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七
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「なに食べよう。」
もやもやが晴れたらお腹が空いた。
ラーメン、カレー、オムライス。うどんにそばにねぎトロ丼に、AランチとBランチ、日替わり定食……。
うーんと悩んで、これだと食券を発行し、おばちゃんに渡して、トレーを取って、受け取る。
水と箸とお手拭きも忘れずに載せて、と。
小谷はどこだろうと探しているとおーいと大きく手を振ってくれた。
「席、ありがとう小谷。」
「いいってことよ。で、用事は済んだん?」
「うん。夢を見てたらしい。」
「夢?なんの?」
「鬼ごっこする夢。」
「ふーん?勝てた?」
小谷は既に食べ終えていて、頬杖をつく。
「逃げ切れたから勝ったんじゃないかな。」
僕はいただきますと手を合わせて食べ始める。
「おいしい。」
柊さんの食べていた卵焼きが美味しそうだったからカツ丼にしたけど、正解だった。少し固めのご飯に出汁が染みてて箸が進む。
小谷は「ちゃんと噛めよ」と言いながら、スマホを出してなにか検索している。
「夢占いだと、鬼に追いかけられるのは精神的に不安定であることを表していますだって。」
「へー。」
「リアクションうっす。まー悩みとかあったら相談乗るからな。」
「うん。小谷もね。」
「おー。サンキュ。」
悩み、か。
信ぴょう性は全く無いけど、占いによると何かしら不安や悩みがあるから夢を見たという。
けど、僕は夢を見たから悩みができたんだよなぁと順序が逆だと思う。
「さっそく一ついい?」
「おうよ。」
「夢か現実かを判別する方法って頬をつねる以外になにか知らない?」
「それは夢でつねって痛かったってことか?」
そういえば今朝はつねったけれど、鬼の世界もとい夢の世界ではつねりはしなかったなと思う。
「夢ではつねり忘れたけど。転んだら痛かったし息苦しかったりした。」
小谷はふんふんと相槌しながら、右耳を触る。これは小谷の癖だ。なにか、考えてる時によく見る。
僕は卵が纏わり、しなっとなったカツを口に頬張る。
「要はー、夢だって確実に分かればいいんだろ?なら絶対に現実ではありえないってことを試してみればいいんじゃね?」
僕はカツをごくんと飲み込む。
そうか。頬をつねるのは現実なら痛みを感じるけれど、夢なら痛みなどないだろうという考えからの見分け方だ。
しかし、痛みがある夢もあるのなら、もっと他の、現実では不可能で夢でしかできないことを試せばいいのだ。例えば。
「空を飛んでみたり、とか?」
「そーそー。家を素手で持ち上げたりとかビーム出してみたりとか。」
「うわぁ、なんで気付かなかったんだろう。」
あの時、少しでも動けていたら僕も鬼を倒せていたのだろうか。
もやもやが晴れたらお腹が空いた。
ラーメン、カレー、オムライス。うどんにそばにねぎトロ丼に、AランチとBランチ、日替わり定食……。
うーんと悩んで、これだと食券を発行し、おばちゃんに渡して、トレーを取って、受け取る。
水と箸とお手拭きも忘れずに載せて、と。
小谷はどこだろうと探しているとおーいと大きく手を振ってくれた。
「席、ありがとう小谷。」
「いいってことよ。で、用事は済んだん?」
「うん。夢を見てたらしい。」
「夢?なんの?」
「鬼ごっこする夢。」
「ふーん?勝てた?」
小谷は既に食べ終えていて、頬杖をつく。
「逃げ切れたから勝ったんじゃないかな。」
僕はいただきますと手を合わせて食べ始める。
「おいしい。」
柊さんの食べていた卵焼きが美味しそうだったからカツ丼にしたけど、正解だった。少し固めのご飯に出汁が染みてて箸が進む。
小谷は「ちゃんと噛めよ」と言いながら、スマホを出してなにか検索している。
「夢占いだと、鬼に追いかけられるのは精神的に不安定であることを表していますだって。」
「へー。」
「リアクションうっす。まー悩みとかあったら相談乗るからな。」
「うん。小谷もね。」
「おー。サンキュ。」
悩み、か。
信ぴょう性は全く無いけど、占いによると何かしら不安や悩みがあるから夢を見たという。
けど、僕は夢を見たから悩みができたんだよなぁと順序が逆だと思う。
「さっそく一ついい?」
「おうよ。」
「夢か現実かを判別する方法って頬をつねる以外になにか知らない?」
「それは夢でつねって痛かったってことか?」
そういえば今朝はつねったけれど、鬼の世界もとい夢の世界ではつねりはしなかったなと思う。
「夢ではつねり忘れたけど。転んだら痛かったし息苦しかったりした。」
小谷はふんふんと相槌しながら、右耳を触る。これは小谷の癖だ。なにか、考えてる時によく見る。
僕は卵が纏わり、しなっとなったカツを口に頬張る。
「要はー、夢だって確実に分かればいいんだろ?なら絶対に現実ではありえないってことを試してみればいいんじゃね?」
僕はカツをごくんと飲み込む。
そうか。頬をつねるのは現実なら痛みを感じるけれど、夢なら痛みなどないだろうという考えからの見分け方だ。
しかし、痛みがある夢もあるのなら、もっと他の、現実では不可能で夢でしかできないことを試せばいいのだ。例えば。
「空を飛んでみたり、とか?」
「そーそー。家を素手で持ち上げたりとかビーム出してみたりとか。」
「うわぁ、なんで気付かなかったんだろう。」
あの時、少しでも動けていたら僕も鬼を倒せていたのだろうか。
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