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63 口づけ
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一度魔女の烙印を押されたローザリアは再び聖女として返り咲いた。しかも、古代王家の女王であるという付加価値を得て。
「ああ悔しい!ああ腹が立ちますわ!!」
どんなに吠えてもデルタに勝ち目はない。デルタ親子の力が到底及ばない領域にローザリアは登ってしまったのだ。
--------------------
「ちょっといいかな」
ユークリッドが離れのローザリアを訪ねた。
「ローザリア、いや、ローロミュケアー女王のほうが正解かな」
少し言いよどみながらユークリッドはローザリアに問うた。
「君は故郷に帰りたいかい?もしそうなら僕が責任を持って村まで送るよ」
ローザリアは決して自分を縛ろうとしない優しいユークリッドに心から愛おしさを感じた。
「陛下…私のこと、ローザリアと呼んで」
「でも君は女王なんだから…」
「陛下と初めて会った時、私名前、ローザリア。陛下、たくさん呼んでくれた名前、捨てたくない!」
ローザリアはユークリッドの前で初めてわがままを言った。
「それに──」
顔を赤らめ人生最大の勇気を出してローザリアはユークリッドに聞いた。
「平気…?私と離れる、平気??」
「…!」
潤んだ目でこちらを見つめるローザリアがどうにかなりそうな程かわいかった。
僕はバカだ。
自信がなくて、ローザリアを試すようなことをしてしまった。
ユークリッドは心のままゆっくりと伸ばした腕でローザリアを引き寄せた。ふわっと白百合のような高貴な匂いがローザリアを包んだ。
陛下の匂い…これが今の私にとって幸せの匂いなんだ。
故郷クシュマトハのことも大切だけど、今はこの人と一緒にいたい。
ローザリアは幸せの絶頂にいた。ユークリッドに抱きしめられながら、その背にそっと手を回した。
「決めた。もう離さない」
ユークリッドが意を決したようにそう耳元で囁き、ローザリアに改めて向き直った。
「僕の妃になってほしい」
ローザリアの答えは決まっていた。心の底から湧きあがる喜びでローザリアは目頭が熱くなった。互いが見つめ合う。
「陛──」
答えを待たないまま、ユークリッドはローザリアの唇を奪った。
「ああ悔しい!ああ腹が立ちますわ!!」
どんなに吠えてもデルタに勝ち目はない。デルタ親子の力が到底及ばない領域にローザリアは登ってしまったのだ。
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「ちょっといいかな」
ユークリッドが離れのローザリアを訪ねた。
「ローザリア、いや、ローロミュケアー女王のほうが正解かな」
少し言いよどみながらユークリッドはローザリアに問うた。
「君は故郷に帰りたいかい?もしそうなら僕が責任を持って村まで送るよ」
ローザリアは決して自分を縛ろうとしない優しいユークリッドに心から愛おしさを感じた。
「陛下…私のこと、ローザリアと呼んで」
「でも君は女王なんだから…」
「陛下と初めて会った時、私名前、ローザリア。陛下、たくさん呼んでくれた名前、捨てたくない!」
ローザリアはユークリッドの前で初めてわがままを言った。
「それに──」
顔を赤らめ人生最大の勇気を出してローザリアはユークリッドに聞いた。
「平気…?私と離れる、平気??」
「…!」
潤んだ目でこちらを見つめるローザリアがどうにかなりそうな程かわいかった。
僕はバカだ。
自信がなくて、ローザリアを試すようなことをしてしまった。
ユークリッドは心のままゆっくりと伸ばした腕でローザリアを引き寄せた。ふわっと白百合のような高貴な匂いがローザリアを包んだ。
陛下の匂い…これが今の私にとって幸せの匂いなんだ。
故郷クシュマトハのことも大切だけど、今はこの人と一緒にいたい。
ローザリアは幸せの絶頂にいた。ユークリッドに抱きしめられながら、その背にそっと手を回した。
「決めた。もう離さない」
ユークリッドが意を決したようにそう耳元で囁き、ローザリアに改めて向き直った。
「僕の妃になってほしい」
ローザリアの答えは決まっていた。心の底から湧きあがる喜びでローザリアは目頭が熱くなった。互いが見つめ合う。
「陛──」
答えを待たないまま、ユークリッドはローザリアの唇を奪った。
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