亡命聖女─アンデッドを祓える力は内緒だけど、隣の大陸の王陛下が溺愛してくる

nanahi

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23 ローザリアの横顔

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ユークリッドたちがアンデッドに襲われたと報告を受けたネイブは耳を疑った。


アンデッド…今でもこの大陸に存在していたのか…??


どうやってアンデッドを倒したのか、レオにその時の状況を尋ねると、レオは少し間を置いて答えた。


「剣で何度か切りつけて。そのうち絶命しました。アンデッドのようでしたが、まだ確証はありません」


レオは嘘をついた。ローザリアに人ならぬ力があることをまだ伏せていたかった。
ユークリッドとローザリアには、騒ぎになるからローザリアの不思議な力についてはまだ内緒にしておこう、と話を合わせている。

だが本当は、騒ぎになるからそうしたのではない。ローザリアがこの国に必要な存在になるのがレオにはしゃくだった。


ユークリッドを盗られる。


自分にこんな醜い欲望があったとは。
驚きながらも、レオはローザリアへの対抗心を止めることができなかった。




--------------------




アンデッドは剣で殺せるのか…?アンデッドが出たという森からは距離があるが、もし王都に入り込まれたらどうするか…


レオの話を反芻はんすうし、執務室の椅子を揺らしながらネイブはあれこれ対策を考えていたが、いつの間にかその頭にはローザリアのことが浮かんでいた。


恐ろしかっただろうな…


ふと浮かんだ同情を掻き消すようにネイブは首を横に振った。


いや、ユークリッド暗殺計画を邪魔されて、私はあの娘に腹を立てていたではないか。
少々怖い思いをしたところで自業自得だ。


夕刻になっても同情と怒りとが交互に訪れ、少し混乱したネイブは頭を整理するためひとり庭園に出た。




気づくとネイブは知らぬ間に、以前、ユークリッドに連れられたローザリアと出会った庭に来ていた。

庭園の向こうに王宮の離れが黒いシルエットになって見える。いつもこのあたりは人気がなく真っ暗なのに、離れの窓に明かりがついていた。


そうか。
あの娘があそこに住んでいるのだな。


窓を覗くと、ローザリアの横顔が燭台の灯りに照らし出された。どこか儚げで美しい横顔だった。


もしあの娘が銀髪で銀眼だったなら、私の母に負けないくらい美しいだろう。


ネイブはいつの間にかローザリアに見とれていた。ローザリアは虚な目でひたすら、ただぼんやりとしていた。


美しいが、なんと哀しげなのだ。


ネイブはローザリアに孤独を感じ取った。王のユークリッドにひいきにされているのに、浮かれることもない少女。


お前はその心に何をかかえているのだ。


ネイブは磁石に引き寄せられるような引力をローザリアに感じ始めていた。


扉が開き、ユークリッドが部屋に入ってきた。ユークリッドが一言二言声をかけると、小さくうなずいたローザリアはユークリッドと共に部屋を出ていった。


ぴり、とネイブの胸が痛んだ。


何だ、この痛みは。


憎しみのまま歩んできたネイブの心に初めて訪れた嫉妬だった。




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