裏切られた俺(勇者)よりも魔王の方が闇が濃かった件について

白猫サイコー!

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「そういえば、なぜ我々はお互いに名前で呼ばないんでしたっけ?」

「なあ、今この状況で言うかそれ。場所考えようぜ?」

 先日の調理で大破した調理場は修理のため立ち入り禁止となった。そしてこれを機に廃城の方の魔王城も全体的に補修を入れるため俺と魔王は廃城からもう一つの魔王城のほうへと強制的に居住変えをさせられた。 
 ちなみに、魔王の機嫌が悪くなりすぎて城の魔族が怯えまくっているのが少し可愛そうだと思う。

 俺らが今いるのは、魔王が王として仕事をするときに使う執務室だ。ちなみに品の良い家具が必要最低限置かれた部屋だが、殺風景だとは感じさせず広々としていてむしろ使いやすそうな印象を受ける配置だ。

「場所?何か問題がありましたか?」

「なあ、それ素で言ってんなら一度病院に行ってこい。絶対に目が終わってるからお前」

 現在、俺は魔王の補佐をする執務官達に穴が開きそうなくらいガン見されてるんだが!?しかも、手だけは高速で書類書いてるから怖いんだけど!

「確かにそうですね。私の瞳は神殺しとも言われる強力な魔眼です。その気になれば目を合わせただけで相手を終わらせることも可能ですよ」

「そういう意味じゃねぇ!」

 つか、さらっと言ってる内容が怖ぇんだけど!何、神殺しって、目を合わせただけで相手を終わらせるって!メドゥーサかよ!初耳なんだけど!良く俺たち生きてたな!?

 あ、魔王の言葉を聞いた補佐の奴らが一斉に視線を手元に戻した。…わかる、その気持ちわかるぜ。不機嫌な魔王にずっと威圧されて怯えてたのに今の言葉じゃ、自分達が魔眼の餌食にされると思うよな。まあ、本人にはそのつもりはないんだろうけど。

「それで、話を戻しますが何故名前呼びをしないんでしょうか」

 刺すような視線が無くなったところで魔王がもう一度聞いてきた。

「そう言われてもなあ。そもそも俺らって職業や祝福的に絶対に仲良くならない筈だったし、最初からこの呼び名勇者と魔王で呼んでたからもう慣れちゃったんだよな」

 俺が感慨深げに言うと魔王は俺の方を見た。

「ですが、もう貴方は勇者ではないので勇者と呼ぶのは変ですよね?何て呼びましょうか、今までの流れだと大罪人でしょうか?」

「いや、それはないだろ安直すぎるし」

「では、Magna peccatorマイナ ペッカトールでいいですか?」

「誰が、古代語で呼べなんて痛いこと言ったんだよ!それなら普通に大罪人って呼ばれた方がまだマシだわ!」

 俺は黒魔術師たちのごく少数にいる詠唱を『漆黒の~』とか言うヤバイ奴らじゃないぞ!しかも、あいつら詠唱の改善にマジだから知らない言語使いまくっててたまに魔法を誤爆させるからヤなんだよ!

「だー!普通に名前で呼べばいいだろうが!?」

 俺がそう言うと魔王は一瞬不思議そうにしたものの勝手に納得したのか一つ頷くと真剣な顔をして言った。

「では、改めて。
 初めまして、元勇者よ。私は今代の魔王として君臨しているフィリムス・アーシェリーだ。
 神々がこの地から消え去り、我ら勇者と魔王が先代達が散り幾星霜、先代達とは違った結末をそなたと迎えることが出来ることを願っている」


「っ…!俺はアレク・ウォリアース、元勇者だ。えっと、既に勇者の地位は剥奪されているが俺はあんたが道を間違えることがない限り、勇者の証が消えるそのときまであんたとは戦うことはないとここに誓う」

 いきなり始まった緊張感漂う厳粛な空気に部屋にいた他の魔族はもちろん、勇者本人も困惑と極度の緊張に襲われていた。

 しかし、魔王はそんな勇者達を見て…

「ブフォ!」

 と、吹いた。

「「「…」」」

 部屋の中は必死に笑いを押さえようとする魔王と困惑する勇者と魔族達に別れた。

 …おい、この微妙な空気をどうするつもりだ魔王。


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