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13 エピローグ
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悪魔の襲来から数週間が経った。
破壊された王宮は急ピッチで修復が進められ、元の威厳を取り戻しつつある。
女神像はもう捨て置かれることなく、ぴかぴかに磨かれて皆の崇拝を受けている。
王陛下もウォーレン公爵たちも無事で、私も王太子も胸を撫で下ろした。
婚約破棄の心配がなくなり、公爵夫人マリーの病状は少しずつ快方に向かっている。
王太子の足の怪我も今では歩けるほどに回復した。
一方、諸悪の根源ケリーは悪魔の書を使った咎で刑務所送りとなった。
もう一生牢獄から出られないらしい。
ケリーの呪いの言葉が私に届くことは、もう二度となかった。
∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵
「シンシア」
晴れ渡った青空の下。
女神像の前で愛しい人が私を呼ぶ声がする。
「殿下」
王太子は私の前でひざまずいた。
そしてポケットからビロードの小箱を取り出し開く。
太陽を浴び、キラキラとまばゆく光るダイヤモンドの指輪が現れる。
「シンシア…私と結婚してほしい」
王太子が真剣な眼差しで、返事を待っている。緊張しているのか、唇をきっと結んだままだ。
私はうれしさのあまり涙が込み上げてきた。
「はい……っ!」
私は胸が詰まってそれ以上言葉にならなかった。
王太子は安堵したように笑顔になった。小箱からきらめく指輪を取り、私の左手の薬指に優しくはめてくれた。
婚約破棄される運命を覆し、私はこの世界で本当の幸せを手に入れた。
「愛している」
「私もです」
私と王太子は強く抱き合い、長い長いキスをした。
<終>
破壊された王宮は急ピッチで修復が進められ、元の威厳を取り戻しつつある。
女神像はもう捨て置かれることなく、ぴかぴかに磨かれて皆の崇拝を受けている。
王陛下もウォーレン公爵たちも無事で、私も王太子も胸を撫で下ろした。
婚約破棄の心配がなくなり、公爵夫人マリーの病状は少しずつ快方に向かっている。
王太子の足の怪我も今では歩けるほどに回復した。
一方、諸悪の根源ケリーは悪魔の書を使った咎で刑務所送りとなった。
もう一生牢獄から出られないらしい。
ケリーの呪いの言葉が私に届くことは、もう二度となかった。
∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵
「シンシア」
晴れ渡った青空の下。
女神像の前で愛しい人が私を呼ぶ声がする。
「殿下」
王太子は私の前でひざまずいた。
そしてポケットからビロードの小箱を取り出し開く。
太陽を浴び、キラキラとまばゆく光るダイヤモンドの指輪が現れる。
「シンシア…私と結婚してほしい」
王太子が真剣な眼差しで、返事を待っている。緊張しているのか、唇をきっと結んだままだ。
私はうれしさのあまり涙が込み上げてきた。
「はい……っ!」
私は胸が詰まってそれ以上言葉にならなかった。
王太子は安堵したように笑顔になった。小箱からきらめく指輪を取り、私の左手の薬指に優しくはめてくれた。
婚約破棄される運命を覆し、私はこの世界で本当の幸せを手に入れた。
「愛している」
「私もです」
私と王太子は強く抱き合い、長い長いキスをした。
<終>
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