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9 ロビンとオリヴァー
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覇気のなかった陛下は、あれ以来みずみずしい若さを取り戻した。
ポリーヌがあの手この手で邪魔をしてきたため、とうとう私は直接陛下の寝所へと呼ばれるようになった。私は陛下の寵愛を勝ち取ったのだ。
ポリーヌが地団駄踏んで悔しがったのは言うまでもない。
「ねえ、エヴァ。私、陛下のこと好きになってもいいのかしら…?」
私は輿入れ以来、陛下を単なる政略結婚の相手だとみなしていたが、最近、優しい陛下に惹かれ始めていた。
私に夫婦の情が芽生えたのかもしれない。
王家を乗っ取る。
それが最終目標なのに。
愛まで求めるなんて都合がいいのではないの?
「目的が叶うならどちらでもよいのでは」
エヴァがあっさりと答えを出した。
そうね。
国の未来に比べたら、私の悩みなんてきっとちっぽけなものなんだわ。
あれこれ考えているうちにまた陛下のお呼びがかかった。
「つまんないな。遊びに行く場所が減っちゃった」
ロビンは塔から見下ろしながら呟いた。
簡素な部屋の中には、食卓と椅子、ベッドだけがある。食卓の上のお盆には食べカスが散らばった食器が乱雑に置かれていた。
「父上が王妃様をお墓に埋めちゃったから。たまに顔を見るのが楽しみだったのに」
陛下は気持ちに区切りがついたらしく、ついに王妃を陵墓に埋葬したのだ。
「会いに行く人、一人になっちゃった。僕から逃げない人。イーリスちゃん」
ロビンは満面の笑みでそう呼んだ。視線の先に、陛下と庭を行くイーリスの姿があった。
「父上、独り占めしすぎだよ」
そう拗ねた目で父親を凝視した。
また別の場所では、オリヴァーが二人を眺めていた。
「最近、いつも一緒にいますね。父上とイーリス様」
「嫁いだばかりの妃ですもの。よくあることよ。それに陛下、最近なんだかお元気を取り戻されたようで喜ばしいことね」
マリアは気にした風もなく息子を諭した。オリヴァーはこの胸のうずきが何なのか、まだよく理解していなかった。
母を介抱し続けたあの日々、いつもイーリスがそばにいてくれた。根気強く薬を飲ませ続け、ときに汗をかいて介抱してくれたイーリスの横顔がオリヴァーの胸にたびたび去来した。
いつの間にか、彼女の隣に自分がいたいと、心のどこかで思うようになっていた。
ポリーヌがあの手この手で邪魔をしてきたため、とうとう私は直接陛下の寝所へと呼ばれるようになった。私は陛下の寵愛を勝ち取ったのだ。
ポリーヌが地団駄踏んで悔しがったのは言うまでもない。
「ねえ、エヴァ。私、陛下のこと好きになってもいいのかしら…?」
私は輿入れ以来、陛下を単なる政略結婚の相手だとみなしていたが、最近、優しい陛下に惹かれ始めていた。
私に夫婦の情が芽生えたのかもしれない。
王家を乗っ取る。
それが最終目標なのに。
愛まで求めるなんて都合がいいのではないの?
「目的が叶うならどちらでもよいのでは」
エヴァがあっさりと答えを出した。
そうね。
国の未来に比べたら、私の悩みなんてきっとちっぽけなものなんだわ。
あれこれ考えているうちにまた陛下のお呼びがかかった。
「つまんないな。遊びに行く場所が減っちゃった」
ロビンは塔から見下ろしながら呟いた。
簡素な部屋の中には、食卓と椅子、ベッドだけがある。食卓の上のお盆には食べカスが散らばった食器が乱雑に置かれていた。
「父上が王妃様をお墓に埋めちゃったから。たまに顔を見るのが楽しみだったのに」
陛下は気持ちに区切りがついたらしく、ついに王妃を陵墓に埋葬したのだ。
「会いに行く人、一人になっちゃった。僕から逃げない人。イーリスちゃん」
ロビンは満面の笑みでそう呼んだ。視線の先に、陛下と庭を行くイーリスの姿があった。
「父上、独り占めしすぎだよ」
そう拗ねた目で父親を凝視した。
また別の場所では、オリヴァーが二人を眺めていた。
「最近、いつも一緒にいますね。父上とイーリス様」
「嫁いだばかりの妃ですもの。よくあることよ。それに陛下、最近なんだかお元気を取り戻されたようで喜ばしいことね」
マリアは気にした風もなく息子を諭した。オリヴァーはこの胸のうずきが何なのか、まだよく理解していなかった。
母を介抱し続けたあの日々、いつもイーリスがそばにいてくれた。根気強く薬を飲ませ続け、ときに汗をかいて介抱してくれたイーリスの横顔がオリヴァーの胸にたびたび去来した。
いつの間にか、彼女の隣に自分がいたいと、心のどこかで思うようになっていた。
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