメージを与えられる。
後は出口を目指して俺はがむしゃらに剣を振り回して続け、サラに守られながらやっとのことでダンジョンから脱出できた。
夫人の元にサラを送り届けた俺は最近では食べたことの無い、贅沢ではないが心のこもった夫人の手料理を腹一杯堪能した。
そして、借りていた装備をお返しすると言って鎧と剣と盾をテーブルの上に置いた、サラは相当に不満そうな顔をしていたが、夫人はあなたが使ってくれた方が主人も喜ぶと譲ってくれた。
長い1日が終わった。
俺はふてくされるサラにさよならを告げ宿屋に戻る、そして、又、変な夢を見る。
その夢は[せ・ん・せ・い]と呼ばれる人物がもうひとりの人物と話している夢。
そのせんせいと呼ばれる人物はもうひとりの人物にお願いされている、掻い摘むと最近人気が無くなってきたから主人公を男から女に変えませんかという変な夢。
俺はそんな変な夢を見た。
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