冷酷公爵は拾った少女を溺愛する。

霙アルカ。

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第一章

助けて。

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「あいら!お前は一体何度言ったらわかるんだい?!」

大きな女性の叫び声と共にバシン!と何かを打つ音が部屋に響いた後「ひっううっ、、。」と少女の痛みに悶える声が部屋に響く。

少女は声をだして大きく叫べば、さらに痛い思いをするのはもうわかっていた。だから、唇を噛み少女は必死に痛みを我慢した。

既に何度も殴られたのであろう少女の体には、いくつもの大きな痣ができている。

「あいら!痛いのはこっちなんだからね!被害者ぶるんじゃないよ、全く。」

あいらを殴った女性はあいらをぶった手を痛そうに撫でた後、ふうふうと自分の手に息を吹きかけた。そんな女性を見て、あいらは
「ごめんなさい、ごめんなさい、ジェラさん。」とうわ言のように何度も謝るのだ。

「はぁ、、、何が良くてあの子はこんな子をうちに置いてるのか。目も髪も不気味なくらいに真っ黒だし、肌だってお化けみたいに真っ白じゃないか。」

女性は少女の体を上から下までジロジロと見た後、吐き捨てるように「あぁ、気持ち悪い!」と言い放ち部屋から出て行った。

ドシドシと女性の足音が通り過ぎるのを確認した後、あいらは目にたっぷりの涙を溜める、

「何で、、何で毎日殴られないとダメなの。」

ぽつりと小さな声で呟けば、小さな小さな少女に与えられた部屋に声が響いた。

タオルケット一枚置かれた二畳ほどしかない物置小屋が少女に与えられた部屋だった。
いや、部屋というのもふさわしくない程に、少女に与えられたスペースは少なく、中は埃だらけでとても人が住むスペースではない。

それでも、少女には行く場所もなく、一枚の薄いタオルケットに小さな体を包めると少女は一人シクシクと涙を流した。

少女にとってこの場所はとても地獄なのに、逃げる事は出来ず、まるで生き地獄である。

だが、少女にとってはまだ殴られたりぶたれたりする方がよっぽどマシだった。

少女は更なる恐怖を知っている。だからこそ、女性が去った後に必ず来る人物を想像してタオルケットの中で体を震わせるのだ。

「あいらはいい子。あいらはいい子。あいらはいい子。」と少女は布団の中で必死に何度もその言葉を繰り返した。

何度か言葉を繰り返していれば、そっと少女のいる物置小屋のドアが開かれる。

「あいら、、?あぁ、あいら辛かっただろう?僕がきたからね、ほら大丈夫もう大丈夫だよぅあいら。」

優しげに聞こえる声に騙されてはいけない。
少女に優しく声をかける男こそ、悪の根源だと少女は知っている。

それでも、少女はニッコリと引きつり気味の笑顔を作り、タオルケットからスポッと顔を出せば、小太り気味の男と目があった。

「おっ、、お兄様。」

「あぁ、僕の可愛い可愛いあいら。。こんなに怪我をして。あぁ、可哀想に。」

少女は男の事をお兄様と言うが、男は少女の実の兄でなんかない。なのに、男はその少女に兄と呼ばせているのだ。

「あいらは、大丈夫で、す。」

ぶるぶると恐怖で震えだす手を抑え、必死で答える。
間違えてはいけない、彼を怒らせてはいけないと思いながら、怒らせない言葉を一生懸命考えて答えていくのだが、男の眉間には既に皺が寄っていた。

「ほら、あいらこっちにおいで!」

男はタオルケットに包まれる小さな少女の腕を引っ張るのだが、その手は汗なのかベトリと濡れており、少女は思わず「ひぃっ!」と声を上げ、掴まれた腕を振り払ってしまっていた。

しまった、、と少女が思った時には遅く、少女の手を掴もうとした男は怒りに顔を歪めた後、少女の腕を強く掴んだ。

「あいら!!!!お前のために!お前のために僕は苦労していると言うのに!お前は!お前は!」

激昂した男の目は血走っており、その体はワナワナと震え、少女の腕を掴んだ力は強く、少女の手は既に鬱血している。

「あぁ、ごめんなさい。ごめんなさい、お兄様。あいらが悪かったです!あいらのせいです!ごめんなさい!」

「お前が悪いんだ!あいら。僕の優しさをお前が踏み躙ったんだ!こんなにも可愛がってやってるのに。お前は何て酷い女なんだ!僕の気持ちを踏み躙りやがって!」

男は怒鳴りながら少女の髪を強く掴んだ。

「痛い、痛い!やめてください、ごめんなさい!許して、許してお兄様!」

どれだけ少女が謝罪しても男の怒りは止まらない。

少女の髪を引っ張り男は小さな物置小屋から別の場所に移動しようとするのだ。
髪の毛を引っ張りながら移動されれば、少女の髪がぶちぶちと何本も抜け落ちる音がし、痛みと悲しさで少女は泣き喚いた。

「ごめんなさい!お兄様許してください!許して!痛い、、痛いよお兄様。」と少女が涙しても、どれだけ叫んでも、周りを通る家の使用人達は誰も彼も少女を見て見ぬふりをする。

少女は誰も助けてくれない事など等に既に知っている。

それでも、少女は近くを通る人の足にへばりつき「助けて、、助けてください!」と助けを乞うた。

だが、そんな願いも叶わず男によって更に髪の毛を引っ張られた少女は「きゃぁぁいたぁいぃぃ、!!、、」と廊下中に響き渡る叫び声で叫んだ後、またずるずるとその髪を引っ張られ、男により部屋の一室に体を押し込められた。

まだ、小さな小さな体をした少女は、今から起こる事を想像し、嫌々と首を振るのだが、男はそんな少女を見て「気味の悪いお前を愛してやってるのは僕だけだぞ?」と少女に言うのだ。

気味が悪い、化け物、気持ちが悪いと周りの人達に何度も言われ続けてきた。
周りの人達に虐げられ、今だってこんなに辛い目に遭っている。

黒い髪と黒い目に生まれただけで、どうして自分だけがこんな目にあわないといけないのか、、少女にはわからない。

少女は下卑た笑みを浮かべる、男を見ながらただひたすらに涙を流すのだった。





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