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nanahi

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3 奪った日 蘭目線

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とうとう奪ってやった。

優斗は私のもの。
大学時代、短期間付き合っただけの男だけど、大手の保険会社で働いているって友達から聞いて、偶然をよそおって「運命の再会」を演出してやったの。

実家が資産家?

はっ。

昔の話よ。
確かに中学生の頃まで裕福だったわ。

でも酒癖の悪い父親が悪い奴に騙されて連帯保証人にされ、あっという間に一家離散。
私は田舎が嫌になって、奨学金を借りて都心の大学に入ったの。
優斗とはそこで出会ったというわけ。

これまで付き合ってきた男?
そうねえ。ざっと30人はいるかしらね。

多すぎる?
ばかね。
自分の将来を託す相手を決めるのに、多すぎることはないわ。
気に入る人が見つかるまで、とことん選び抜くべきよ。

とはいっても、優斗は旦那候補の中じゃ、下の方だったけど。
奨学金の延滞金がたまって困っていたから、優斗の貯金から失敬して、全部返せたからよかったわ。
私は自由の身。

子供?
ん~。
たぶん、優斗の子。
たぶんね。

私は同時に三人以上と付き合う主義だから、正直なところ、DNA調べないと誰の子かわからないわ。
よっぽどのことがないと、そんなの調べたりしないでしょう?
私はドラマみたいなヘマはしないわ。

しかし、沙耶とかいう女、節約家でけっこうお金、貯めてたみたい。
優斗が競馬で存分に遊ぶために200万円もあの女から借りたって聞いて、なんてお人よしの馬鹿なんだって笑ったけど。

あーあ。
優斗にあの女からさらにお金を巻き上げてから別れさせればよかった。
欲しいバッグと靴、まだ何個もあるのよね。

うっ。
つわりがきつい。
優斗は会社が休みの日でも、産婦人科に付き添ってくれないし。
子供があまり好きじゃないのかも。
でも、生まれたらきっと可愛いはずよ。

私は身重なのに、掃除しろ、料理作れって、うるさいのよ。
そんなに家事をしてもらいたかったら、メイド雇えばいいじゃない。

この前の夕飯だって、せっかく作ってやったのに、白米だけ少し食べてあとは流しに捨ててた。
ちょっとスマホ見てたからすこーしだけ焦げちゃったけど、愛妻の手料理よ?
普通、文句なんて言う?

だからもう作ってあげない。
面倒臭いし。

部屋が散らかってたって誰も困らないわよね。
だから、掃除もしない。
洗濯も面倒。
全部面倒。

これが私。
籍を入れたんだから、私の勝ち。




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