俺(勇者)の運命を決めるのは神(作者)だけですか⁉︎

塩爺

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第 11話 深淵 3

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ダンジョン内に横たわるおびただしい数の勇者の亡骸!

一体、このダンジョンは、ここ数日だけの短い期間でどれほどの生け贄を飲み込んだのだ?

横たわる勇者達は今にも動き出しそうな表情をしている。

「ねぇ、この人たち本当に亡くなっているの?」

サラが亡骸の顔を覗き込みながら呟くと、蒼志は蒼志で刀で亡骸を突き回しながら呟いている。

「ルーク、この仏さんたち魂を抜かれているようだ」

魂?また聴き慣れない言葉が飛び出したものだ、東洋の国ではアストラルの事を魂と言うのか?

俺達の国では人間を構成するのは肉体と精神で、人は死ぬと肉体はその場に残るが精神体(アストラル体)は時間経過と共に消えて無くなると考えられている。

俺は蒼志に質問する。

「蒼志、魂を抜かれるとどうなる?」

「どうと言われても、死ぬだけなんだが、すぐ死ぬという訳でもない」

「すぐ死なない?」

「ああ、俺の国ではそう考えられている、魂が消えた肉体はしばらくこの世界に留まり続ける、だから残った者達は亡骸を火葬にすることで天に返して違う世界で再び生き返る」

「故に火葬にするまでは肉体は生きているのさ」

どうやら、死なないという表現は蒼志の国の宗教観のような話しだ、それもそうだ生き物だったら体力の差はあれ許容量を超えるダメージを受ければ命尽きる。

回復薬では復活しないし魔法でも無理、呪文ひとつで復活するなど、幼な子に聴かせる御伽話でもありえない。

ここに横たわる勇者達には気の毒だが、俺達にはどうしようもなく、蒼志は既に気持ちを切り替えて使える装備がないか亡骸のポーチを探っている。

バチあたりの事などと思わないでもらいたい、自分で使えなくなったり置いてきたアイテムを後から来た勇者が利用するのは、どの勇者もやっている事。

そのかわり利用した勇者はアイテムの持ち主が亡くなっていたら、その事をダンジョンから帰った時にギルドに報告するのだ。

そして報告を受けたギルドは家族に伝えたり、墓を建てたりして勇者をともらう

俺も装備を補充したいところだが中々手が出ない。

「ルーク、まだあんな通り名を気にしているの?」

そんな俺にサラが声をかける

通り名とは他でもない銀髪の死神という不名誉なあだ名の事で、俺の立派な装備をやっかんだどこぞの勇者が付けたあだ名だ。

「ルーク、あなたが父さんから装備を剥いだのは事実だけど」

「そのおかげで私は助けられたのだし、なにより私が今、あなたと一緒にいることが全てじゃない。」

口は悪いがサラのストレートな性格にはずいぶん助けられる、まだダンジョンは始まったばかり、今は考えている時ではない。

「ルーク!サラ!危ない‼︎」

蒼志の声で俺は剣を構えサラは飛び退く。

「モンスターか?」そう小声で叫んだ俺の前には勇者が剣を構えて立っている。

勇者が立っているのだが様子がおかしい、その勇者は俺達3人の誰を狙うでもなく、ただ剣を振り回すだけ。

モンスターに追い回されてパニックになっているのか?

もしパニックになっているのなら正気に戻ってもらわなくては、このダンジョンに挑んでいるのは上級勇者、放っておいては危険極まりない。

サラの電撃魔法で痺れさせる手もあるができれば平和的に済ませたい。

補助魔法をかけてもらい、盾を構えて俺は剣を振る勇者の前に出た。

もちろん剣を取り上げて動けなくした後に正気に戻ってもらう為だが、剣撃が激しすぎて手が出ない。

彼はがむしゃらに剣を振るっているだけなのだが、

「おい!俺達は味方だ!」

何故、俺の呼びかけに反応しない?

「其奴はもう駄目だな、俺が始末するか?」

蒼志が物騒な事を言いやがる、その時、サラが思いもよらない事を言う。

「ねぇ、その人、モンスターに操られているんじゃない?」

操る?モンスターがそんな事をするなど聞いたことがない、マニュピレーションは相手とのレベル差が相当なければ無効だと聞く、

上級勇者を操るようなモンスターがこの先に待ち構えているというのか?

どうする?一度引き返すか?

俺の一存では決められないが選択肢としては考えておかなければならないだろう

引き返すとなったらそのリスクは?

前の階層は一階層、俺達が逃げると思ったモンスターが追ってくるかもしれないがここよりは危険度は低い。

問題はダンジョンを出てから、他の勇者の安全を考えて2階層の出来事を報告すれば下手をすると立ち入り禁止になってしまう。

そうなると他の勇者は命を落とさなくて済むが、サラの立場は危険なものになり貴族の奴等がどんな無茶をするか?

「なぁ、その勇者を一階層に置いてきたらどうだ」

どうだって、置いてきてどうする!

俺は蒼志の訳のわからない提案に声を荒げて答えた。

「まぁ、落ち着け」

「何も勇者を見捨てろと言っているのではない、仮にも上級勇者、一階層でやられる確率は少ないだろうし」

「モンスターだって操っている者を襲うような事はすまい」

「一階層で後から入った他のパーティーがこの勇者を発見すれば事態を察してギルドに報告してくれるさ」

「俺達は攻略を続け、ダンジョンは立ち入り禁止になる、正に一石二鳥ではないか」

まさか蒼志がそこまで考えているとは、冷静な決断の速さ単独でダンジョンを渡り歩いていると言っていただけの事はある。

俺達3人は少し遠回りになったが勇者を置いてくることになった、勇者に補助魔法を目一杯かけたサラには不満を言われたが、俺も目一杯サラを煽て上げ機嫌を取り。

そんな俺とサラを蒼志は冷めた目で見ていた。











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