俺(勇者)の運命を決めるのは神(作者)だけですか⁉︎

塩爺

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第 12話 深淵 4

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「まるまれー!」

4階層もあらかた攻略が進んだ俺達3人はモンスターの度重なる襲撃に対して新たな戦法を開発した。

名付けてタートルガード、ただ単に亀のように丸まるだけなのだが、これが見事にハマった。

ではどのように丸まるのか、背中に背負った大きな盾を亀の甲羅に見立てて地面にうずくまり手足を引っ込めてひたすらモンスターの攻撃を耐えるのだ。

一見単純なようだが、何故かモンスター共は執拗に俺を狙ってくる。

それを俺が一手に引き受けて、サラの強化を受けた蒼志が1匹づつ片づけていく

「こんな無茶なことしているとルーク、あなたいつかやられるわよ。」

サラが地面にうずくまっている俺の盾をサーベルの先で突きながら言うと蒼志も続く

「ルークも好きでやっているんだ、ほっといてやれ」

「別に好きでやっているんじゃないんだがな」

蒼志もそんなつもりで言ったのではないのだが、余裕の無い俺は2人の言葉に少しカチンときてボソッと言ってしまう

俺だってもう少し戦えたら、こんな情け無い戦法はとっていない、この戦法が今は1番いいと思っているからやっているんだ

この戦法が無理があることは俺だってわかっている、いつかモンスターの攻撃を受けている時、盾が壊れたらと思うと恐怖でたまらない

もし、このダンジョンから生きて帰れたら蒼志に剣技を教えてもらおう、この先俺がこのダンジョンにしか入れなかったとしても何かの役になる筈だ

「この階層もあらかた攻略したが、サラが言っていた不思議な部屋は見当たらなかったな」

不思議な部屋とは一階層にあった人工的な部屋のことで、俺の鎧と剣を再生して魔法の力を付与した部屋だ。

俺の装備の説明を聞いた蒼志は興味しんしんで攻略より部屋探しを優先している

攻略のペースは遅くなるがそれぐらい慎重な方が丁度よく、なにより蒼志は今やなくてはならない存在で蒼志なしでは2階層も攻略できなかっただろう

「いろいろ道草させている拙者が言うのもなんだがそろそろ攻略を急いだ方が良さそうだ」

蒼志が言うのも、もっともだ、俺もそう思う

ダンジョンに挑んではや3日、残りの食料もあとわずかだ、もちろんこのダンジョンが3日やそこらで攻略出来るとは思ってはいなかったが、荷物になる食料は最低限にして足りない分は現場調達とサラと決めていた。

今のところ食料になるような物は見つかっていないが、大丈夫、我慢できる、が、問題はハイポーションが尽きたこと。

ハイポーションの有る無しは生死に直結する

蒼志は別として疲れたサラを回復するハイポーションが無ければ、袋叩きにされている俺を誰が回復してくれるのだ。

ハイポーションを自分で使えばという考えもあるが、丸まって袋叩きになっている最中に飲んでいる暇があるかどうか。

盾にガタがきている以上、タートルガードもこの先あと何回使えるか。

この盾もミスリル製、鎧の3倍の厚みは有るとはいえ、このダンジョンのモンスターの攻撃を食い続けていてはこうなるのも無理はない。

無数に受けた爪痕と衝撃で盾に刻まれていた見事なシュタイナー家の紋章は消えかかり盾は大きく歪んでいる。

「お前の囮役も後一度が限界だな、どうする?一度街に引き返すか?」

蒼志の提案に俺も賛成だが、サラは黙っている。

それもそう、俺達とサラでは事情が大きく違う、サラは貴族の強引な依頼でこのダンジョンに来ているのだ、攻略できませんでした、何も見つかりませんでしたでは済まない。

「もう少しだけ進んで見ないか、何か見つかるかもしれないし。」

俺の何の根拠もない提案に、サラはコクリと頷き、蒼志もサラの事情を察して賛成した。
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「おい!本当にこんな部屋が存在しているのだな!」

普段は口数の少ない蒼志が珍しく声を荒げて部屋の中を歩き回っている。

「そこ!魔法陣を踏まない!」

はしゃぐ蒼志を横目にサラは部屋の中の呪文を確認している、この部屋の呪文が前回の部屋のと同じ呪文ならば俺達3人にとって救いの神ともなる。

偶然、この部屋を発見してから3人のテンションは爆上がりになっている。

蒼志は攻略と同じくらい重要な目的のこの部屋を見つけられた事で達成感に浸っているし。

サラは魔術士の腕の見せ所と張り切っている。

俺だって、装備が再生されれば、また囮役として役にたてる。

そう考えると3人のテンションの高さもわかってもらえるだろう。

「ところどころ違う部分もあるけれど大まかは同じ呪文のようね。」

サラのその言葉に俺より先に蒼志が反応する。

「本当か?では拙者の刀で試してくれないか?」

「これ、けっこう疲れるんだけれど」

蒼志に聞こえるように一言愚痴を言ってサラは渋々蒼志から刀を受け取ると魔法陣の中心に置き詠唱を開始する。

その様子を蒼志は興味しんしんに見ている、俺も一度見ているとはいえ不思議な光景、これで呪文を唱え終われば魔法陣が光だし。

「?」

魔法陣が光らない?詠唱が終わっても魔法陣は光らないし、刀にも変化がない。

「失敗したのか?」

蒼志が刀を手に取り振りながら確かめてみる。

「装備が大きく壊れていないと効果がないのではないか」

俺は前回、盾に効果が無かった事を蒼志に告げる。

「そうか・・・それは残念。」

「刀は武士の命、自らの手で傷付ける訳にもいかぬな」

どうやら蒼志は諦めたよう、では俺の番、俺は自ら盾を魔法陣に置く。

「その盾って、この前駄目だったやつじゃない、また私に無駄な力を使わせるの」

「サラ、そんな事言うな、十二分にこの盾は壊れている、このままじゃ俺は足手纏いになるだけだ」

「仕方ないわね、父さんの盾がそんな姿じゃ寂しいし、直るかわからないけどやってみるわ」

サラは詠唱を開始して蒼志は俺の代わりに入り口を警戒しながらこちらが気になるのかチラチラ様子を見ている。

結果は成功、見事に復活して新たな刻印を刻んだ装備を俺は身につけ、今、いかにもボスモンスターが待ち構えてると思われる5階層の扉の前に立っている。





















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