9 / 25
八
しおりを挟む
帰り道。僕はまた鬼の世界に迷い込んでしまったらしい。
燃えるように赤い空の下、僕は小谷のアドバイスを試してみようとその場でジャンプしてみる。
空を飛ぶ、よりかはふわっと宇宙空間みたいに浮くイメージで。
結果、重量によりストンと着地した。普通にジャンプして終わった。
次。
木を歩くように登れるかにチャレンジ。
足を木の幹に付けたけれど「あ、これ絶対無理だ」と悟り、失敗。
次。
僕よりも大きい岩を動かせるかどうか。
両手を突き出し、押す。
が、1ミリも動かない。
全体重で押しても、足がずりずりと後ろへ行くだけ。岩に、負けている。
全く、全然、現実と同じ。
これ、本当に夢なのだろうか。
いや、鬼がいる時点ですごくファンタジーではあるけれど。
方法が間違ってるのだろうか。
「何をしているのですか?」
一番可能性があるため、どうにか岩を動かせやしないかと試していると後ろから声がかかった。
「あ、柊さん。こんにちは。」
「……こんにちは。」
彼女はとても不思議そうに僕を見ている。
「夢ならこの大きな岩も動かせるかなぁと思って。」
今はもはや、夢かどうかよりも動かしたいという気持ちが主な理由になっていたけど。
「……体を痛めるのでやめた方がよろしいかと。」
控えめに彼女はそう言った。
「夢でも、なかなか思い通りにはいかないんですね……。」
想像力が足りないんだろうな、きっと。
だから妙に現実めいているんだ。多分。
「あの、昨日こちらから帰る時、振り返ったりなどしましたか?」
うんうんと一人で納得していると彼女はまだ不思議そうに納得していない様子で聞いてきた。
「いえ、言われた通り、真っ直ぐ前を見て歩きましたけど。」
「そう、ですか……。」
彼女は顎に手を当てて考え込む。
「それがなにか?」
「……通常、一度迷い込んだ人間は二度と鬼の世界に来ないよう、まじないがかけられるのです。そのまじないには絶対的な効力がありまして、効かなかったことはこれまで一度たりとも無かったはずなのですが……。」
「えっと、つまり僕にはそのまじない?が効かなかった。」
柊さんはこくりと頷く。
「お昼に、鬼の世界のことを覚えているようだったので珍しいなとは思ったのですが、あなたは夢だと思っているようでしたので深くは聞きませんでした。その方が、都合がいいので。しかしまた迷い込むことになるとは……。疑うようなことをお聞きしてしまいました。すみません。」
柊さんは深々と頭を下げる。
「それは、全然。大丈夫です。けど、えっと、これって夢、じゃないんですか?」
彼女の言い方は現実だと言っているようだったから、僕はまた、混乱してくる。
ふわふわとあやふやで気持ち悪い。
「私が今、夢だと言っても現実だと言っても無意味かと思います。どちらにせよ証明する手立てはないのですから。」
それは、確かにそうだ。
学校でのことを彼女が言ったのは一見、現実の証拠とも思えるけれど、僕の記憶から引っ張られたこととも思えて、はっきりはしない。
夢は、目が覚めれば夢だと分かる。
だけど、現実だったら?
どう、証明すればいいのだろう。
燃えるように赤い空の下、僕は小谷のアドバイスを試してみようとその場でジャンプしてみる。
空を飛ぶ、よりかはふわっと宇宙空間みたいに浮くイメージで。
結果、重量によりストンと着地した。普通にジャンプして終わった。
次。
木を歩くように登れるかにチャレンジ。
足を木の幹に付けたけれど「あ、これ絶対無理だ」と悟り、失敗。
次。
僕よりも大きい岩を動かせるかどうか。
両手を突き出し、押す。
が、1ミリも動かない。
全体重で押しても、足がずりずりと後ろへ行くだけ。岩に、負けている。
全く、全然、現実と同じ。
これ、本当に夢なのだろうか。
いや、鬼がいる時点ですごくファンタジーではあるけれど。
方法が間違ってるのだろうか。
「何をしているのですか?」
一番可能性があるため、どうにか岩を動かせやしないかと試していると後ろから声がかかった。
「あ、柊さん。こんにちは。」
「……こんにちは。」
彼女はとても不思議そうに僕を見ている。
「夢ならこの大きな岩も動かせるかなぁと思って。」
今はもはや、夢かどうかよりも動かしたいという気持ちが主な理由になっていたけど。
「……体を痛めるのでやめた方がよろしいかと。」
控えめに彼女はそう言った。
「夢でも、なかなか思い通りにはいかないんですね……。」
想像力が足りないんだろうな、きっと。
だから妙に現実めいているんだ。多分。
「あの、昨日こちらから帰る時、振り返ったりなどしましたか?」
うんうんと一人で納得していると彼女はまだ不思議そうに納得していない様子で聞いてきた。
「いえ、言われた通り、真っ直ぐ前を見て歩きましたけど。」
「そう、ですか……。」
彼女は顎に手を当てて考え込む。
「それがなにか?」
「……通常、一度迷い込んだ人間は二度と鬼の世界に来ないよう、まじないがかけられるのです。そのまじないには絶対的な効力がありまして、効かなかったことはこれまで一度たりとも無かったはずなのですが……。」
「えっと、つまり僕にはそのまじない?が効かなかった。」
柊さんはこくりと頷く。
「お昼に、鬼の世界のことを覚えているようだったので珍しいなとは思ったのですが、あなたは夢だと思っているようでしたので深くは聞きませんでした。その方が、都合がいいので。しかしまた迷い込むことになるとは……。疑うようなことをお聞きしてしまいました。すみません。」
柊さんは深々と頭を下げる。
「それは、全然。大丈夫です。けど、えっと、これって夢、じゃないんですか?」
彼女の言い方は現実だと言っているようだったから、僕はまた、混乱してくる。
ふわふわとあやふやで気持ち悪い。
「私が今、夢だと言っても現実だと言っても無意味かと思います。どちらにせよ証明する手立てはないのですから。」
それは、確かにそうだ。
学校でのことを彼女が言ったのは一見、現実の証拠とも思えるけれど、僕の記憶から引っ張られたこととも思えて、はっきりはしない。
夢は、目が覚めれば夢だと分かる。
だけど、現実だったら?
どう、証明すればいいのだろう。
0
あなたにおすすめの小説
邪神の祭壇へ無垢な筋肉を生贄として捧ぐ
零
BL
鍛えられた肉体、高潔な魂――
それは選ばれし“供物”の条件。
山奥の男子校「平坂学園」で、新任教師・高尾雄一は静かに歪み始める。
見えない視線、執着する生徒、触れられる肉体。
誇り高き男は、何に屈し、何に縋るのか。
心と肉体が削がれていく“儀式”が、いま始まる。
サレ妻の娘なので、母の敵にざまぁします
二階堂まりい
大衆娯楽
大衆娯楽部門最高記録1位!
※この物語はフィクションです
流行のサレ妻ものを眺めていて、私ならどうする? と思ったので、短編でしたためてみました。
当方未婚なので、妻目線ではなく娘目線で失礼します。
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
敗戦国の姫は、敵国将軍に掠奪される
clayclay
恋愛
架空の国アルバ国は、ブリタニア国に侵略され、国は壊滅状態となる。
状況を打破するため、アルバ国王は娘のソフィアに、ブリタニア国使者への「接待」を命じたが……。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる