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14 西くん 蘭視点
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優斗のスマホのパスワードをこっそり解除して、あの女の情報を探った。
「あの女の住所が送られてきてる。この人誰?」
優斗宛にメッセージが入っていたが、私の知らない人からだった。
とにかく、これであの女の住所がわかった。
ピロン♩
突然、手に持っていた優斗のスマホの着信音が鳴って、びくっとする。
追加のメッセージだ。
幸い、優斗はお酒を飲んで寝入っている。
「フレンチ居酒屋?」
メッセージによると、あの女が今この店を訪れているらしい。
送信主は優斗の協力者かしら?
私はベビーベッドで寝ている聖斗の顔を確認してから、ひとりフレンチ居酒屋へ向かった。
到着すると、おしゃれで落ち着いたいい雰囲気のお店だった。
こんなところにひとりで来て。
独身はお気楽なものね。
あの女への憎しみはたぎったままだ。
さほど広くない店内で、あの女はすぐに見つかった。
何?
若い男と楽しそうにしゃべって。
節操ない女。
私はあの女の前にすっと立った。
「え」
あの女は私に気づいて目を見張った。
は。
困ってる、困ってる。
もっと困れ。
「お楽しみのところ、申し訳ないんだけど」
私はちゃんと断りをいれて、話し始めた。
「うちの旦那にちょっかい出さないでもらえる?」
若い男は、え、という顔で私とあの女を見比べた。
「そんなことしてません。誤解です。別れてから私から三橋さんに連絡を取ったことは一度もありません」
嘘ね。
そんな必死に。
演技がみえみえなのよ。
「優斗が困っててお金の相談をしたのかもしれないけど、下心はないから!」
私の言葉にあの女は眉をひそめた。
「お金?……何の話ですか……?」
え、お金の話、してないの?
嘘よね。
だってそれが目的なのに。
「ごまかさなくてもいいのよ。急な話で驚かせちゃったかもしれないけど、優斗の相談にはちゃんと乗ってあげてほしいの。大事なことだから。でもちょっかいはもうやめて」
あの女は言葉が出ないようだった。
勝負あったわね。
結局、正論を言えた者が勝つのよ。
その時、急に若い男が口を挟んできた。
「あの、三橋先輩の奥さんですか?ちょっと失礼じゃないですか?」
は?
何、この男。
「西くん、いいの」と、あの女がなだめようとしている。
西って何、会社の後輩?
西、西……
どこかで聞いたような……
まさか、優斗が言ってた営業成績抜かれた後輩って、この男!?
私は二重にムカついてきた。
この女は私の旦那より成績優秀な男と一緒にいる。
私たちのやりとりを周囲の客たちがチラ見しては、ヒソヒソ話している。
ああ、癪に障る!
なんでよ!
なんで私ばっかりこんな惨めな目にあうのよ!!!
私が客をにらみつけると、「こわ」と誰かがつぶやいた。
それが私の怒りに火を注いだ。
全部、あの女のせいよ!!!
「そもそもあんたが優斗に──!!」
怒りに任せてあの女に顔を近づけたとき、私は突然強い力で後ろに引っ張られた。
優斗だった。
息を切らせて、私を追いかけてきたようだった。
優斗、私が心配だったの?
でも、優斗は鬼の形相で私を睨みつけた。
「ごめん、うちの奥さんが」
怒りをやっと抑えている声音で優斗があの女に謝罪した。
なんで謝るの!?
悪いのはあの女なのに!??
優斗は何か言いかけた私の口を塞いで、店外に引きずっていった。
「あの女の住所が送られてきてる。この人誰?」
優斗宛にメッセージが入っていたが、私の知らない人からだった。
とにかく、これであの女の住所がわかった。
ピロン♩
突然、手に持っていた優斗のスマホの着信音が鳴って、びくっとする。
追加のメッセージだ。
幸い、優斗はお酒を飲んで寝入っている。
「フレンチ居酒屋?」
メッセージによると、あの女が今この店を訪れているらしい。
送信主は優斗の協力者かしら?
私はベビーベッドで寝ている聖斗の顔を確認してから、ひとりフレンチ居酒屋へ向かった。
到着すると、おしゃれで落ち着いたいい雰囲気のお店だった。
こんなところにひとりで来て。
独身はお気楽なものね。
あの女への憎しみはたぎったままだ。
さほど広くない店内で、あの女はすぐに見つかった。
何?
若い男と楽しそうにしゃべって。
節操ない女。
私はあの女の前にすっと立った。
「え」
あの女は私に気づいて目を見張った。
は。
困ってる、困ってる。
もっと困れ。
「お楽しみのところ、申し訳ないんだけど」
私はちゃんと断りをいれて、話し始めた。
「うちの旦那にちょっかい出さないでもらえる?」
若い男は、え、という顔で私とあの女を見比べた。
「そんなことしてません。誤解です。別れてから私から三橋さんに連絡を取ったことは一度もありません」
嘘ね。
そんな必死に。
演技がみえみえなのよ。
「優斗が困っててお金の相談をしたのかもしれないけど、下心はないから!」
私の言葉にあの女は眉をひそめた。
「お金?……何の話ですか……?」
え、お金の話、してないの?
嘘よね。
だってそれが目的なのに。
「ごまかさなくてもいいのよ。急な話で驚かせちゃったかもしれないけど、優斗の相談にはちゃんと乗ってあげてほしいの。大事なことだから。でもちょっかいはもうやめて」
あの女は言葉が出ないようだった。
勝負あったわね。
結局、正論を言えた者が勝つのよ。
その時、急に若い男が口を挟んできた。
「あの、三橋先輩の奥さんですか?ちょっと失礼じゃないですか?」
は?
何、この男。
「西くん、いいの」と、あの女がなだめようとしている。
西って何、会社の後輩?
西、西……
どこかで聞いたような……
まさか、優斗が言ってた営業成績抜かれた後輩って、この男!?
私は二重にムカついてきた。
この女は私の旦那より成績優秀な男と一緒にいる。
私たちのやりとりを周囲の客たちがチラ見しては、ヒソヒソ話している。
ああ、癪に障る!
なんでよ!
なんで私ばっかりこんな惨めな目にあうのよ!!!
私が客をにらみつけると、「こわ」と誰かがつぶやいた。
それが私の怒りに火を注いだ。
全部、あの女のせいよ!!!
「そもそもあんたが優斗に──!!」
怒りに任せてあの女に顔を近づけたとき、私は突然強い力で後ろに引っ張られた。
優斗だった。
息を切らせて、私を追いかけてきたようだった。
優斗、私が心配だったの?
でも、優斗は鬼の形相で私を睨みつけた。
「ごめん、うちの奥さんが」
怒りをやっと抑えている声音で優斗があの女に謝罪した。
なんで謝るの!?
悪いのはあの女なのに!??
優斗は何か言いかけた私の口を塞いで、店外に引きずっていった。
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