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第 9話 深淵 1
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人間という生き物はいつの世も愚かなもので、手に入らなかった物が手に入るとなると我先に奪い出す。
それがギルドならまだよいが、なまじ力を持った貴族となると始末が悪い。
シュタイナー家の令嬢が最恐ダンジョンから生還の噂を聞きつけた、この国でも有力な貴族が、家の面子の為だけで十数年前のシュタイナーのダンジョン攻略の失敗を持ち出してシュタイナー夫人に迫った。
100歩譲ってシュタイナーに非があったとしても今の夫人とサラには関係ない話しではないか、それを役人まで動かしてサラにダンジョン攻略を迫り、サラは父親の名誉の為に承諾した。
その話しをサラから聞いた俺は役人に文句を言おうとしたがサラに止められ、今、ギルドに来ている。
ギルドにきた理由は、もちろんダンジョンに一緒に入ってくれる仲間を求めてのこと、しかし、今回は前のように、とりあえず一緒に行ってくれる仲間という甘いものではなく、一緒に死んでくれる仲間を探しにきたのだ。
無論、死ぬつもりは無いが、今回の攻略はそれほどの覚悟が必要という意味でだ。
「えっと、死神・・ルークさん、今日はどういったようで?」
俺がギルドの受付に顔を出すと受付のお姉さんは俺の顔を見るなり死神と言いやがった。
そう、最近の俺は街の勇者や冒険者たちに銀髪の死神という不名誉な通り名をつけられた、理由はダンジョンで果てた勇者達から装備を剥いでまわる死神みたいな奴という噂のせいだ。
おおかたシュタイナー家の紋章が入った鎧を着けている俺を見た誰かがやっかみ半分で流した噂だろうが不愉快である。
皆の冷たい視線を感じながらした俺の依頼はギルドに断られた、当然と言えば当然、ギルドにしてみれば最恐ダンジョンを攻略できるとなったなら自分のギルドに所属する勇者に攻略してもらいたい。
貴族の依頼で攻略する俺達に協力するギルドはまず無い、冒険者の時に所属していたこのギルドならと来てみたが、やはりここでも結果は同じ、俺は馴染みのお姉さんに軽くサヨナラを言う、このサヨナラは本当のサヨナラになるかもしれないが。
「ルークさん!」
受付を後にした俺をお姉さんが呼び止め手招きをする、他の人には聞かれたく無い話しのようだ、俺がさりげなくお姉さんに近づくとお姉さんは小声で囁く。
「今朝、異国の剣士が1人で最恐ダンジョンに向かったそうです。」
そう言って自分の人差し指を口に当て、他の人にはナイショですよという意味のポーズをした。
異国の剣士、どれほどの実力かわからないが有り難い、既にダンジョンに挑む準備はできている、俺はサラを伴ってダンジョンに向かった。
最恐ダンジョンの扉の前は過去2回訪れた時と違い人でごった返している、ざっと見回しただけでも勇者パーティーと所属ギルドの関係者が5組ほど一定の距離を保って準備している。
この人の中で異国の剣士は直ぐに見つかった、明らかに他とは異質な服装に細身の剣を腰に携えた、滅多に見ない黒髪の剣士。
異質が故に他の勇者も気にはなっているが彼に声をかけはぐねているが、俺達にそんな余裕はない。
俺は渋るサラを引きずるように剣士の前に行くとストレートに勧誘する。
「ひとりと聞いたが、俺達に手を貸してくれないか。」
男は俺達を一瞥すると、俺の方を向いて俺よりストレートでより失礼に言い放った。
「装備は立派だが、お前、弱いな。」
その通りなのだが、こう面と向かって言われるとムカつくものだ、男は俺に続いてサラの方を向くとまた品定めする。
「こっちの嬢ちゃんは魔術士か?」
魔術士の答えにサラがどうしてわかったのという顔をする、それもそうだ、銀色の半身鎧に包まれ腰にはサーベルを携えたサラ、どう見てもサラの格好は魔術士には見えない、俺は夫人から聞かされていたから知っていたが、初対面の者が見向くとは、やはりこの男、只者ではない。
余談になるがサラはサーベルを魔術士が使う杖替わりにして魔法を使う。
男は少し考え、[足手纏いならダンジョンに置いてくるぞ]という余計な一言を残して仲間になった。
男の名は【蒼志】。
羽織、袴という鎧を身に纏い、日本刀という細身の剣で闘う、ジャパと言われる東洋の国から来た侍と呼ばれる剣士。
それがギルドならまだよいが、なまじ力を持った貴族となると始末が悪い。
シュタイナー家の令嬢が最恐ダンジョンから生還の噂を聞きつけた、この国でも有力な貴族が、家の面子の為だけで十数年前のシュタイナーのダンジョン攻略の失敗を持ち出してシュタイナー夫人に迫った。
100歩譲ってシュタイナーに非があったとしても今の夫人とサラには関係ない話しではないか、それを役人まで動かしてサラにダンジョン攻略を迫り、サラは父親の名誉の為に承諾した。
その話しをサラから聞いた俺は役人に文句を言おうとしたがサラに止められ、今、ギルドに来ている。
ギルドにきた理由は、もちろんダンジョンに一緒に入ってくれる仲間を求めてのこと、しかし、今回は前のように、とりあえず一緒に行ってくれる仲間という甘いものではなく、一緒に死んでくれる仲間を探しにきたのだ。
無論、死ぬつもりは無いが、今回の攻略はそれほどの覚悟が必要という意味でだ。
「えっと、死神・・ルークさん、今日はどういったようで?」
俺がギルドの受付に顔を出すと受付のお姉さんは俺の顔を見るなり死神と言いやがった。
そう、最近の俺は街の勇者や冒険者たちに銀髪の死神という不名誉な通り名をつけられた、理由はダンジョンで果てた勇者達から装備を剥いでまわる死神みたいな奴という噂のせいだ。
おおかたシュタイナー家の紋章が入った鎧を着けている俺を見た誰かがやっかみ半分で流した噂だろうが不愉快である。
皆の冷たい視線を感じながらした俺の依頼はギルドに断られた、当然と言えば当然、ギルドにしてみれば最恐ダンジョンを攻略できるとなったなら自分のギルドに所属する勇者に攻略してもらいたい。
貴族の依頼で攻略する俺達に協力するギルドはまず無い、冒険者の時に所属していたこのギルドならと来てみたが、やはりここでも結果は同じ、俺は馴染みのお姉さんに軽くサヨナラを言う、このサヨナラは本当のサヨナラになるかもしれないが。
「ルークさん!」
受付を後にした俺をお姉さんが呼び止め手招きをする、他の人には聞かれたく無い話しのようだ、俺がさりげなくお姉さんに近づくとお姉さんは小声で囁く。
「今朝、異国の剣士が1人で最恐ダンジョンに向かったそうです。」
そう言って自分の人差し指を口に当て、他の人にはナイショですよという意味のポーズをした。
異国の剣士、どれほどの実力かわからないが有り難い、既にダンジョンに挑む準備はできている、俺はサラを伴ってダンジョンに向かった。
最恐ダンジョンの扉の前は過去2回訪れた時と違い人でごった返している、ざっと見回しただけでも勇者パーティーと所属ギルドの関係者が5組ほど一定の距離を保って準備している。
この人の中で異国の剣士は直ぐに見つかった、明らかに他とは異質な服装に細身の剣を腰に携えた、滅多に見ない黒髪の剣士。
異質が故に他の勇者も気にはなっているが彼に声をかけはぐねているが、俺達にそんな余裕はない。
俺は渋るサラを引きずるように剣士の前に行くとストレートに勧誘する。
「ひとりと聞いたが、俺達に手を貸してくれないか。」
男は俺達を一瞥すると、俺の方を向いて俺よりストレートでより失礼に言い放った。
「装備は立派だが、お前、弱いな。」
その通りなのだが、こう面と向かって言われるとムカつくものだ、男は俺に続いてサラの方を向くとまた品定めする。
「こっちの嬢ちゃんは魔術士か?」
魔術士の答えにサラがどうしてわかったのという顔をする、それもそうだ、銀色の半身鎧に包まれ腰にはサーベルを携えたサラ、どう見てもサラの格好は魔術士には見えない、俺は夫人から聞かされていたから知っていたが、初対面の者が見向くとは、やはりこの男、只者ではない。
余談になるがサラはサーベルを魔術士が使う杖替わりにして魔法を使う。
男は少し考え、[足手纏いならダンジョンに置いてくるぞ]という余計な一言を残して仲間になった。
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