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幼馴染の過去4

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最悪、このままローゼが血を流し続ければ、出血死してしまう事は目に見えた。
だから、仕方ない。。そう。仕方ない。

「セレシア、、直ぐに直ぐに戻って来るから。待ってて!」

「ア、ラ。。きよ。。」

ポソポソと何か話すセレシアに背を向けたアランは、「アラン、早く、痛いよ、助けてアラン。」と泣きじゃくるローゼの元に急ぎ、治癒の魔法をかけた。見た目以上に怪我を負っていなかったのだろう、ローゼの傷は直ぐに治す事ができた。
これなら、セレシアの傷も治せるだろう。
よかった、、よかった!!何とかなる。


「セレシア!!!ごめんな、直ぐに治してやるから、、痛いよな、ごめんごめんな。」
もう二人とも助ける事が出来たくらいの、感覚でいたアランがもう一度セレシアの元に向かったとき、違和感はあった。その手に触れた時には、もうセレシアはピクリとも動かないのである。

赤い髪が風に揺ら揺らと揺れ、口元は少し弧を描いており、瞳からは涙が一筋溢れていた。

「せっ、、セレシア、、??セレシア、、待って待てよ直ぐかける。直ぐ治すから待って待って、、。」

己の力を全て使い果たしても、もうセレシアが目を覚ますことは、ない。
己の力を過信しすぎていた。
少しぐらい傷が深くても、治せると思ってた。
非力な自分のせいで、、、セレシアは死んだ。
ローゼより先に、あの時側に行った時点で、、近づいた時点で治してたら、、治してたら絶対に助かったのに、。

そう悔やんでも、もう意味はない。

そこからの事をアランはあまり覚えておらず、
後から来たレオンに殴られた。「お前のせいで!!お前のせいだ!」とそれ以外にも喚きながら何か言っていたが、呆然と立ち尽くすアランには全てがノイズのように聞こえた。

セレシアの親も誰も、レオン以外アランを怒るものはいなかった。
魅力の魔法を使った覚えもないのにアランが怯えていれば「大丈夫!仕方ない!」「まあ、こんな事もあるさ!」と人一人亡くなっているのに陽気に言うのである。
セレシアの親ですら「大丈夫、仕方ないわ。セレシアもきっと貴方といれて幸せだったはずよ!」娘が亡くなったと言うのに、アランの瞳を見たセレシアの母は嬉々としてそう言った。


「アラン、、、。」

顔を手で覆い、プルプルと肩を振るわすローゼに名を呼ばれた。
大切な親友を失って、ローゼも悲しいのだ。

小さな体を引き寄せ、ギュッと抱きしめればローゼが囁いた。
「大丈夫、、私はセレシアのお陰で助かったの。セレシアが私を先にって言ってくれたから、、だから助かれたの。私の命はセレシアの命と同じだわ。」

「私は、これからセレシアの分も生きていくわ。
大丈夫、、大丈夫だよアラン。セレシアは亡くなったけど、セレシアもきっと、、私の願いが叶えば、喜んでくれる。」

「私の願いはセレシアの願いでもあるの。セレシアの為に、私の願いを叶えて。ずっと側にいて。アラン。」

心の何処かではそんなわけないだろと冷静な自分がいるが、ローゼの願いを聞けば、ローゼに優しくすればするだけ、どこか不思議と心が落ち着いたのも、また確かだった。


大人になった、アランの心は17歳のあの日に今も囚われ続けている。
あの時、アランが護衛や医師を数人連れてでも、山に四人で行けば何か変わってたんではないかと思うても、もう遅い。何も変わらない。

目を瞑ると思い出す。
フワフワと揺れる赤毛を。
アランを見つけて、少し垂れた目元を更に垂らし、ニッコリと微笑むセレシアの姿が脳裏に浮かぶ。

「ごめん、ごめんよ。セレシア。君を殺したのは私だ、、。」

アランの言葉がセレシアに届くはずもなく、週に一度会っていた3人は、その日以降集まるのをピシャリと辞めた。

数日後からレオンは普通にアランに話してくる様になったが、その日からレオンが心から笑う事は無くなった気がする。
それもこれも、全て自分のせいだ。

ーーーー
「ねぇ、アラン!明日はどこにいく?久しぶりのデートだから、私観劇とか行きたいなぁ。」

キャッキャっと喜ぶローゼは昔と変わらず無邪気である。

ローゼの病気はアランが魔法をかけ続けている為、進行を遅らせられてはいるが、長い時間離れれば、直ぐに弱っていくだろう。

ローゼ自身大切でもあるが、セレシアの命も含まれていると思うと、余計にローゼを守らないととアランは思う。

無邪気に笑う少女を見ながらも、頭に浮かぶのはエレナの姿だ。

「エレナ、、、。」

エレナに触れたい。エレナに会いたい、、。
エレナの笑顔を初めて見た瞬間、嫌な事を全て忘れられた。
ずっと暗かった闇を祓う唯一の光。
早く会いたい、、エレナ。


ーーセレシアの心。ーー
初めて見た時から好きだった。
今まで見てきた誰よりもかっこよくて、妹の様に可愛がってくれるアランが大好き。

人見知りな自分を気にかけてくれるアランが大好き。
流行りの髪型とか全然知らない私に、流行りの髪型や服を教えてくれるローゼが大好き。
いつも自分の後ろに庇って、何かあったら直ぐに来てくれるレオンが大好き。

自分が死ぬ瞬間って、分かるもので多分もう自分は死んじゃうのだろう。


「セレシア、、直ぐに直ぐに戻って来るから。待ってて!」
私を見下ろす愛しい顔は焦ってて、こんな時なのにあっ、初めてアランの焦った顔見えたなあって思った。



「アラン、、、大好きよ。」

親友の命を守れてよかった。
最後に、見れたのが大好きな人の顔でよかった。

3人とも、大好きよ。。。
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