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2 婚約破棄
数日後、婚約祝いの食事会がリアナの邸宅で催された。
リアナは貿易を営む富豪の一人娘だ。
大きく広い館は素晴らしい調度品や室内装飾で彩られている。
テーブルに並べられた豪華な食事。
そこにはリアナとヴィンセント、そしてアマンダが同席していた。
「しまった、お祝いで持参したワインを玄関に忘れてしまった」
「私がとってくるわね」
ヴィンセントの言葉に、幸せいっぱいのリアナは進んでワインボトルを取りに席をたった。
「さあ、乾杯!」
「乾杯!おめでとう、リアナ、ヴィンセント」
三人はグラスを掲げて乾杯した。
グラスに注がれた赤赤しいワインがあやしく揺れる。
「ん…!?」
口をつける直前、ヴィンセントがグラスからぱっと顔を離した。
「変な匂いがする」
「え?」
怪訝な顔をしたリアナを尻目に、ヴィンセントは部屋の隅にいた飼い猫に無理やりワインを飲ませた。
「ぎゃーぎゃーぎゅーう!」
奇妙な鳴き声を上げた後、猫はことりと事切れた。
「ひ!!!!」
真っ青になったリアナを指差し、アマンダが叫ぶ。
「毒だわ!!!リアナ、まさかあなたの仕業!?」
「俺を殺そうとしたのか!俺への財産分与が惜しくなったのか!?」
「ちがっ!私は何も──!」
「嘘つき女め!ワインボトルに最後に触れたのは、リアナ、お前だろう!!」
必死に否定しようとするリアナを睨みつけ、ヴィンセントが通告する。
「婚約破棄だ!この屋敷から今すぐ出ていけ!!」
「そんな、あんまりよ!それにここは私の家なのに!」
リアナが抵抗すると、上から押さえつけるようにヴィンセントがすごむ。
婚前契約書を手に衝撃の事実を述べる。
「条文に書いてあるんだよ。婚約解消後も、お前の全財産は継続して俺のものになる、と」
婚約解消したのに、全財産がヴィンセントに渡ってしまう──??
「あーーっははは!」
高らかな笑いの主はアマンダだった。
「やっぱり世間知らずのお嬢様ねえ、お、ば、か、さ、ん」
「アマ、ンダ…?」
リアナは信じられない表情でアマンダを見る。
「紹介しよう、俺の新しい婚約者だ」
そう言って、ヴィンセントはアマンダの肩を引き寄せた。
カーテンの影で二人がいちゃつく姿が脳裏によぎる。
嵌められた──!!!
リアナはようやく全てを察した。
心臓が凍りつき、早鐘のように鳴る。
迫り来る不安。息ができない。
はじめから破棄前提でリアナと婚約し、全財産を奪う計画だったのだ。
「毒を盛ったことは警備隊には通報しないでおいてやる。大人しく出ていけ」
リアナはショックのあまり何も考えることができないまま、屋敷の外に放り出された。
外は暗く、雪が降りはじめていた。
「まだいたのか、さっさと消えろ!!」
まだ門の前をうろうろしていたリアナを見つけ、ヴィンセントが剣で威嚇してきた。
「あっちに行きなさいよ!」
アマンダも加わって石を投げてきた。
ここにいたら殺されるかもしれない…!
リアナは走って二人から逃げた。
煌々と明るい屋敷が遠ざかっていく。
私がバカだった…ああ、お父様がいてくれたらこんなことには…
たくさんのあたかい思い出が詰まった私の家は、悪党の手に渡ってしまった。
絶望と悲しみに押しつぶされそうになりながら、リアナは降り積もる雪の中、歩き続けた。
そして森の奥へと迷い込み、山道の途中で意識を失った──
リアナは貿易を営む富豪の一人娘だ。
大きく広い館は素晴らしい調度品や室内装飾で彩られている。
テーブルに並べられた豪華な食事。
そこにはリアナとヴィンセント、そしてアマンダが同席していた。
「しまった、お祝いで持参したワインを玄関に忘れてしまった」
「私がとってくるわね」
ヴィンセントの言葉に、幸せいっぱいのリアナは進んでワインボトルを取りに席をたった。
「さあ、乾杯!」
「乾杯!おめでとう、リアナ、ヴィンセント」
三人はグラスを掲げて乾杯した。
グラスに注がれた赤赤しいワインがあやしく揺れる。
「ん…!?」
口をつける直前、ヴィンセントがグラスからぱっと顔を離した。
「変な匂いがする」
「え?」
怪訝な顔をしたリアナを尻目に、ヴィンセントは部屋の隅にいた飼い猫に無理やりワインを飲ませた。
「ぎゃーぎゃーぎゅーう!」
奇妙な鳴き声を上げた後、猫はことりと事切れた。
「ひ!!!!」
真っ青になったリアナを指差し、アマンダが叫ぶ。
「毒だわ!!!リアナ、まさかあなたの仕業!?」
「俺を殺そうとしたのか!俺への財産分与が惜しくなったのか!?」
「ちがっ!私は何も──!」
「嘘つき女め!ワインボトルに最後に触れたのは、リアナ、お前だろう!!」
必死に否定しようとするリアナを睨みつけ、ヴィンセントが通告する。
「婚約破棄だ!この屋敷から今すぐ出ていけ!!」
「そんな、あんまりよ!それにここは私の家なのに!」
リアナが抵抗すると、上から押さえつけるようにヴィンセントがすごむ。
婚前契約書を手に衝撃の事実を述べる。
「条文に書いてあるんだよ。婚約解消後も、お前の全財産は継続して俺のものになる、と」
婚約解消したのに、全財産がヴィンセントに渡ってしまう──??
「あーーっははは!」
高らかな笑いの主はアマンダだった。
「やっぱり世間知らずのお嬢様ねえ、お、ば、か、さ、ん」
「アマ、ンダ…?」
リアナは信じられない表情でアマンダを見る。
「紹介しよう、俺の新しい婚約者だ」
そう言って、ヴィンセントはアマンダの肩を引き寄せた。
カーテンの影で二人がいちゃつく姿が脳裏によぎる。
嵌められた──!!!
リアナはようやく全てを察した。
心臓が凍りつき、早鐘のように鳴る。
迫り来る不安。息ができない。
はじめから破棄前提でリアナと婚約し、全財産を奪う計画だったのだ。
「毒を盛ったことは警備隊には通報しないでおいてやる。大人しく出ていけ」
リアナはショックのあまり何も考えることができないまま、屋敷の外に放り出された。
外は暗く、雪が降りはじめていた。
「まだいたのか、さっさと消えろ!!」
まだ門の前をうろうろしていたリアナを見つけ、ヴィンセントが剣で威嚇してきた。
「あっちに行きなさいよ!」
アマンダも加わって石を投げてきた。
ここにいたら殺されるかもしれない…!
リアナは走って二人から逃げた。
煌々と明るい屋敷が遠ざかっていく。
私がバカだった…ああ、お父様がいてくれたらこんなことには…
たくさんのあたかい思い出が詰まった私の家は、悪党の手に渡ってしまった。
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