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遠くから人間の焦った叫び声が聴こえる。追い付いた!
これまでに血痕も見なかった。全員無傷だろう。
あの場所からそれほど時間は経ってはいない。まぁ俺が全力で走ったからであって、距離はそれなりに離れてるが。
先ずは熱源感知だ。……あちゃあ。見事に包囲されている。
付かず離れず。今の所は地球の狼と一緒だ。
それと包囲網には参加せず、離れた場所から様子を見ているデカいのがいらっしゃる。
どうやらセオリー通り獲物のスタミナ切れを待つ構えのようだ。
群れの一匹が怪我をするのを狼達は極端に嫌がる。この戦法はそのためだろう。
どうやら魔物のコイツらにも同じ性質があるようだ。
ひとまず、この状態が維持されている間は大丈夫だ。
今のうちに何か手を考えろ! ええい、弓があれば遠くから一匹ずつ数を減らしていくんだが。
装備がないなら地形を利用するしかない。
移動組の皆にはもう少し踏ん張って貰って、今向かっている先を下見に行こう。
アイツら、やっぱり魔物だ。
傷付くのを嫌がる?スタミナが切れるのを待つ? 違う……この場所に追い込む為だ。
横に長く切り立った崖が続いている。高さは五メートル程か、俺なら余裕で登れるだろう。でも移動組は?……無理だろう。
アイツらはここに追い詰めてから狩りを始めるつもりなんだ。
一人も逃さず狩るために。
ここなら逃げる方向を制限できる。だが森の中ならバラバラに逃げられて何人か逃がすかも知れない。
そして相手に武器が無く、戦う手段がないのも見てとって、それも勘定に入れていそうだ。
狡猾。敵ながらよく考えてる。
だからその作戦を崩す。お前らの勘定に、俺は入って無いだろう?
そして逆に、俺が考える場所に誘導してやろう。
あの巨大サケのいた河の、別の流域だ。
移動組の正面から合流。
「!? 君は!どうしてここに?」
「質問は後だ!今向かっている場所には崖が切り立っていて、進行の邪魔をしている。死にたくないなら俺に続け!」
「わ、わかった!」
何人か松明を持った人間の一人に、あの時のまとめ役の男がいて、返答を返してきた。他の皆も必死に首肯している。松明を作れる人間がいたのはよかった。木々から漏れる月の光だけじゃ頼りないからな。
よし、先ずは向きを変える。
左に方向転換すると、左から包囲していた個体が唸りながら威嚇してくる。
うるせぇ。お前には迫力も何もかも足りてない。
手にもつ槍で当たらないように突く。
怪我を負わすのは今は避ける事にした。コイツらは魔物だ。仲間を攻撃されたら暴走するかもしれない。今のコントロールできる状態でいてくれないと困る。
ヒラリと飛び退き距離を取ってきた。
お前達を傷付けられる者がいきなり現れて、無理矢理方向を変更させてきたぞ?作戦、台無しだな?
さぁ、どんどん俺に対してのヘイトを溜めろや。……って不味い。一人遅れだした。
先頭の男に今の方向で進むように指示し、周りを警戒しながら最後尾にいる学生の元へ。
「暫く背負う。後で走って貰わないと行けないから今の内に休め。」
「あ、ありがとうございます。もうダメかと…… 」
聞けば最後の休憩時から腹の調子が悪かったそうな。今更死人を出すのはごめんだ。背負ったまま先頭へ戻る。
河に着くまで、連中に対して嫌がらせを行う。走りながら手に取った石や枝を、怪我しない力加減で腹やケツにぶつけてやる。
怒ってる怒ってる。
そのまま俺に怒りを溜めろ。そう、俺だけに怒れ。
河に着いた!河を右手に、沿って走る。奴等がやろうとしたことと、逃げ道を制限するという点では同じだ。違うのは俺が守りに付いていて、河は俺の味方だということ。
もうここまできたら手加減はいらない。寧ろ奴等の仲間を殺して更にヘイトを溜める。
このまま河に沿っての移動を指示し、学生君を下ろして走ってもらう。
今までは全体の動きに合わせていた身体能力を全開に、祖父に教わり自然とできる様になった練気を行う。
では、迎撃開始!
先ずは並走している先頭の一匹へ強襲。いきなり有り得ない加速をした俺に反応できなかったようだ。
右目から槍を突き刺し脳まで破壊。魔物だろうがなるべく苦しませずに殺す。これを変えるつもりは、無い。
《新しいスキルを取得しました》
ハイハイ後でね。
奴等の雰囲気が変わった。
これまでの何処か狩りを楽しむような追い込みから、殺意を持った動きに変わる。
すぐ後ろにいた個体が飛びかかってきた。動きが遅く感じるぞ?
石斧を頭に叩きつける。あっさり絶命。今度はこっちの番だ。
移動組から近い奴から潰す。木を蹴飛ばして、それを回避したところを心臓に一突き。
折れた木を持って、追走している方の魔物に襲いかかる。木の長さに任せて、側面から殴り飛ばす。
四匹程まとめて河に吹き飛ばす。バシャバシャと水面でもがいていたが、四匹とも何者かに水中へと引きずり込まれた。
ワニだろうなぁ。
それは俺からの奢りだ。ちゃんと残さず頂くように!
左で並走している個体はいなくなった。俺に狙いをしぼったようだ。
まぁこのためにヘイトを稼いだんだ。狙い通り。
ただ、移動組からあまり離れる事はしない。目が届かない距離になっていきなりあちらに行かれたら困る。
更に数匹、河に叩き込んだ。それでもまだ十数匹は残っている。それに、そろそろ来るんだろう?
夜の世界にあって更に黒い、闇を凝縮したような球が飛んできた。黒すぎて逆に浮いてるぞそれ。
多少の追尾性があるようだ。……無理に動いて移動組と群れの間からズレるのは嫌だな。
木を槍の様に投げて迎撃。当たった木は急に運動エネルギーが減った様に威力が落ちた。
動きを遅らせる魔法かな?わからん!オタトリオに聞こう。
ボス個体。お前の事はずっと警戒していた。魔法を使ってくる危険性前提でな。
生憎、俺は感知系が充実している。気配や魔力を隠蔽しようが、お前の体温は隠せない。蛇からの贈り物だな。
多分あの蛇は、移動組を感知して移動したこの群れから、押し出されるように逃げてきたんだろう。
あれ?熱源感知も身体強化も、俺が吸収したとはいえ、自分が追い払った蛇の能力にコイツはしてやられてるんだよな?……ざまぁ。
今の俺では真正面からだと勝てない。身体能力だけなら勝てないまでも食らい付いていく事はできる。
だが装備が貧弱過ぎる。だから絡め手だ。
勝つために、もう少しこいつを怒らせたい。脇目も振らずに向かってくるくらいに。
そこで狼の性質を利用しよう。魔物だから多少は違ってくるだろうが、その違いがいい風に働く気がする。
狙いは決まっている。
その横にいる雌、お前のフィアンセだろ?
サケナイフを投擲。狙い通りに眉間に突き刺さって絶命した。
わかってる。わざとお前の雌を狙った。酷い事をしている。
でも謝るつもりは、無い。
俺が生きたいから、殺す。
狼は生涯一匹のパートナーに尽くす。
雌に先立たれ、何も食べずに餓死する雄もいるくらいだ。
だから狙った。お前の雌を。
そしてお前は魔物だ。普通の狼の様に、失意の中で朽ち果てるなんて事、ないんだろう?
「ガアアァァァァーッ!!」
だと思ったよ。そして俺のする事は決まっている。
一気に疾走、加速!河の対岸へ、跳ぶ!
怒りに塗り潰された獣が追って跳ぶ。それ、狙い通りなんだ。
だってお前もいるんだろ?なぁ?
「キュキュルルルッ」
「ガアァ!?」
日付も変わってるし調度いい。
題して、昨日の敵は今日の友作戦!
……昨日のサケは腹の中で、こいつは違う個体だろとかの突っ込みは聞こえぬ。聞こえぬ!
かなりの速度で跳んだため、巨大サケの俺に対しての奇襲は間に合わなかった。だが代わりにそのタイムラグが、俺を追って跳んだボス狼にピタリとハマった。
昼間の個体より少し大きいか?七メートル半程の巨大サケの歯が、ボス狼の腹にガッチリと食い込む!
まるで怪獣映画だ。引きずり込もうとするサケに、必死に抵抗する狼。大きな水音を響かせながら、巨大な魔物同士が激しく争う。
対岸の狼達も固唾を飲んで見守っている。
だがそろそろ決着が着くんじゃないか?
それも、勝つのは恐らく狼。水中の不利はあるだろうが、存在の強さ……感じる威圧感が違う。
ドゴッ!と音がした。何かの魔法を使ったんだろう。サケがノックアウトされて浮かんできた。
ボス狼が水と腹から血を滴らせながら、元の岸の方に上がっていく。
体を振って水気を飛ばす。
俺が本当に狙っていたのはこの時だ。サケは俺への認識を外すために利用しただけだ。
今回の戦いで、色々とステータスやスキルが上がったのだろう。力が張っている。殺れる。
疾走による加速+体術+槍術+練気+身体強化
それだけじゃない、確認していないまだ見ぬスキルの効果が乗っているのが分かる。
狙うは蛇の時と同じ、後頭部からの一撃必殺に賭ける!
自身の存在を隠蔽して、跳ぶ!
だから言っただろ?不意打ち大好きってな。
今の俺に掛かる全ての強化に加え、暗殺と致命の一撃が発動!
死ねッ! そして俺の血肉になれッ!
渾身の一撃はボス狼の後頭部から入り脳を抜け、口から穂先が飛び出したところで止まった。
ふぅ……真正面からだと、今の俺ではまだお前には勝てなかった。
お前はまさしく強敵《新しいスキルを取得しました》だったよ……っておい。
本当空気読まないよなこのインフォメーションちゃん。
これまでに血痕も見なかった。全員無傷だろう。
あの場所からそれほど時間は経ってはいない。まぁ俺が全力で走ったからであって、距離はそれなりに離れてるが。
先ずは熱源感知だ。……あちゃあ。見事に包囲されている。
付かず離れず。今の所は地球の狼と一緒だ。
それと包囲網には参加せず、離れた場所から様子を見ているデカいのがいらっしゃる。
どうやらセオリー通り獲物のスタミナ切れを待つ構えのようだ。
群れの一匹が怪我をするのを狼達は極端に嫌がる。この戦法はそのためだろう。
どうやら魔物のコイツらにも同じ性質があるようだ。
ひとまず、この状態が維持されている間は大丈夫だ。
今のうちに何か手を考えろ! ええい、弓があれば遠くから一匹ずつ数を減らしていくんだが。
装備がないなら地形を利用するしかない。
移動組の皆にはもう少し踏ん張って貰って、今向かっている先を下見に行こう。
アイツら、やっぱり魔物だ。
傷付くのを嫌がる?スタミナが切れるのを待つ? 違う……この場所に追い込む為だ。
横に長く切り立った崖が続いている。高さは五メートル程か、俺なら余裕で登れるだろう。でも移動組は?……無理だろう。
アイツらはここに追い詰めてから狩りを始めるつもりなんだ。
一人も逃さず狩るために。
ここなら逃げる方向を制限できる。だが森の中ならバラバラに逃げられて何人か逃がすかも知れない。
そして相手に武器が無く、戦う手段がないのも見てとって、それも勘定に入れていそうだ。
狡猾。敵ながらよく考えてる。
だからその作戦を崩す。お前らの勘定に、俺は入って無いだろう?
そして逆に、俺が考える場所に誘導してやろう。
あの巨大サケのいた河の、別の流域だ。
移動組の正面から合流。
「!? 君は!どうしてここに?」
「質問は後だ!今向かっている場所には崖が切り立っていて、進行の邪魔をしている。死にたくないなら俺に続け!」
「わ、わかった!」
何人か松明を持った人間の一人に、あの時のまとめ役の男がいて、返答を返してきた。他の皆も必死に首肯している。松明を作れる人間がいたのはよかった。木々から漏れる月の光だけじゃ頼りないからな。
よし、先ずは向きを変える。
左に方向転換すると、左から包囲していた個体が唸りながら威嚇してくる。
うるせぇ。お前には迫力も何もかも足りてない。
手にもつ槍で当たらないように突く。
怪我を負わすのは今は避ける事にした。コイツらは魔物だ。仲間を攻撃されたら暴走するかもしれない。今のコントロールできる状態でいてくれないと困る。
ヒラリと飛び退き距離を取ってきた。
お前達を傷付けられる者がいきなり現れて、無理矢理方向を変更させてきたぞ?作戦、台無しだな?
さぁ、どんどん俺に対してのヘイトを溜めろや。……って不味い。一人遅れだした。
先頭の男に今の方向で進むように指示し、周りを警戒しながら最後尾にいる学生の元へ。
「暫く背負う。後で走って貰わないと行けないから今の内に休め。」
「あ、ありがとうございます。もうダメかと…… 」
聞けば最後の休憩時から腹の調子が悪かったそうな。今更死人を出すのはごめんだ。背負ったまま先頭へ戻る。
河に着くまで、連中に対して嫌がらせを行う。走りながら手に取った石や枝を、怪我しない力加減で腹やケツにぶつけてやる。
怒ってる怒ってる。
そのまま俺に怒りを溜めろ。そう、俺だけに怒れ。
河に着いた!河を右手に、沿って走る。奴等がやろうとしたことと、逃げ道を制限するという点では同じだ。違うのは俺が守りに付いていて、河は俺の味方だということ。
もうここまできたら手加減はいらない。寧ろ奴等の仲間を殺して更にヘイトを溜める。
このまま河に沿っての移動を指示し、学生君を下ろして走ってもらう。
今までは全体の動きに合わせていた身体能力を全開に、祖父に教わり自然とできる様になった練気を行う。
では、迎撃開始!
先ずは並走している先頭の一匹へ強襲。いきなり有り得ない加速をした俺に反応できなかったようだ。
右目から槍を突き刺し脳まで破壊。魔物だろうがなるべく苦しませずに殺す。これを変えるつもりは、無い。
《新しいスキルを取得しました》
ハイハイ後でね。
奴等の雰囲気が変わった。
これまでの何処か狩りを楽しむような追い込みから、殺意を持った動きに変わる。
すぐ後ろにいた個体が飛びかかってきた。動きが遅く感じるぞ?
石斧を頭に叩きつける。あっさり絶命。今度はこっちの番だ。
移動組から近い奴から潰す。木を蹴飛ばして、それを回避したところを心臓に一突き。
折れた木を持って、追走している方の魔物に襲いかかる。木の長さに任せて、側面から殴り飛ばす。
四匹程まとめて河に吹き飛ばす。バシャバシャと水面でもがいていたが、四匹とも何者かに水中へと引きずり込まれた。
ワニだろうなぁ。
それは俺からの奢りだ。ちゃんと残さず頂くように!
左で並走している個体はいなくなった。俺に狙いをしぼったようだ。
まぁこのためにヘイトを稼いだんだ。狙い通り。
ただ、移動組からあまり離れる事はしない。目が届かない距離になっていきなりあちらに行かれたら困る。
更に数匹、河に叩き込んだ。それでもまだ十数匹は残っている。それに、そろそろ来るんだろう?
夜の世界にあって更に黒い、闇を凝縮したような球が飛んできた。黒すぎて逆に浮いてるぞそれ。
多少の追尾性があるようだ。……無理に動いて移動組と群れの間からズレるのは嫌だな。
木を槍の様に投げて迎撃。当たった木は急に運動エネルギーが減った様に威力が落ちた。
動きを遅らせる魔法かな?わからん!オタトリオに聞こう。
ボス個体。お前の事はずっと警戒していた。魔法を使ってくる危険性前提でな。
生憎、俺は感知系が充実している。気配や魔力を隠蔽しようが、お前の体温は隠せない。蛇からの贈り物だな。
多分あの蛇は、移動組を感知して移動したこの群れから、押し出されるように逃げてきたんだろう。
あれ?熱源感知も身体強化も、俺が吸収したとはいえ、自分が追い払った蛇の能力にコイツはしてやられてるんだよな?……ざまぁ。
今の俺では真正面からだと勝てない。身体能力だけなら勝てないまでも食らい付いていく事はできる。
だが装備が貧弱過ぎる。だから絡め手だ。
勝つために、もう少しこいつを怒らせたい。脇目も振らずに向かってくるくらいに。
そこで狼の性質を利用しよう。魔物だから多少は違ってくるだろうが、その違いがいい風に働く気がする。
狙いは決まっている。
その横にいる雌、お前のフィアンセだろ?
サケナイフを投擲。狙い通りに眉間に突き刺さって絶命した。
わかってる。わざとお前の雌を狙った。酷い事をしている。
でも謝るつもりは、無い。
俺が生きたいから、殺す。
狼は生涯一匹のパートナーに尽くす。
雌に先立たれ、何も食べずに餓死する雄もいるくらいだ。
だから狙った。お前の雌を。
そしてお前は魔物だ。普通の狼の様に、失意の中で朽ち果てるなんて事、ないんだろう?
「ガアアァァァァーッ!!」
だと思ったよ。そして俺のする事は決まっている。
一気に疾走、加速!河の対岸へ、跳ぶ!
怒りに塗り潰された獣が追って跳ぶ。それ、狙い通りなんだ。
だってお前もいるんだろ?なぁ?
「キュキュルルルッ」
「ガアァ!?」
日付も変わってるし調度いい。
題して、昨日の敵は今日の友作戦!
……昨日のサケは腹の中で、こいつは違う個体だろとかの突っ込みは聞こえぬ。聞こえぬ!
かなりの速度で跳んだため、巨大サケの俺に対しての奇襲は間に合わなかった。だが代わりにそのタイムラグが、俺を追って跳んだボス狼にピタリとハマった。
昼間の個体より少し大きいか?七メートル半程の巨大サケの歯が、ボス狼の腹にガッチリと食い込む!
まるで怪獣映画だ。引きずり込もうとするサケに、必死に抵抗する狼。大きな水音を響かせながら、巨大な魔物同士が激しく争う。
対岸の狼達も固唾を飲んで見守っている。
だがそろそろ決着が着くんじゃないか?
それも、勝つのは恐らく狼。水中の不利はあるだろうが、存在の強さ……感じる威圧感が違う。
ドゴッ!と音がした。何かの魔法を使ったんだろう。サケがノックアウトされて浮かんできた。
ボス狼が水と腹から血を滴らせながら、元の岸の方に上がっていく。
体を振って水気を飛ばす。
俺が本当に狙っていたのはこの時だ。サケは俺への認識を外すために利用しただけだ。
今回の戦いで、色々とステータスやスキルが上がったのだろう。力が張っている。殺れる。
疾走による加速+体術+槍術+練気+身体強化
それだけじゃない、確認していないまだ見ぬスキルの効果が乗っているのが分かる。
狙うは蛇の時と同じ、後頭部からの一撃必殺に賭ける!
自身の存在を隠蔽して、跳ぶ!
だから言っただろ?不意打ち大好きってな。
今の俺に掛かる全ての強化に加え、暗殺と致命の一撃が発動!
死ねッ! そして俺の血肉になれッ!
渾身の一撃はボス狼の後頭部から入り脳を抜け、口から穂先が飛び出したところで止まった。
ふぅ……真正面からだと、今の俺ではまだお前には勝てなかった。
お前はまさしく強敵《新しいスキルを取得しました》だったよ……っておい。
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