さくらのおぼえた言葉はありがとう。

木南 鷹

文字の大きさ
4 / 5
高校一年生

第四話 雪桜

しおりを挟む
ゆきとさくらは帰り支度をしていると、保護者と生徒の視線に気づく。

「そりゃ、注目の的だよな……」

「ムー……」

一人の生徒が声をかけてくる。知り合いの理事長の娘、目鷹桃花ちゃんだ。

「ゆきお兄ちゃん!お久しぶりです!!」

「桃花ちゃん!久しぶり!入学式でさくらの事、気遣ってくれてありがとう」

「いえいえ!」

「……ムー!ムー!ムー!」
さくらは桃花に威嚇する。

さくらと同じ小学校だった、桃花はさくらが普通に喋れていた時からとても仲が良く、この学校の理事長と、知り合えたのも桃花とさくらが遊ぶ時にゆきも半ば強制的に連行され遊んでいたからだった。

なぜ威嚇しているのかは、ゆきを強制連行していたのが桃花で、さくらはその姿を見てお兄ちゃんの事が好きなんじゃないかと思っている。

さくらも性格柄、昔から兄を守るべく割り込んだりして妨害していたが、喋れなくなってからムーの猛抗がすごい。

「大丈夫だよ~さくらちゃん、お兄ちゃんを取ったりしないよぉ」

「ムッムッムッ!!」

そこだけは信用ならないと講義するさくら。

少し三人で談話して桃花は先に帰って行った。

そうだ!あの子は!と、ゆきは、ののを思い出し辺りを見回し、見つけて声をかける。

「川奈さん?」

「ムームー♪ムッ!」
ののが返事する前にさくらがルンルンで駆け寄り、私の友達ッ!とアピールする様な顔をしている。

「さくらちゃん!と、お父様ですね!」

(保護者だが、お父さんでは無いぞ、よく落ち着いてるねとか、優し顔だねとか言われるが、そんな老けて見えるのかな……)

ゆきはさくらと2人暮らしである事と兄(19歳)である事を説明した。

「失礼しました!」

「気にしないで下さい、あの、始業式ではさくらを助けて下さり本当に助かりました、ありがとうございます」

「いえいえ!さくらちゃんの事情は敢えてお聞きしませんが、仲良くしてもいいですか……?」

「そんなそんな!こちらこそ、さくらに心強い友達が出来て俺も嬉しいです!」

「ムー♪」
兄の喜ぶ姿が一番嬉しいさくら。

兄はついでにとクラスの保護者と生徒一人一人にさくらと一緒に挨拶して回った。みんながみんな、桃花やののみたいに簡単に受け入れてくれる訳では無かったが、きっとさくらなら大丈夫と兄は心に思った。

挨拶を済ませ外に出ると、さっきまで、桜でピンクに染った景色だったが。雪が降り優しく積もっていた。

「こんな時期に雪か……初めて見た、綺麗だな……」

(寒……)

「ムー♪ムー♪ムーーー!♪」
凍える兄を置いて、大はしゃぎで桜の木に走るさくら。

さくらは落ちてる桜の花を拾ってゆきの元に持って行く。

「桜に雪か……俺達見たいだな」

「ム~ム~♪」

「帰りにさくらの好きな店の団子買って帰るか」

「ムッ!ムームー!」
花より雪より団子のさくら。

しんしんと降る雪で桜色が淡く白に染まる中、
仲良し兄妹は手を握って帰った。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

道化たちの末路

希臘楽園
ファンタジー
母亡き後、継承権もない父と愛人母娘が公爵家を狙い始めた。でも私には王太子という切り札がいる。半年間、道化たちが踊るのを、私たちは静かに楽しんで見ていた。AIに書かせてみた第3弾。今回も3000文字程度のお気楽な作品です。

「庶子」と私を馬鹿にする姉の婚約者はザマァされました~「え?!」

ミカン♬
恋愛
コレットは庶子である。12歳の時にやっと母娘で父の伯爵家に迎え入れられた。 姉のロザリンは戸惑いながらもコレットを受け入れて幸せになれると思えたのだが、姉の婚約者セオドアはコレットを「庶子」とバカにしてうざい。 ロザリンとセオドア18歳、コレット16歳の時に大事件が起こる。ロザリンが婚約破棄をセオドアに突き付けたのだ。対して姉を溺愛するセオドアは簡単に受け入れなかった。 姉妹の運命は?庶子のコレットはどうなる? 姉の婚約者はオレ様のキモくて嫌なヤツです。不快に思われたらブラウザーバックをお願いします。 世界観はフワッとしたありふれたお話ですが、ヒマつぶしに読んでいただけると嬉しいです。 他サイトにも掲載。 完結後に手直しした部分があります。内容に変化はありません。

【完結】精霊に選ばれなかった私は…

まりぃべる
ファンタジー
ここダロックフェイ国では、5歳になると精霊の森へ行く。精霊に選んでもらえれば、将来有望だ。 しかし、キャロル=マフェソン辺境伯爵令嬢は、精霊に選んでもらえなかった。 選ばれた者は、王立学院で将来国の為になるべく通う。 選ばれなかった者は、教会の学校で一般教養を学ぶ。 貴族なら、より高い地位を狙うのがステータスであるが…? ☆世界観は、緩いですのでそこのところご理解のうえ、お読み下さるとありがたいです。

【完】貴方達が出ていかないと言うのなら、私が出て行きます!その後の事は知りませんからね

さこの
恋愛
私には婚約者がいる。 婚約者は伯爵家の次男、ジェラール様。 私の家は侯爵家で男児がいないから家を継ぐのは私です。お婿さんに来てもらい、侯爵家を未来へ繋いでいく、そう思っていました。 全17話です。 執筆済みなので完結保証( ̇ᵕ​ ̇ ) ホットランキングに入りました。ありがとうございますペコリ(⋆ᵕᴗᵕ⋆).+* 2021/10/04

【朗報】俺をこっぴどく振った幼馴染がレンカノしてたので2時間15,000円でレンタルしてみました

田中又雄
恋愛
俺には幼稚園の頃からの幼馴染がいた。 しかし、高校進学にあたり、別々の高校に行くことになったため、中学卒業のタイミングで思い切って告白してみた。 だが、返ってきたのは…「はぁ!?誰があんたみたいなのと付き合うのよ!」という酷い言葉だった。 それからは家は近所だったが、それからは一度も話をすることもなく、高校を卒業して、俺たちは同じ大学に行くことになった。 そんなある日、とある噂を聞いた。 どうやら、あいつがレンタル彼女なるものを始めたとか…。 気持ち悪いと思いながらも俺は予約を入れるのであった。 そうして、デート当日。 待ち合わせ場所に着くと、後ろから彼女がやってきた。 「あ、ごめんね!待たせちゃっ…た…よ…ね」と、どんどんと顔が青ざめる。 「…待ってないよ。マイハニー」 「なっ…!?なんであんたが…!ばっかじゃないの!?」 「あんた…?何を言っているんだい?彼女が彼氏にあんたとか言わないよね?」 「頭おかしいんじゃないの…」 そうして、ドン引きする幼馴染と俺は初デートをするのだった。

〈完結〉遅効性の毒

ごろごろみかん。
ファンタジー
「結婚されても、私は傍にいます。彼が、望むなら」 悲恋に酔う彼女に私は笑った。 そんなに私の立場が欲しいなら譲ってあげる。

ズルいと言う妹はいませんが、「いいなー」が口ぐせの弟はいます

桧山 紗綺
恋愛
「いいなー姉さん」 そう言う弟の目はお土産のお菓子に向かっている。 定番の婚約破棄・婚約解消と仲良し姉弟がほのぼのお茶をしていたりなお話しです。 投稿が久々過ぎて色々やり方忘れてましたが誤字脱字だけは気をつけました。 楽しんでいただけたらうれしいです。 ※「小説を読もう」にも投稿しています。

冤罪で辺境に幽閉された第4王子

satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。 「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。 辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。

処理中です...