政略結婚で「新興国の王女のくせに」と馬鹿にされたので反撃します

nanahi

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3 ロビン王子

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「甘い物が食べたいわ。エヴァ、ちょっと早いけどアフタヌーンティーにしましょ」
「準備します」

散歩から部屋に戻った私はエヴァにお茶の準備を頼み、ソファーに座った。エヴァが部屋を出て私が一人になった瞬間。

「お前か。新しい妃は」

男の声が聞こえると同時に私はソファーに押し倒されていた。

「──っ!」
「顔をよく見せろ」

私を上から見下ろしていたのは。

「ロビン殿下!?」

第一側妃の王子だ。オリヴァー殿下の一つ上だと聞いている。

「離して…っ」

十字に縫い付けられるように手首を押し付けられ、身動きができない。

「嫌だ」

ロビン殿下は温度を感じない冷え切った目で応えた。

「お前をどうしたいか、今考えている」

そうして私の手首を掴む手に、さらに力を込めた。

「痛いっ!」

私が痛がっているのに、ロビン殿下は首を傾げ、ペットを観察するように私を眺めている。

整った顔立ちであるはずなのに、その魚のような目には何の感情も見当たらなかった。

サイコパスだ──

私は全身に冷たい恐怖が走るのを感じた。

タガが外れている。
こんな乱暴なこと、王子がする行動ではない。

「その手を離せ」

ロビン殿下の首元に鋭いナイフが当てられた。エヴァがナイフを手に今にも殿下の首をかき切ろうと構えている。

「何?乱暴しないで」

ロビン殿下は抗議した。

どの口が言う?

さらにエヴァがナイフに力を込めた時、殿下はぱっと私から手を離した。

「はっ。ざんねーん。久々に面白かったのに」

これ以上手を離さなければ、エヴァは問答無用に殿下を切り裂いただろう。

エヴァが殿下の前に立ち塞がり、私を守る。

「その侍女早く首にしてよ。怖いよ」

19歳にしては幼稚な言いぶりだ。サイコパスの殿下でもエヴァには怖さを感じるのか?

「また遊ぼうね」

最後の挨拶をすると、ロビン殿下は急に興味を失ったように去った。



「あの子、父上の好みとちょっと違ったなぁ」

ロビンは上を向きながら人気のない廊下をスキップしている。

「でもいいんだ。僕は気に入った。殺すか…僕のものにするか…」

軽快なスキップとは相容れない不吉な考えをその口から吐いた。

「部屋が遠い。ああ面倒」

ロビンの部屋は王宮の端にある塔の上である。これは事実上の隔離だった。王位継承者であるのになぜこのような扱いを受けているのか。

「ロビン!勝手に出かけたらダメだと言ったでしょう!?」

ポリーヌが塔の部屋の前で仁王立ちをしている。

「だって退屈なんだもん。母上、なかなか次の獲物を準備してくれないし」
「もう少し待って頂戴。時期を待たないと」
「仕方ないなあ。早くしてよ?」
「え、ええ。必ず」

大人しく鉄の扉の中に入って行ったロビンの背中を見ながら、ポリーヌは冷や汗を拭った。

母上本人でさえ制御できないサイコパスの王子。普段から乱暴で何をしでかすかわからないから、陛下公認でここに住まわされている。

しかもその王子は誰にも知られてはいけない罪をすでに犯している。

「うまく、うまくやらなければ。私さえしっかりしていれば、ロビンは私の力になる」

ポリーヌは唾を飲み込み、無理やり口の端を上げた。





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