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本編
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しおりを挟む俺は田中 稔(たなか みのる)
この前19歳になったばかりの大学1年生である。
「…それで?
いつになったら俺の事好きって言ってくれるの?」
この、大男に壁ドンされ追い詰められている今の状況を除いては至って普通の、男子大学生なのである……。
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いつも近くにいるバカップルに誘発され、恋人が欲しくなった。
1人くらい可愛い女の子が俺を好きになってくれても良いと思う。
そう思い、合コンに参加したのが、2ヶ月ほど前のことだった。
「「かんぱーい!」」
まわりはガヤガヤしている。
ジンジャーエールを飲み、一息つく。
この合コンの参加者は同じ大学、学部の男5人、女5人である。
……ただ、1人大学でかっこいい!と騒がれている、ちょっとした有名人のケンが参加している。
そのため、女の子たちはケンに夢中なのだ。
未成年だから酒も飲めないしジンジャーエールをちびちび飲み進める。
「なんか食う?」
「え?」
隣に座っていた男にふと話しかけられる。
「あ、俺井上 蒼(いのうえ あお)」
「ども。田中稔です」
……でかいな、この人。
鍛えてるのか、服の上からも筋肉がついていることがわかる。
「稔って呼んでいー?」
「おう。俺も蒼って呼ぶわ。
飲みものなんか追加する?」
「あ……じゃあジンジャーエールで」
「了解!
すいませーん!レモンサワー2つとジンジャーエール2つお願いします」
「……さんきゅ」
「おう」
その後も、俺は彼女が欲しくて参加した合コンだってことを忘れて蒼と仲良くなり話し込んでしまった。
「よーし、出るか……!」
お会計を済ませて店を出る。
ケンや他の男子、女子たちは2軒目に行くらしい。
「俺は帰るけど……蒼は?」
「うーん。俺も帰るよ」
「お、まじ。じゃあ俺ら帰るから!楽しんでなー」
他の奴らに声をかけて駅の方へ歩き出す。
「稔は家どこら辺?」
「こっから大学方面に2駅行ったとこ」
「あー。あそこか。俺隣の駅だから近いわ」
「まじ?今度遊び来いよ」
「お?がちで行くかんな?」
「のぞむところ!」
頭をクシャクシャと撫でられる。
「わ!やめろよな~」
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