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1 破滅の罠
「さあ、リアナ、ここにサインしてくれるかい?」
ヴィンセントがテーブルの上に置かれた婚前契約書を指して言う。
リアナが契約書の条文を吟味しようとした途端、ヴィンセントはそれをさえぎる。
「俺のこと、信じてほしい。全ては君のためにしてることだよ」
「そうよ、こんなに素敵な婚約者、他にいないわよ?ヴィンセントのこと、信じてあげて、リアナ」
隣にいたアマンダがリアナの耳元でささやく。
「そうよね、アマンダ。ごめんなさい、ヴィンセント、私ったら細かいことを気にして…」
男爵令嬢のアマンダは貴族や富豪の子女が集うサロンで出会った親友だ。
去年、唯一の家族である父親を亡くした時も、アマンダは親身になぐさめてくれた。
そんなアマンダが紹介してくれたのが、辺境伯の息子と称するヴィンセントだった。
親友がそう言ってるんだもの。きっと大丈夫よね…
リアナはとうとう、条文の内容を確認することなく、婚前契約書にサインした。
「信じてくれて嬉しいよ、リアナ!!」
ヴィンセントの満面の笑みにリアナは嬉しくなった。
出会って間もないけれど、私はこの人と幸せになるのね。
「そうだわ!二人のために特製の輸入紅茶を用意しておいたのを忘れていたわ」
そう言うと、リアナは部屋を出て調理場へ向かった。
そして紅茶の盆を持ち再び部屋の扉を開けた時、なぜか二人がカーテンの影にいるのが見えた。
え?
リアナに気づいた二人はさっと離れる。
「このカーテンの柄、素敵ねって話してたのよ」
「そうそう、さすが富豪オーケン家だよな」
一瞬、ヴィンセントとアマンダの顔が重なって見えたけど…
まさか、気のせいよね…
不自然な二人の態度から感じ取った不吉な不安を、リアナは無理やり飲み込んだ。
ヴィンセントがテーブルの上に置かれた婚前契約書を指して言う。
リアナが契約書の条文を吟味しようとした途端、ヴィンセントはそれをさえぎる。
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「そうよ、こんなに素敵な婚約者、他にいないわよ?ヴィンセントのこと、信じてあげて、リアナ」
隣にいたアマンダがリアナの耳元でささやく。
「そうよね、アマンダ。ごめんなさい、ヴィンセント、私ったら細かいことを気にして…」
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え?
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