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41 バルクレーの使者
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ローザリア、ローザリア。
ユークリッドは四六時中ローザリアのことばかり考え、ぼんやりすることが増えた。そのうち、どこからか幻聴が聞こえるようになった。
”この娘を手放してはならない”
わかっている。
大切に守る。
”自分のものにし、コントロールし続けなければならない”
そんなに強引に?
どうしてだ?
そうしなければ自分が支配される──
がん!
ショックを受けたように目が覚め、ユークリッドは勢い余って机で膝を打った。
「痛ッ…書斎でうたた寝していたか。何か夢を見ていたような…」
幻聴の内容はあっという間に薄らいでもう思い出せなかった。ただ、自分の中に黒いモヤのようなものがうごめいているような気がして、ユークリッドは思わず胸をさすった。
--------------------
数日後、また新たな使者が到着した。その使者もまた、ローザリアに会いたいと申し出た。
「またか…使者に一度面会してから決めよう」
ローザリアに関わる情報を持っているのなら、彼女への面会を許すのも手だと、ユークリッドは考えた。
一方、ネイブは半月の晩以来、ローザリアに会えずにいた。ユークリッドが離れの警備を厳重にし、自分とレオを除き、ローザリアに直接会うことを禁じたのだ。はたからみればまるで軟禁状態である。
ローザリアを独占する気か…?
ネイブはユークリッドに嫌悪感を抱いた。本人に会えない以上、使者から情報を得るしかない。ネイブもユークリッドと同様、少しでもローザリアについて知りたかった。
兵士が来客の合図を受け、王の間の扉を開いた。ふてぶてしい様子で入ってきた男は隣のジェム大陸、ザーラ王国からの使者だった。
「単刀直入、言う。ローザリア、我が主人、バルクレーの婚約者。すぐ返してほしい」
簡単な挨拶が終わるや否や、使者は片言のルクセン語でストレートに望みを述べた。
「婚約者だと──!?」
寝耳に水だった。ユークリッドのこめかみがひりついた。同席していたネイブも目を見開き、衝撃を受けている。
「それは本当か?ローザリアは酷い目にあい、大陸から逃げてきたと聞いているぞ」
ユークリッドは傷だらけで自分の元にきたローザリアを誰にも渡すつもりはなかった。
「行き違い、あった。バルクレー陛下、ローザリア様、愛している。ローザリア様、知っている」
「信じ難いな」
「返さない、ならば、考えある。我が国、ジェム大陸一、強い」
なかなか承諾しないユークリッドに使者は武力をちらつかせ始めた。
このままではまずいな。
ネイブは不穏な空気になってきたこの場を何とか納めなければと考えを巡らせた。
我が一族の敵であるルクセン王国がどうなろうと知ったことではないが、ローザリアが連れ戻されるのは断固阻止しなければならない。
とりあえず、時間稼ぎが必要だ。
「これ、を」
使者は書簡を差し出した。
「バルクレー陛下、手紙、ローザリア様へ」
そう言って使者は首を垂れた。
「ひとまず書簡をお預かりします。ローザリア嬢に読んでいただいてから、どうするか決めてはどうでしょう、陛下?」
答えに迷っていたユークリッドは、ネイブの提案に「そうしよう」と素早く賛同した。
ユークリッドは四六時中ローザリアのことばかり考え、ぼんやりすることが増えた。そのうち、どこからか幻聴が聞こえるようになった。
”この娘を手放してはならない”
わかっている。
大切に守る。
”自分のものにし、コントロールし続けなければならない”
そんなに強引に?
どうしてだ?
そうしなければ自分が支配される──
がん!
ショックを受けたように目が覚め、ユークリッドは勢い余って机で膝を打った。
「痛ッ…書斎でうたた寝していたか。何か夢を見ていたような…」
幻聴の内容はあっという間に薄らいでもう思い出せなかった。ただ、自分の中に黒いモヤのようなものがうごめいているような気がして、ユークリッドは思わず胸をさすった。
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数日後、また新たな使者が到着した。その使者もまた、ローザリアに会いたいと申し出た。
「またか…使者に一度面会してから決めよう」
ローザリアに関わる情報を持っているのなら、彼女への面会を許すのも手だと、ユークリッドは考えた。
一方、ネイブは半月の晩以来、ローザリアに会えずにいた。ユークリッドが離れの警備を厳重にし、自分とレオを除き、ローザリアに直接会うことを禁じたのだ。はたからみればまるで軟禁状態である。
ローザリアを独占する気か…?
ネイブはユークリッドに嫌悪感を抱いた。本人に会えない以上、使者から情報を得るしかない。ネイブもユークリッドと同様、少しでもローザリアについて知りたかった。
兵士が来客の合図を受け、王の間の扉を開いた。ふてぶてしい様子で入ってきた男は隣のジェム大陸、ザーラ王国からの使者だった。
「単刀直入、言う。ローザリア、我が主人、バルクレーの婚約者。すぐ返してほしい」
簡単な挨拶が終わるや否や、使者は片言のルクセン語でストレートに望みを述べた。
「婚約者だと──!?」
寝耳に水だった。ユークリッドのこめかみがひりついた。同席していたネイブも目を見開き、衝撃を受けている。
「それは本当か?ローザリアは酷い目にあい、大陸から逃げてきたと聞いているぞ」
ユークリッドは傷だらけで自分の元にきたローザリアを誰にも渡すつもりはなかった。
「行き違い、あった。バルクレー陛下、ローザリア様、愛している。ローザリア様、知っている」
「信じ難いな」
「返さない、ならば、考えある。我が国、ジェム大陸一、強い」
なかなか承諾しないユークリッドに使者は武力をちらつかせ始めた。
このままではまずいな。
ネイブは不穏な空気になってきたこの場を何とか納めなければと考えを巡らせた。
我が一族の敵であるルクセン王国がどうなろうと知ったことではないが、ローザリアが連れ戻されるのは断固阻止しなければならない。
とりあえず、時間稼ぎが必要だ。
「これ、を」
使者は書簡を差し出した。
「バルクレー陛下、手紙、ローザリア様へ」
そう言って使者は首を垂れた。
「ひとまず書簡をお預かりします。ローザリア嬢に読んでいただいてから、どうするか決めてはどうでしょう、陛下?」
答えに迷っていたユークリッドは、ネイブの提案に「そうしよう」と素早く賛同した。
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