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15 仕切り直し
ずっと黙ってうつむいていたエバンジェリンが口元を抑えた。
「エバンジェリン、大丈夫か?」
オースト侯爵がエバンジェリンの背中をさすった。エバンジェリンの顔は真っ青だった。
「気分が悪くなってしまったか……傷心のエバンジェリンにはこのような場はさぞかし負担だろう。まだ審議は続くので今日はこれまでとする。皆には手間をかけてしまうが、後日また招集するとしよう」
陛下の言葉でこの場は一旦お開きとなった。
アダムスは王宮を出た後、メアリに声をかけた。
「メアリ。災難だったね。あんなデタラメな調査されて」
「本当に辛いですわ」
メアリは目を潤ませてこらえるように唇を噛んだ。
「きっと、あのオースト家が裏で操っているのですわ」
メアリは途方もないことを言い出した。
「いくら何でもそんなこと──」
「ご存じないのですか?オースト家の力を。ルミナーレ王家より強い力を持っているという者もいますわ」
「王家より??」
アダムスの脳裏に大広間でオースト侯爵とエバンジェリンに臣下の礼をとる陛下や貴族たちの映像がよぎった。
「何もかも私をはめようとしているのです。アダムス様と私を引き離すために」
「え」
本当にそうなのだろうか?
エバンジェリンが僕を取り返すためにオースト侯爵に頼んだのだろうか?
アダムスはメアリの言葉を嘘とも言い切れないと感じ始めていた。
「だってアダムス様はこんなに魅力的なんですもの。エバンジェリン様だって平民の私にアダムス様を取られてほうっておけるはずがないわ」
メアリはアダムスに近づき胸に頬を寄せた。儚げなメアリの体温が伝わってきてアダムスは思わずメアリの肩を抱こうと手を広げた。
「この!うちの息子から離れろ、売女め!!!」
「きゃ」
遅れてアダムスと合流してきた男爵が拳を振り上げ逃げるメアリを追い払った。
「お前もなんと情けない!あんな女にひっかかりおって……!いい加減目を覚まさんか馬鹿息子が!!」
男爵はバン!とアダムスの背中を叩いた。
「痛った!何するんですか!?」
アダムスの抗議など無視して男爵は歯をギリギリと割れるほど噛み締めメアリの遠くなる背中を睨みつけていた。
父上は何もわかっていない。
メアリは純情な乙女のはずだ。
誰が信じなくても僕だけはあの子を信じるんだ。
アダムスは叩かれた背中の痛みをこれも愛の試練だと思った。
それにしても、メアリをこんな目にあわせるなんてエバンジェリンが腹立たしい。
アダムスはエバンジェリンに腹を立てていた。罪もないメアリと自分がこんなに責め立てられているのに何も言わずただ悲しげにうつむいているだけのエバンジェリンの姿を卑怯だと感じていた。
アダムスと男爵が馬車広場に着いたとき、ちょうどエバンジェリンがオースト侯爵に付き添われ馬車に乗り込もうとしていた。
アダムスは怒りと軽蔑を込めてエバンジェリンを眺めた。お前のせいだと罵ってやりたかった。
ところが視線を落としたままの憂いに満ちたエバンジェリンの横顔になぜか幻覚のように手紙の流麗な文字が重なった。
『早く……早くお会いしたいです。愛しいアダムス様。』
アダムスは幻覚を振り払うように首を振った。
なんで手紙を思い出してしまうんだ!?
理由がわからずアダムスは困惑した。気づいたらエバンジェリンは馬車で去った後だった。
「エバンジェリン、大丈夫か?」
オースト侯爵がエバンジェリンの背中をさすった。エバンジェリンの顔は真っ青だった。
「気分が悪くなってしまったか……傷心のエバンジェリンにはこのような場はさぞかし負担だろう。まだ審議は続くので今日はこれまでとする。皆には手間をかけてしまうが、後日また招集するとしよう」
陛下の言葉でこの場は一旦お開きとなった。
アダムスは王宮を出た後、メアリに声をかけた。
「メアリ。災難だったね。あんなデタラメな調査されて」
「本当に辛いですわ」
メアリは目を潤ませてこらえるように唇を噛んだ。
「きっと、あのオースト家が裏で操っているのですわ」
メアリは途方もないことを言い出した。
「いくら何でもそんなこと──」
「ご存じないのですか?オースト家の力を。ルミナーレ王家より強い力を持っているという者もいますわ」
「王家より??」
アダムスの脳裏に大広間でオースト侯爵とエバンジェリンに臣下の礼をとる陛下や貴族たちの映像がよぎった。
「何もかも私をはめようとしているのです。アダムス様と私を引き離すために」
「え」
本当にそうなのだろうか?
エバンジェリンが僕を取り返すためにオースト侯爵に頼んだのだろうか?
アダムスはメアリの言葉を嘘とも言い切れないと感じ始めていた。
「だってアダムス様はこんなに魅力的なんですもの。エバンジェリン様だって平民の私にアダムス様を取られてほうっておけるはずがないわ」
メアリはアダムスに近づき胸に頬を寄せた。儚げなメアリの体温が伝わってきてアダムスは思わずメアリの肩を抱こうと手を広げた。
「この!うちの息子から離れろ、売女め!!!」
「きゃ」
遅れてアダムスと合流してきた男爵が拳を振り上げ逃げるメアリを追い払った。
「お前もなんと情けない!あんな女にひっかかりおって……!いい加減目を覚まさんか馬鹿息子が!!」
男爵はバン!とアダムスの背中を叩いた。
「痛った!何するんですか!?」
アダムスの抗議など無視して男爵は歯をギリギリと割れるほど噛み締めメアリの遠くなる背中を睨みつけていた。
父上は何もわかっていない。
メアリは純情な乙女のはずだ。
誰が信じなくても僕だけはあの子を信じるんだ。
アダムスは叩かれた背中の痛みをこれも愛の試練だと思った。
それにしても、メアリをこんな目にあわせるなんてエバンジェリンが腹立たしい。
アダムスはエバンジェリンに腹を立てていた。罪もないメアリと自分がこんなに責め立てられているのに何も言わずただ悲しげにうつむいているだけのエバンジェリンの姿を卑怯だと感じていた。
アダムスと男爵が馬車広場に着いたとき、ちょうどエバンジェリンがオースト侯爵に付き添われ馬車に乗り込もうとしていた。
アダムスは怒りと軽蔑を込めてエバンジェリンを眺めた。お前のせいだと罵ってやりたかった。
ところが視線を落としたままの憂いに満ちたエバンジェリンの横顔になぜか幻覚のように手紙の流麗な文字が重なった。
『早く……早くお会いしたいです。愛しいアダムス様。』
アダムスは幻覚を振り払うように首を振った。
なんで手紙を思い出してしまうんだ!?
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